猪股 恭哉

ディスクユニオン
営業部ハウステクノ部門バイヤー

1999年よりディスクユニオンに入社。渋谷クラブミュージックショップを含む店舗勤務の後、2014年より営業部にてバイヤー、海外レーベルの国内でのディストリビューション、レコードやCDの制作などを行っています。

http://diskunion.net/clubt/

クラブミュージック2016年のバイヤー的総括

 皆さんご承知の通り、ここ最近のアナログレコードブームは今年も継続し盛り上がりをみせました。いろいろと問題はありますが、今年も大成功で終わった「Record Store Day」、東洋化成さん主催の「レコードの日」など、大小様々なレコードに関するイベントが各地で開催されました。実際、アナログレコードプレイヤーの販売台数も伸び、レジェンドブランドであるテクニクスのSLシリーズが復活したことは象徴的だと思います。

 クラブミュージック全体では、昨年から続く名盤の再発ラッシュ、バレアリック/ニューエイジ視点での過去作の発掘としてGigi MasinやレーベルMusic From Memory。ロンドンやベルリン流れのディープハウス/ビートダウンとしてMax Graef & Glenn AstroのWarpからのアルバムやRhythm Seciton International。ディスコ・ブギーの再定義としてデトロイトのAmp FiddlerやRon TrentがプロデュースしたA Band Called Flash、Francesco TristanoやDJ Cam。MARK de CLIVE-LOWEのBlue Note再構築盤に代表されるジャズへのアプローチ。そしてカナダ・バンクーバーのMood Hut、1080P周辺とオーストラリア・メルボルンのAndras FoxやTornado Wallaceに代表される才能たちが次々と傑作を放ちました。そんな雑多でたくさんのベクトルや解釈があふれるなかで、Joe Claussell、Louie Vega、Hiroshi Watanabe、石野卓球といったベテランたちが最高の作品をリリースし、ヒットしたことは本当に素晴らしいことで、改めてリスペクトの念を禁じえません。

 来年もこういった動きは継続しながら、新しい音や新しい見え方が出てくるものと思っています。個人的にはそろそろ00年代のエレクトロ・リバイバルがそろそろでは? といろいろな人に語っていますが、まだ先のようです。