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クラベリア・フェイバリット・ミュージック - 2022年5月〜6月 -

  2022年5月から6月にかけてリリースされた日本人アーティストによるリリースを5タイトルピックアップ。テクノからエクスペリメンタル、そしてダウンビートまで、多彩なエレクトロニック・ミュージックをご紹介。

from A to Z⬇︎


COMPUMA 『A VIEW』

選曲家・DJ・レコードバイヤーとして、日本のダンスミュージックシーンを支えてきたCOMPUMAが、自身のソロ名義初となるアルバム『A View』をリリース。北九州のグループ〈ブルーエゴナク〉による演劇「眺め」のために同氏が手掛けた楽曲が素材となっているという本作品。耳をそわそわさせるようなサウンドから、脳をマッサージするような電子音、心地よい環境音楽に変わったかと思えば、シンセサイザーの波に包まれてしまうような、多様な音世界を見せてくれる同アルバムは、ピースミュージックの中村宗一郎氏がマスタリングを手がけていることも相まって、最高品質の実験的音楽アルバムに。繊細なサウンドシステムで聴くことが待ち遠しくなるような作品だ。


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Shoko Igarashi 『Simple Sentences』

バークリー音楽大学でジャズの教育を受けた才女、Shoko Igarashiが、自身のデビューアルバムをリリース。全体的には80年代の良質な日本産シティ・ポップを彷彿とさせながらも、ヨーロッパのブリープ・テクノからキッチュなディスコサウンドが混ざり合うこの新しい音楽体験は、山形から世界へと飛び出た彼女の経歴を反映しているのかもしれない。中でも"AppleBanana"と名付けられた1曲は、どこかノスタルジックな日本への想いを感じさせる同作のハイライトとなっている。

 
 

¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U w/ friends 『Midnight is Comin'』

唯一無二のスタイルを貫く¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uがシンガポール発のレーベル<Midnight Shift>から発表した渾身の1作は、彼が信頼を置く音楽プロデューサーらの手を借りて、1つの壮大なストーリーを描き出すコンピレーションアルバム。DJ NOBU、YPY、COMPUMAなど日本を拠点に深淵の道を突き進み続けるアーティストを中心に、インドネシアのガムランガバユニットGabber Modus Operandiや、フランスシーンの新世代ダンスミュージックを牽引するConiも個性が爆発する楽曲を提供している。現場ごとに多様な顔を見せる同氏だが、このアルバムを聴けば、彼の根幹に流れる鋭くも美しいエネルギーの一端に触れることができるだろう。



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Yuzo Iwata 『Kaizu』

ベルリン在住のDJ/プロデューサーとして知られるYuzo Iwataが、キャリア初となるアルバム「Kaizu」をオーストラリアの人気レーベル<Butter Sessions>からリリース!以前にも、全編自身の未発表曲で構成したClubberiaのPodcastがRAの<Mix of the day>として取り上げられ、同氏のダンスミュージックに限らない音楽への造詣の深さが広く知れ渡ることとなったが、本アルバムも1つの言葉で形容するのが難しいほど多様な音楽性を持った仕上がりとなっている。時間感覚を失ってしまうようなトラックから、民族的でファンキーな仕上がりのトラックがかかったと思えば、ノスタルジックなサウンドのエレクトロまで。日本の人気タトゥーアーティストTAPPEIが手がけたというジャケットの裏には、Iwata氏がホームと呼ぶ札幌の伝説的クラブ<Precias Hall>のスローガンも刻印されており、強い思いを感じ取るができる傑作だ。



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井出靖 『Cosmic Suite 2 -New Beginning-』

80年代から活動を開始し、音楽レーベル<Grand Gallery>を主宰する井出康が『Cosmic Suite 2 -New Beginning-』のリリースを発表。2020年に発売された前作は、ジェフ・ミルズが共作を行った36分の宇宙組曲として話題となったが、今作もその壮大なテーマは変わっていないようだ。根底にはアフロビート、ダブ、フリージャズの影響がありながら、幅広い音楽性を持つこのアルバムも、高木完やDJ KRUSH、UAなどの日本を代表する個性的なミュージシャンによって、何度聴いても退屈しない素晴らしい音楽に溢れている。ジャケットは、前作と同様<GALLERY DEPT.>のファウンダーであるJósue Thomasが手がけており、まさに井出靖のみが産み出すことができた1枚と言っても過言ではないだろう。