ダンスミュージック・シーンで、ミュージシャン、DJ、そしてアートと三つの才能に長け、その全てをクリエイティヴに、そして情熱をもって取り組む天才、Joaquin"Joe" Claussell。彼は音楽をあやつる建築家であり、芸術のリーダーだ。
NY随一のダンスミュージック専門レコード店「Dance Tracks」の若き経営者であったブルックリン出身のJoe Claussell が、本格的にアンダーグラウンド・ハウスシーンに頭角を現わすのは、90 年代初頭に立ち上げたレーベル<Jungle Sounds>より発表されたInstant House 名義での一連のカルトなヒット作"Over"、"Awade"、"Lost Horizon"のプロデュースを通じてであった。96 年にはInstant House のディープなトライバルサウンドのコンセプトをさらに進化させ、アフリカン、ブラジリアン、ジャズ、ロック等全ての要素を感じさせる生楽器の普遍的かつスピリチュアルなグルーヴに重きを置くレーベル<Spiritual Life Music>を設立。純粋に音楽そのものと向き会うSpiritual Life Music の一貫した方向性は、ハウスシーンのみならずジャンルの枠を超えて高く評価され、African Jazz "Stubborn Problems"、Ten City "Nothing's Changed"、Jephte Guillaume "Voyage of Dreams","Lakou-A","The Prayer"や、Slam Mode、Mateo & Matos、Blaze などによる諸作品は、いずれもクラブ・クラシックスとなっている。
99年にはアルバム『Language』をリリース。01 年には、これまでのSpiritual Life Musicの活動を総括した2 枚組のCD コンピレーションアルバム『Spiritual Life Music』もリリース。また、<King Street Sounds/Nite Grooves>からは、独特の芸術性に貫かれたDJ プレイをダイレクトに収録した2 枚組ミックスCD『Mix The Vibe: Over 140Minutes of Spiritual Journey』を、イギリスの<BBE>から『Music....... A Reason toCelebrate』を発表している。これらの作品もそれぞれ高い評価を受け、大ヒットしたことは言うまでもない。
Spiritual Life Music の設立と同じ年に、Vinyl で「Body & Soul」をスタート。Francois Kevorkian、Danny Krivit という大ベテランと共にBody & Soul のDJ ブースに立っていたJoe Claussell。DJ プレイを通じて、音楽に託したメッセージを操り、ダンスフロアへ魂の伝達を試みる。そうした彼のディープでシリアスなDJ スタイルは、多くの人々から熱烈に支持される。
Spiritual Life Music とBody & Soul の成功を通じ、ハウスシーンの第一人者となったJoe Claussell は、この頃からリミックスなどのプロダクションも精力的にこなし始める。Herbie Hancock、Femi Kuti、Tokyo Ska Paradise Orchestra、Chaka Khan、Michael Jackson、Beth Orton、Roy Ayers、Dennis Ferrer、Sade、Ananda Project、Mental Remedy、Monday Michiru、Cesaria Evora、Toni Braxton、Ronny Jordan、Nitin Sawhney、Nina Simone、Cassandra Wilson、Salif Keita、Diana Ross、Misia、Peter Gabriel、Brian Eno & David Byrne、Thom Yorke (Eraser)、Radio Heads、Womack and Womack、Louie Vega、Heather Johnson、Manuel Gottching、Ame、Joi、Miles Davis、Double Exposure、Pat Metheny といったアーティストの楽曲など、Joe Claussell がリミキサーとして関わった傑作は数え切れないほどだ。
最近では伝説のラテンミュージック・レーベル<Fania>のリミックスアルバム『Hammock House』や、期待の高かった『The Unofficial Edits of Joaquin Joe Claussell』、そして『Cosmic Ritual LP』、 『Translate Part Two』、Lidy Six の「Trembling Sensing Space」のプロジェクトを手掛けている。また、地元NY で「An Invitation To Openness」というタイトルのパーティーとラジオショーも企画されているというから楽しみである。