Photo & Text : A. Y. Motiski













以上ライヴ・DJセットについてレポートしたが、バルセロナのSonarはヨーロッパの音楽フェスティバルとして最大級であり呼ばれるアーティストも非常に質が高いというだけでない。このイヴェントが際立っているのは、特に技術的な側面から音楽のトピックを幅広く取り上げ、昼の部の会場では音楽機材やアプリーケーションの展示、音楽配信の現状や教育活動など様々な問題について話し合うアーティストや音楽関係者たちによるパネルディスカッションなど様々行っているという点が挙げられる。


またMusic Hack dayに隣接するスペースではヨーロッパ各地から集まった人々がワークショップを行うハッキング・スペースが設けられていた。





Sonarのイヴェントとしての様々な面をレポートしてきたが、バルセロナ市の肝いりのイヴェントでもあり、今年20周年を迎えたSonarは最早単なる音楽フェスティバルであることを越えた存在感を持っている。筆者は今年バルセロナでのSonarを観たのは三度目で、個人的にバルセロナで開催されている様々な音楽フェスティバルを観ているが、Sonarを特別なものにしているのはクリエイティヴでバランスの取れたディレクションのあり方であったり(観客動員数に関していえば12万人、昨年比25%増で今回過去最高という報道もあり商業的には十分成功していると思われる)、大規模なステージプロダクションだったり、他にはないものがあるということもあるが、Sonarをイヴェントとして別格であると考えている観客の存在だ。3日間も朝と夜の部を通して参加した後、もちろん皆疲れているのだが、全てのステージが終わった後に混みあった会場の玄関からどこからともなく拍手が沸き起こる。朝の8時過ぎ、疲れ果ててもうみんな早く帰って寝たいはずなのだが、Sonarを最後まで見終わった達成感に満たされていることがわかる。皆口々にSonarはヨーロッパ最高のイヴェントだと言い、国境を越えて訪れて来る。もちろん根底には音楽やエレクトロニックミュージックへの愛情もあるだろうが、サッカーなどとは違った形で国を越え支持されているある特別な現象になっているようだと実感させられる。残念ながらスペインでは経済危機が長引き年々地元のスペイン人の割合は少なくなっているようだが、それでもこのSonarはこの危機的な状況で数少ない希望が持てる材料になっているように思う。Sonarに寄せる想いは結局人それぞれだとは思うが、ぜひ日本からもどんなものか実際に観に来てもらいたい。イビサの高級リゾートやばか高いクラブで散財することとは違った驚きや楽しみがあるはずだ。








































