幾つかのDJのキャリアはハイプから出来ているが、ジョン・ディグウィードのキャリアは本質から構築される。世界で最も人気DJの一人ジョン・ディグウィード、彼のDJセットが世界中のクラバーに愛され続けている事は、常に世界中のクラブを周っている彼の過密スケジュールを見れば明らかだろう。
イギリスから世界へ一大旋風を巻き起こし、現在もその形を発展させながら人気を保つ「アシッド・ハウス」。この'90年代が生み出した巨大なクラブ・ミュージックのうねりの中心にいた稀代のカリスマDJがジョン・ディグウィードだった。
クインシー・ジョーンズ、アンダーワールド、ニューオーダーといったビッグアーティストの作品のリミックスを手掛け、99年には彼のレーベルBedrockを旗揚げ。彼の代名詞となったBedrockはイベントのタイトル、レコードレーベル、そしてスタジオでのパートナー、ニック・ムーアとのプロダクションユニット名という3つの意味を持つ。世界中から寄せられる数多くのデモテープの中からジョン・ディグウィードが選びBedrockからリリースされる楽曲。これらの楽曲は「Bedrock」というラベルによってクオリティの高さ、本物のサウンドであることを保障され、Bedrockがサポートしたことによって成功したアーティストにはダニー・ハウエルズ、ジミー・ヴァン・M、クリス・フォーティエ、フィル・トンプソンらが上げられる。
ニック・ムーアとのユニットBedrockとしてはシングル"Heaven Scent"と映画『トレインスポッティング』に挿入された"For What you Dreamed of"の2曲がTOP40にチャートイン。2001年にはDJmag誌の人気ランキング"100 TOP DJ'S"で純粋なクラバーからの投票により1位に選ばれるという形で極める。現在も例年高ランキングをキープし続けているほか、世界各地のDJアワードやランキングに登場。またMTVのアニメシリーズ『スパイダーマン』(2004)とハリウッド映画『Star Raving Mad』(2005)のサントラを担当。
ツアーではデヴィッド・ボウイやモービーらのサポートを行い、イギリスではブライトン・ビーチでファット・ボーイ・スリムが行なった25万人を集めた最大のビーチパーティーでスピンしている。
またKISS 100でのディグウィードのラジオショーは最新のダンスミュージックと世界の注目DJによるMIXを放送する内容で既に5年以上続いているが、各地でダウンロードされた番組がCDやMP3で交換されるほどのカルト的な人気を得ている。既に輝かしいキャリアをおくっているジョン・ディグウィードだが、彼の偉大さは常に新しいダンス・ミュージックへの探求心を絶やさないその信念にある。