2015年の話題をさらったアーティストは誰だ!?

 clubberiaというサイトの特性が如実にあらわれるアーティスト部門。他部門でも同様だが、ページビュー数や読者投票、ニュースの登場回数などを基にポイント化するため、一定のジャンルに偏らない多彩なアーティストが並ぶ。読者がいま誰に興味を抱いているのか、それは日本のダンスミュージック・シーンのリアルな声とも言えるだろう。はたして、2015年はどのアーティストに注目が集まったのだろうか?
(※読者投票数/ページビュー数/SNSの反響数/ニュース掲載数を基に算出)

Text : Ryosuke Kimura (clubberia)

10

DJ Sodeyama

8年ぶりの最新アルバム『Twelve Processing』は多くの反響を呼び、例年以上に彼の動向に注目が集まった2015年。3ヶ月にわたる18公演の全国ツアーはもちろん、話題のパーティにも数多く出演するなどDJとしての絶対的な信頼を得ている。そして、Nina Kraviz主宰レーベルтрип(トリップ)からリリースされた「Miles Pt.2」はイギリスのBBCでもヘビープレイされるなど、ヨーロッパを中心に多くのアーティストらも賞賛。今年はリリースがさらに増えることが予想される。DJとして“いま自分が何をすべきか”を見据えるその姿勢に、確固たる信念とプライド、情熱を感じられる希少な存在だ。

9

Theo Parrish

デトロイトを代表するDJとして、日本でも絶大な人気を誇るTheo Parrish。2015年はSOUND MUSEUM VISIONのカウントダウンに登場するなど、3都市を回るジャパンツアーで多くのファンを魅了した。今もなおその卓越したDJスキルは健在で、ハウスを軸にファンク、ソウル、ジャズ、ヒップホップといったブラックミュージックを愛し、そして活き活きとプレイする姿はDJの象徴とも言える。自身の主宰レーベルSound Signatureからは、GE-OLOGYやDego&Kaidiといったアーティストの作品を発表して話題に。時代が変わっても、唯一無二の存在として愛され続けることは間違いない。

8

Luciano

一時期に比べると勢いが衰えてきたかのように思えたLucianoだったが、ここ最近の動きは非常に活発でよい方向へ進んでいるように感じる。2015年は主宰のレーベルCadenzaの100作品目がリリースされ、別名義のLucien-N-Lucianoによる『Grace Of An Art』がそれにあたり、非常に完成度の高い楽曲を披露。また、Boiler Roomで配信されたスイスの雪山での3時間におよぶヴァイナルセットは世界中で大きな話題になった。年の瀬にはageHaでジャパンツアーを行い、圧巻のパフォーマンスを見せるなど、彼の人気はまだまだ健在のようだ。

7

DJ Krush

11年ぶりにリリースされたアルバム『Butterfly Effect』はファンにとってはもちろん、日本のダンスミュージック・シーンにおける大きなできごとだった。長い時間が経っても彼にしか出せない深みのあるサウンドは、ファンにとってまさに待望と言えるものだっただろう。リリースパーティやリリースツアーも大盛況で新たな彼のサウンドを求めて多くの人が集った。今年に入ってからもオーストラリアで公演を行い、3月からは11カ国19公演というヨーロッパツアーも行われる。世界中から愛される彼の音楽はこれからも我々に驚きを与えてくれるはずだ。

6

Richie Hawtin

世界トップアーティストであることは周知の通りだが、国内における彼の人気も極めて高い。それは親日家であることはもちろん、日本への敬意ある姿勢や、ファンへの対応なども理由に挙げられるかもしれない。2015年は10月に開催された「WIRED CLASH」に出演、12月にはさまざまな名義を含んだ彼の作品をまとめた最新アルバム『From My Mind To Yours』を突如発表して話題を呼んだ。今年に入ってAllen & Heathとの共同開発による新たなハードウェアを発表するなど、エレクトロニック・ミュージックを押し上げる彼の動向から今年も目が離せない。

5

Gonno

2015年、mule musiqからリリースしたアルバム『Remember The Life Is Beautiful』によって、アメリカのピッチフォークをはじめとする海外の音楽メディアから賞賛を浴びたGonno。このほかにもInternational Feelから『Obscurant』、Endress Flightから『The Muddler』をリリースするなど、アーティストやレーベルからの信頼も絶大だ。AIRで開催されたリリースパーティでも素晴らしいライブセットを披露し、国内のギグをはじめ今年はPanorama Barへの出演も果たした。今後、Gonnoサウンドがどのような進化を遂げていくのか期待したい。

4

DJ EMMA

DJ活動30周年を迎えた2015年。日本のダンスミュージック・シーンを牽引してきた彼の活動は今もなお賞賛され続けている。リキッドルームで開催された「EMMA HOUSE ALIVE 30th Anniversary」では多くのファンが詰めかけ、日本のクラブ・シーンのあり方を改めて考えさせられる素晴らしいものだった。今年の初めにクラベリアで特集を行い、大きな反響を呼んだことも記憶に新しい。彼が放った「もう一度ダンスクラブのかっこよさを伝えたい」という言葉は、ファンはもちろん、これからのシーンを担う若い世代の人々の心にも強く刻まれたはずだ。

3

石野卓球

やはり毎年必ずランクインしてくる人気度はピカイチ。日本が誇るテクノDJは2015年もフロアを熱くしてくれた。2015年は2回の「WIRED CLASH」が開催され、本イベントに関する彼のインタビューは大反響を呼んだ。また、Ken Ishiiとの初B2Bを見せるなど、DJとしての凄みを改めて感じた人も多かったのではないだろうか。電気グルーヴ初のドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』が公開されて話題になるなど、多彩なフィールドで存在感を発揮。自身のパーティ「STERNE」は今年で14周年目を迎える。

2

DJ NOBU

毎年本アワードにランクインしている彼にとって、さらなる飛躍を遂げることになった2015年。ミックスCD『Nuit Noir』のリリース、「Dekmantel Festival」への出演が大きなきっかけとなり、世界中が彼のプレイを賞賛した。そのほかにも、ADEで行われたRUSH HOURのパーティや、フランス、ドイツ、オーストラリアなどでプレイ。今、世界中のオーディエンスがもっとも期待を寄せるDJのひとりと言っても過言ではないだろう。今年もすでにヨーロッパ、アメリカツアー、フランスの「Weather Festibval」への出演が決定しており、世界中で“DJ NOBU”の名前を見ることになりそうだ。

1

Nina Kraviz

2014年に引き続き、2015年も再びトップを飾ったのはなんとNina Kravizだった。2015年は、!K7 Recordsの人気ミックスシリーズ『DJ-KICKS』を担当し、さらには自身のレーベルтрип(トリップ)からも3枚のコンピレーションアルバムと、メインアーティストBjarkiのEPをリリース。DJ以外にもレーベルオーナー、アーティストとしても積極的な活動を行っていた彼女。2度の来日で行われたパーティはどれも超満員で、国内の人気度は年々増しているように感じる。ルックスはもちろん、DJやプロデューサーとしても今後の活動に注目したい。