INTERVIEWS

Ryoma Takemasa

まずは自分が聴いて、曲の順番だったり、山があってという流れの起伏とか、アルバム全体の流れに違和感がないようにDJプレイと同じ感覚で作ってみました。そして、もともと過去にデジタルでリリースしていた曲も、このアルバムの流れを考えて若干の手直しとかもしました。とにかく、全体にストーリー性を持たせるよう意識しましたね。 「Dual House Groove #5 (Album Edit)」ですね。 男性が"Catalyst"という言葉を何度も語っているレコードを持っているんですが、その声にインスパイアされた曲なんです。ちなみに、"Catalyst"というのは「起爆剤」という意味で、"何かと混ざり合って促進させる"ということなんですよね。もしこのアルバムを聴いてくれた人がいろいろなことに対して積極的になれたらという希望も込めてこのタイトルにしました。 今回はボイスネタに限らず、あらゆる細かい音に至るまで、8割くらいはさまざまな音を混ぜ合わせコラージュして構築しているんです。例えば、「Jules And Vega Talking About Foot Massage」というトラックは、とある曲の一部分のピッチを極端に下げてループさせて使ったり。多種多様な方法でコラージュしています。 今作は、アナログのフィーリングとデジタルのフィーリングの部分をうまくバランスとって、どっちにも行き過ぎにならないようにしてみました。 まったく繋がっていなかったんです。彼の「You Forgot」を大胆に引用していますからね(笑)。実はアルバムの完成間際にレーベルオーナーの堀野さんとこの曲のことで話をしたんです。リリースするからには許諾関係をクリアにしたいと2人の意見は一致しました。黙って収録することは避けたいと。それと同時に「Catalyst」の存在はアルバムの中でとても重要で、その曲が入るか入らないかでアルバムの内容が大きく変化すると思ったんです。兎にも角にも、直接Theo本人にサンプルの使用許諾を得るしかないと。そのためにはデモを聴いてもらう方法が1番だったんですよね。そして、堀野さんが、日本の窓口でもあるAHB(A Hundred Birds Production)を通して、直接彼にコンタクトを取ってくれて、デモを送ったら快く「いいよ!」ってメールが来たんですよ。 例えば、「Mr. And Mrs….」は、、、たまたまiTunesを見た時に、「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr Lawrence)」が出ていて、その"Mr"という部分にインスピレーションを受けて、それでこのタイトルにしました(笑)。「Strictly Street (My Home Setagaya)」なんかは、「Street!」と言っている曲にインスパイアされて"Street"と、「Strictly」は、ダンスミュージックのレーベル名で『Strictly Rythm』という名前があるのですが、そこから。そして、「setagaya」は、世田谷に住んでますってコトで(笑)。
ちなみに、3つを繋げたのは、Fishmansの曲で「宇宙 日本 世田谷」というのがあって、そこからです。Fishmansは大好きですね。 やはり、最初は曲単位で制作していたこともあり、DJの視点中心で作っていたんです。自分のアルバムだから無理をして内容を180度変えようとは思わなかったですね。無理して自分に合わない曲を作ったとしても、結局は自分の物ではないですから。 「Strictly Street (My Home Setagaya)」ですかね。ヒップホップのビートを引用しているのですがノイズがひどくて、それを取り除くのにちょっと苦労しました。そして僕の場合、タイムストレッチを使用せず、ビートの部分を切り刻んで、ひとつひと調整して違和感のないビートを作っているです。タイムストレッチだと恐らくこの音の感じは出ないんではないでしょうか。 やはりアルバムを買ってくれた人のことを意識して作ってみては?とアドバイスがありましたね。 いえ。Teruyuki Kurihara aka Cherryくんというからもリリースしているアーティストがいるのですが、もともと彼の紹介なんです。昔、"COLORS STUDIO"という西麻布にあったクラブで僕が働いていて、そこでやっていた「ローカルモーション」というパーティーで彼と知り合ったんですよ。その後、彼はから作品をリリースして、彼が堀野さんに僕のMY SPACEのページを教えてくれて、堀野さんが僕のデモ曲を聴いて気に入ってくれて直接連絡があったんです。 KENTさんは知り合いではなかったので堀野さんの繋がりでお願いしました。堀野さんとは「Deepn'」を2つのバージョンのリミックスを作ろうという話をしていて、2人でKENTさんとGonnoさんに願いしたいというアイデアが浮かびました。Gonnoさんのリミックスは、リリースして1年以上たっていますがいまだにJames Holdenが気に入ってDJで使ってくれているみたいなので嬉しいです。 これは、のコンピレーション"A Day Of Rain"(USCD-1001)でもフィーチャーされたフォトグラファーの松田康平さんの写真です。彼の撮影した東京の写真の中から選ばせていただきました。 そうです。ヒップホップのDJをしていました。 もともと僕は、10年間カルフォルニアに住んでいたんですけれど、帰国後、アメリカに一時戻った時に、現地の日本人の友達の誘いのもとでホームパーティに連れていってもらったんです。そこは、Sven Vathとかのジャーマンテクノが流れるパーティーで、とても衝撃的だったんですよね。設備が良いとか、音が良いとか、そういうのではなかったにですけど。会場は空家を使っていて、バーとか、ブースとか、スピーカーを持ち込みで、すべて自分たちで作っている、まさにDIYパーティーだったんですよね。皆が自由にパーティーを楽しんで遊んでいる感じにとても影響を受けました。 フロアーの真ん中に映画の「エマニエル夫人」が座るような大きい椅子が置いてあって、そこにずっと座っている人がいるんですよ。しかも、ブレイク明けでキックが入るとその人が絶対に笑うっていう、、、とても怪しいパーティーでした(笑)。
ルールとか、セオリーがない、とにかく何でもOK。告知も友達同士だけで、しかもフリーパーティー。超アンダーグランドだし、それで成り立つのが良いですよね。こういう遊び方もあるんだって。だから日本に帰ってからは、いろいりなパーティーに遊びに出歩くようにしたんです。そうしたら、徐々にテクノとかハウスとかにも興味が出始めました。 日本に帰国したのが2004年で、ちょうどJeff Millsが渋谷の"Womb"で「Time Sensitive 2004」という、4週連続パーティーでDJするという企画をやっていたんです。そこでは、KenseiさんやKen Ishiiさん、あとはデトロイトからDJを呼んで同時にブッキングされていたり、いろいろな人とセッションしていたのを覚えています。僕にとってのダンスミュージックはデトロイトテクノが入り口で、少しずつハウスとかにも興味を持ちはじめたんですよね。僕にとってデトロイトテクノの魅力の1つは、大好きなヒップホップとアティチュードが似ているところ。だから僕自身ヒップホップからデトロイトテクノへは入りやすかった。 90年代半ばのヒップホップです。Jeru the Damaja、Black Moon、O.C.とか、もちろんA Tribe Called Questも聴いてました。ミドルスクール中盤以降からニュースクールにかけてですね。 もともとは、ハードコアを好きだったんですよ。Kornとか、Coal Chamber、Mudvayneとか、95年のニューメタル。そこからDJ Qbertとか、D-Stylesとかのスクラッチ系ブレイクビーツを聴くようになっていく中でヒップホップに傾向していきました。 それは中学生の時に。その時はアメリカに住んでいたんです。授業中にTRFをヘッドホンで大音量で聴いていたんですよ。 当時、住んでいた家の近くに日本の映画やテレビ番組とかを置いているレンタルビデオ店があったんです。そこで、「ミュージックステーション」とかの日本の歌番組を親が借りてきて観ていたんですよ。あと、リトルトーキョーでも、日本の音楽が売っている場所があったので、そこで買って聴いたり。その時は、TRFとかの小室ファミリー全盛期でよく聴いていました。同時にオリコンで上位のJ-POPを聴いていましたね。 はい。その時に、隣の席に座っていた、マジックでツメを真っ黒に塗っている、いかにもハードコアを聴いてそうなアメリカ人の男の子がいて、彼が「何を聴いているんだ?」って僕に話しかけてきたから、ちょうど聴いているのを聴かせてあげたんですよ。そしたらその彼が、「こんなワック(偽物)な音楽を聴いてんじゃねーよ、コレを聴け!」って渡されたのがKornのCD(笑)。最初、聴いたときは「何コレ!?」ってなりましたよ。だって、ボーカルが泣き叫んでいるんですから(笑)。 そうです。ただ、その時って友達とうまくいってなかったり、反抗期だったり。個人的にもいろいろあった時期なんです。だから。。。 ガツンと来ちゃったんですよー(笑)。そこからツメを黒く塗り出したり、ラバーソール履いたり。。。それまで僕にとっての音楽は、家にいて勉強する時に軽く聴く程度だったんですけれど、そこから音楽が中心の生活に変わりましたね。 そうです。 そうですね、、、作品でいうと、Miles Davisの『Bitches Brew』というアルバムですかね。 そうです。あと、彼の『Dark Magus』というアルバムも好きです。それに、やはりKornとJeru the Damaja。Matthew Herbertにも影響受けましたね。"少年ナイフ"にも。 今も週末には図書館へ行ってCDを借りたりして、昔のいろいろなポップスを聴いています。意識的に音楽は、いろいろと幅広く聴くようにしてます。 20歳の時かな。バンドもやっていなかったし、もともとは純粋なリスナーでした。 周りの友人が音楽を作っていたので、そこから興味本位です。当時の大学の友人に「Fruity Loops」という音楽ソフトを使っている人がいたので教えてもらって、それを使って音を作りはじめました。ちょうどDJもやっていた事もあり、自分が使いやすいトラックを作りたいと思いはじめたんです。 そういう訳ではなく、、、ただ自分の中で「こういうのがあったら良いのに!」という衝動で音楽を作りはじめましたね。その後にサンプラーのMPC 3000という機材を買って、それから今に繋がるヒップホップやハウスとかを作り始めたんです。最初は、手探りで遊び感覚でだったので、曲として完成しているものはほとんど無かったですね。いわいるオリジナル曲は大学を卒業して、「Logic」という音楽ソフトとシステムを導入してから、本格的に作り始めた感じですね。 「Logic PRO7」です。僕はそのLogicでは基本的な操作しかしないんですけれど、僕にとっては使いやすいんですよね。サンプリングには、MPC3000を使っています。サンプリングした音源を「MACKIE」の16チャンネルのミキサーを介して「Logic」に取り込んで編集という感じです。制作は、ほぼサンプリングです。 あまり自分では曲を作っているという感覚がないんですよ。どっちかというと編集感覚ですね。 そんなカッコイイものでもないです(笑)。ダンスミュージックはもちろん、とにかくもっとおもしろい音を作ってみたいですね。 24歳の時に自主制作でリリースしました。またやりたいと考えてます。ただ、個人の資金でやっているのでお金が貯まったらやります(笑)。 ありがとうございました。 ■Label web-site:
http://www.unknown-season.com

■Ryoma Takemasa "Catalyst" youtube PV
http://www.youtube.com/watch?v=m08kxHagZ78&feature=youtu.be

■Ryoma Takemasa "Catalyst" CD詳細
http://unknown-season.com/release/uscd-1002/