日本でのレディースファッション誌やファッションショー、そしてテレビなどと様々なメディアを通して活躍し絶大な人気を誇るモデルELLI-ROSE。そして、VAN CLIFFE / ELLI-ROSEとしてDJの側面を持ち、東京のパーティーシーンをはじめ、アジア各国、ロサンゼルスやスペインのイビサでもDJデビューを果たした実力者である。モデルDJという言葉が彼女を色眼鏡で見てしまいそうになるが、コアなダンスミュージックフリークからも彼女のプレイは賞賛されており、非常に稀有な存在ではないだろうか。今回インタビューを行ってみて、彼女の開けた音楽性の所以が分かった。

Interview & Text : yanma (clubberia)
Photo : 難波里美 (clubberia)

SOUNDTRACK OF LIFE #01
Pink Floyd - Wish You Were Here

VAN CLIFFE / ELLI-ROSE:
1番最初に音楽に興味を持ったのが3、4歳の時なんです。親がいつもPink Floydを聴いてたんです。特に聴いてたアルバムが『The Wall』で、ドライブの時に絶対と言っていいほどかかっていました。当時、ブリトニー・スピアーズのようなポップミュージックが世の中で流行っている中、この音楽は全く別ものだなっていう認識はしていました。それが常に家や車の中で流れていたので、どこか恋しさだったり、いろんな感情が入っている曲なんです。それからダークというか、わざと暗くしているような曲を選ぶようになったんです。


- 最初のエピソードでUKプログレッシヴロックの黄金期を築いたバンドPink Floydの名前が挙がることなんて全くをもって思いもしなかった。それが受動的にとはいえ、世の中のポップスとは全く違うものとして、幼い彼女が認識していたのにも驚きだ。置かれた環境が人格の形成に影響を与えるのは衆知の事実だが、決して流行に流されない彼女の音楽性の土台はこの当時出来上がっていたのかもしれない。

SOUNDTRACK OF LIFE #02
Radiohead - NUDE

VAN CLIFFE / ELLI-ROSE:
15、6歳からRadioheadヲタクになっちゃいました。Thom Yorke大好き!みたいな。女の子の親友と2人でライブ見に行ったりしました。デビューアルバムの『Pablo Honey』もパンクで結構好きだけど、電子音楽に切り替わった『OK Computer』あたりからが特に好きでした。そこからずっとRadioheadが好きで、『In Rainbows』というアルバムに入っている「NUDE」っていう曲が特に好きです。それこそ失恋の時とか元気になりたい時にも聴いていた曲なので。


- Pink Floydを経てRadioheadへ辿り着くのは自然なことかもしれない。それでも、クラスメイトの女子がRadioheadを聴いているというのを、自分の過去に置き換えて想像した時に、彼女はやはりマイノリティーな存在だということを痛感する。彼女が今も昔も変わらずに憧れ続ける唯一の存在というThom Yorke。インタビューを行ったこの日から数日前、UNDERCOVERのパーティーにThom Yorkeがシークレットゲストとして登場したのだが、その日Thom Yorkeのフロントアクトを務めていたのが彼女だった。

SOUNDTRACK OF LIFE #03
Tevo Howard - Move(Acid Mix)

VAN CLIFFE / ELLI-ROSE:
20歳の時からDJを始めるようになりました。ちょうど青山の”Le Baron de Paris”がオープンした時で、私もちょうど20歳になったので、誕生日パーティーを盛大に開催したんです。その後から月1回で”Le Baron de Paris”でパーティーをやるようになりました。この時、まだDJミックスはせずにセレクトだけしていたんですが、徐々に練習をしていってという感じです。当時よくかけていたのがTevo Howardの「Move(Acid Mix)」でした。当時、ハウス、ディスコをかけることが多かったんですけど、これはソフトなアシッドハウスでパーティーのラストにもかけられるような曲です。


モデルという仕事もスタートし、そしてDJとしての側面も持つようになったVan Cliffe。モデルとして表に出ていた分DJとしてのデビューがスムースだったと語るいっぽう、モデルDJであることに、周りから、にわかDJのように思われることが大変だったとも話してくれた。そう思われるのは、もちろん誰でも嫌だと思うのだが、モデルをしているのは事実で。ただ、気付いてくれる人は気づいてくれるし、聴いてくれる人は聴いてくれる。発信しているものをうまくキャッチボールできていれば、その人数が少なくてもいいという信念を持ってずっと地道に頑張ってきたと彼女は語る。そして今はテクノパーティーだったり、”WOMB”でNina Kravizのオープニングに抜擢されたりするようになった結果をみると、自分に嘘をつかずにやってきた彼女の音楽に対する真剣さが伝わってくる。

SOUNDTRACK OF LIFE #04
Donato Dozzy - Vaporware 07

VAN CLIFFE / ELLI-ROSE:
9月にあった「Labyrinth」行って最後のDonato Dozzyの4時間セットで聴いて泣きそうになりました。とにかくメロディーラインがきれいで、音がアクロバティックなんです。彼らしいサウンドのオンパレードで、この曲は結構買ってる人も多くてTECHNIQUEでも即完でしたね。
最近、音楽って自分の環境を変えるだけで同じ曲でも全く違って聴こえるから、それがすごく楽しくてしょうがないんです。この曲も運転している時に聴こうとか、お風呂の中できこうとか寝る前にヘッドホンで聴こうとか。クラブで聴くだけじゃなくてその1曲を最初から最後まで聴くことの大切さも忘れないようにしています。その曲を作った人の気持ちが入っているから最後まで聴きたいって思うんです。