今年は、デリック・メイ=<Transmat>とジェフ・ミルズ=<Axis Records>の年でした。
日本人で初めて<Transmat>からアルバム『MULTIVERSE』をリリースしたHiroshi Watanabeは、クラブミュージックが売れないと言われる中、多くの皆さんに支持をいただき好調なセールスを記録しています。
日本で30ヶ所以上、そして海外でも精力的にプレイし、リリースを機に新たなフェイズに突入するという意志を全身で表現したHiroshi Watanabeの(デトロイト・テクノの持つエモーショナルな泥臭さとも繋がる)パフォーマンスには率直に胸を打たれました。アーティスト自身の“スピリット”が何かを動かしていく、グルーヴを生み出して行く様は、一緒に仕事しながら興奮する出来事でした。
そしてジェフ・ミルズ。今年3月、東フィルと共演したコンサートは情報公開と同時にチケットが即完。そして(まさかの?)地上波TVでのパフォーマンスを披露と話題の多い1年でしたが、ジェフが2005年からスタートしたオーケストラの共演によって生み出そうとしている新たな音楽の可能性へのチャレンジ。その過程のほんの一端を目撃したに過ぎないんだと、今年1年の仕事を通して知りました。
日本科学未来館にご協力をいただき、サウンドエンジニアに(なんと!)贅沢にもzAkさんを招いて開催した先行アルバム試聴会は、プラネタリウムに映し出される惑星を眺めながら5.1chサラウンドでジェフの新作『Planets』を体感するという何気にぶっ飛んだイベントだったんですが、これは来年2月のリリース、そして若き天才指揮者と言われるアンドレア・バッティストーニ × ジェフ・ミルズのコンサートへと繋っていきます。
音楽ビジネスに関わるものとして流行り廃りを横目に見ながらも、何より独創性に溢れるアーティストたちのチャレンジングな仕事にスタッフとして興奮しつつ来年も仕事したいと思います。ぜひ現場でお会いしましょう!