今年もバルセロナにSonarの季節がやってきた。毎年世界数都市で行われ、今年はストックホルム、レイキャビク、東京、ケープタウン、来年はコペンハーゲンと世界規模の音楽フェスティバルになっている。20周年でKraftwerkら大物アーティスト揃い踏みだった昨年に比べると、今年は少し落ち着いたラインナップではあったが、それでもMassive attackやRöyksopp & RobynやNile Rogers率いるChicなど充分豪華なもので、次から次へと大物アーティストのステージに人が殺到するような年よりも、逆にエレクトロニック・ミュージックの祭典としては余裕を持って聴いて踊って楽しめるものになっていた。日本からは2011年に引き続いて真鍋大度とPerfumeの振付で知られるMikiko率いるElevenplayによるパフォーマンス、Emufucka(DJ)、Sputniko!(トークのみ)らが参加してそれぞれ健闘していた。
Text & Photo : Toshinao Ruike


「人 対 国境」「自由 対 秘密」「詩 対 スローガン」「音楽 対 産業」「民主主義 対 資本」「(次の国王に即位する予定の)フェリップ4世は退位する」、そしてスペインの与党PPの政治家がコンサートのたった数時間前に物議を醸した「(民族主義を煽る)カタルーニャの学校はうまくいっていない」という発言、そして現在ブラジルで盛り上がっているワールドカップに莫大な費用がかかっている問題など、現地の人間でないと中々出てこないようなリアルタイムなトピックも含まれていた。
影響力も少なくない英国のグループであるMassive Attackが独立志向の強いスペインのカタルーニャ州において現地語で、しかも複雑な現地事情に通じた政治的なステートメントを表明することはとても勇気のいることだ。昨年のSonarではKraftwerkが日本の原発問題についてはっきりとした反対姿勢を曲中で表明していたが、必ずしも簡単な解決方法がない諸問題について著名なアーティストもきちんと意見を言える環境があるということは、バルセロナに関して言えばはっきりとそうだと言えるだろう。





その他に、相変わらずパワフルなNeneh Cherry、DJとして脂が乗っていたTheo Parrish、サイケデリックな演出が印象的だったMatmos、スタイリッシュなDJセットで盛り上げていたGesaffelstein、3日間大きな木材でできた装置をがっこんがっこん突いたり叩いたりして演奏していたカナダのサウンド・アーティストMachine Variationなどがとてもよかった。






















