華やかに見えるクラブ/ミュージックシーン。アーティストには、眩しい照明が当てられ大きな歓声が降りそそぐ。アーティストを光だとすれば、シーンを影として支える多くの人たちがいる。今回のclubberia featuresでは、プロモーター、レーベル、メーカー、ショップなど、影からシーンを支える人々にスポットを当て、それぞれの立場から2013年を振り返ってもらい音楽をキーワードにコラムを書いてもらった。音楽業界で働く人のほんの一部ではあるが、どういったことに彼らが着目しているのか?それぞれの立場だからこそ見えてくる状況というのは?この特集をご覧頂ければ2013年という年がどういう1年だったのかが見えてくる。(表示順不同)

message from

 

井上 揚介

OTAIRECORD CEO / 2013DMC JAPAN オーガナイザー

 

寿福 知之

株式会社KADOKAWAメディアファクトリー 音楽企画制作局 A&Rプロデューサー

 

眞鍋 孝太郎

WAKYO inc. / CEO, DJ, Photographer

 

ツチヤマサヒロ

Rainbow Disco Club / Raft Tokyoオーガナイザー

 

多良間 孝紀

株式会社ディリゲント マーケティング部 / マネージャー

 

 

布施 裕毅

FAC51 THE HACIENDA JAPAN / ディレクター
Sankeys Manchester

 

橋本 洋

soundrope / Producer

 

ITOBOY

mdp/AD

 

AKIKO USUKI

TEAL Inc 代表

 

根川 亮

Lexington Co.Ltd / 宣伝、マネージャー、A&R

 

 

MANABU HOSAKA

WEEKEND WARRIORZプロデューサー / 株式会社PLUS 代表取締役

 

桜井 洋平

(株)ディーアンドエムホールディングス / DENON DJ Asia Pacific Sales & Marketing担当

 

Masanori Naruse

Photographer

 

浅野 森

Musicmine / Project Manager

 

中田 祥吾

タワーレコード渋谷店 / 洋楽クラブミュージック担当

 

 

田代 純

BBQ

 

toshiya kawasaki

mule musiq

 

市原 泰介

Power DJ's楽天市場 店長 / Power DJ's池袋店 主任

 

ジェイムズ 松木

プロデューサー

 

丹野 篤史

Underground Galleryマネージャー

 

 

YASUHIRO ARAKI

プロモーター / プロデューサー

 

井上 理恵

Native Instruments Japan株式会社 / Marketing Associate

 

傍嶋 賢一

オヤイデ電気 / ディレクター

 

田中 木里子

Beatink PR

 

六本木 佑吾

東京スタイル(株) 代表取締役

 

 

Yoshi Tsushima

CEO/A&R of origami PRODUCTIONS

 

鳥山 博史

Lastrum Music Entertainment Inc. 宣伝部長 / Heartbeat A&R Producer

 

安澤 太郎

TAICOCLUB/プロデューサー

 

熊沢 秀剛

完実電気株式会社 / Beats by Dr. Dre ブランドマネージャー

 

YAMA

Sublime Records主催

 

 

浅井 利浩

フリーランスメディアプロモーター

 

大上 順也

Pioneer DJプレス


 

nik

PROGRESSIVE FOrM/主宰

 

tocci

eastaudio SOUNDSYSTEM / outlookfestival.JP / サウンドシステムプロデューサー

 

二木 信

音楽ライター

 

 

望月 大輔

ベスタクス株式会社 製造本部 主任

 

千葉 トシユキ

REALROCKDESIGN 代表

 

RYO WATANABE

プロモーター / DJブッキング・エージェント / FACE / ESCAPE オーガナイザー

 

佐藤 勢一郎

Motherオーガナイザー / Mother Productions.inc

 

yanma

clubberia 編集長



井上 揚介

OTAIRECORD CEO / 2013DMC JAPAN オーガナイザー

ABOUT
OTAIRECORDは、2000年6月にインターネット販売を開始。CD屋を経営する傍ら、ネットでレコードが売れる事に気付き、メジャーでミーハーをコンセプトに発売。DJ機材も販売し始める。近年はYOUTUBEでも動画を配信している。

http://www.otaiweb.com/

情報と存在感は常に相対的。では、どうすれば?を常に考えていた1年。

んちゃ!皆様、2013年はどうでしたか?

OTAIRECORDでは、PCを使ったDJがたくさん売れました。しかしタンテも、CDJもクラブの現場で、しっかり使われているので、底堅い人気が。TRAKTORやSERATO、ABLETONなど新しいものを使う人もいれば、アナログの世界にこだわったスタイルも。今年輝いてた音楽人は、それぞれのベクトルで楽しんでいる感じ。

今年もスマホのシェアは伸び、回線のスピードもさらに底上げされ、情報がより一層速くなった。10年前と比べ我々の受け取る情報量は数百倍にも及ぶ。個人的に「数百倍」と聞いても、天文学的数字というよりちょっと納得。そんな中で、右往左往で結局どのスタイルも身に付かなかった。オーディエンスで言えば、行きつけのパーティなんかが定まらなくて、そこまで楽しめなかった、みたいな話を聞く。情報が増えれば増えるほど、根をおろして、スタイルを深化させ続けている表現者に目が行く。2014年も情報が増えれば増えるほど、自分は、どこに身をおけばいいのか、どのような表現をすればいいのか、ということが試される。情報と存在感は常に相対的だ。

個人的な2013年はまず「DMC JAPAN 2013」のオーガナイズ。2012年空白の1年がありましたが、DJ業界あげての熱意で、「DMC JAPAN」が復活。そりゃ泣きますよ!皆さんのおかげで復活した、最高な大会だった。

あとは、オタレコ大学って名前でいろいろ音楽セミナーを行った。音の造詣を深め素晴らしい音楽人生を過ごしていただく提案。端的に言うと、昔はアルバム買ったら、ライナーノーツを読む。無駄話なんて書いてあったりもして。そうすると、このアーティストは、ステーキが好きなんだ、みたいな無駄なこと考えながら聴くから記憶に結びつく。音楽機材だって今や説明書もPDFのみってのもある。それもいいけど、紙で漫画とか小説付きの説明書とかあったらウケる気が。ユーザーも思い入れしたいのにできない。そんな世に問うために敢えて面倒くさいことやってやる、そんな大学。

2014年も楽しみましょう。

寿福 知之

株式会社KADOKAWAメディアファクトリー 音楽企画制作局 A&Rプロデューサー

ABOUT
株式会社KADOKAWAメディアファクトリー内にて、〈FABTONE RECORDS〉〈RADTONE MUSIC〉 〈XTAL RECORDS〉〈GOON TRAX〉〈CLUSTER SOUNDS〉〈OHANA MUSIC JAPAN〉の6レーベルを設立。ロック~ダンス~ハワイアンまでを担当し、ミュージシャン/DJ/父親として雑食な日々を送る。

https://www.facebook.com/tommyjfk

革命前夜

2013年、革命は起きなかった。
SpotifyもPANDRAも日本ではサービスインせず、iTunes Radioも日本対応はしないまま終わる模様。トム・ヨークやナイジェル・ゴドリッチといった、ビッグアーティストの「Spotify叩き」のニュースを取り上げるメディアは、未来あるアーティストを応援したくないのか?ただ単に頭が悪いのか? それよりも、music ChefやGAmusic、FaRaoといった、日本発信のレコメンド型サービスにもっと注目すべきだったはずだ。って、これはそんなに悲観的な話ではない。音楽は「ダウンロード」から「ストリーミング」へ、「押し売り」から「嘘偽りのないレコメンド」へと、大きな転換期を迎えている。数年後、「2013年は革命前夜の年だった」 そう言われているかもしれない。

そんな現代をサバイブするアーティスト諸君へ。
SNSで気軽に「見込みファン」層と繋がり、「音源リリース」(勿論最初はデジタルだけでもいい)でふるいにかけ、「ライブ」で「コアファン」へと育てあげる。これを定期的なペースで続けながら、「デジタル配信」「パッケージ」「ライブ」「グッズ」の4本柱で収益を上げていこう。昔と違い、PC1台とネットがあれば、1人で何だってできる時代なんだ。人前に出るのが苦手なら、TUNECOREで世界配信し、課金型ストリーミングライブを行い、オンラインでグッズ販売すればいい! 「引きこもり総アーティスト化時代」の到来だ!笑 アラサー以降の甘い汁を吸ってきたアーティストの皆様へ。
既存ファンを囲い込むだけじゃ、10年後、いや5年先も闇だ!「音楽」という大きなファミリーの中で、もう立派な父、母になったのならば、シーンの中で切磋琢磨している「デジタルネイティヴ世代」の息子(新人アーティスト)たちをフックアップした方がいい。そすれば、間違いなくあなたの「アーティスト価値」は高くなり、「アーティスト寿命」は劇的に伸びる。

さぁ、2014年に革命は起きるか? オイラはまだ見ぬ音楽革命の担い手の1人でありたい。そんなことを考えながら、来年も糖質ゼロの発泡酒をあおる日々を送ろうと思う。

眞鍋 孝太郎

WAKYO inc. / CEO,DJ, Photographer

ABOUT
90年代初頭から、ヨーロッパのトラベラーたちとの交流によりパーティー黎明期からシーンへと関わり始めたことで、DJ、オーガナイザー、プロデューサー、フォトグラファー、ライターなどあらゆる現場で活躍してきた。古くはトワイライトゾーンに始まり、EQUINOX、テクノフラックスを経て、現在はWAKYO代表に就任。

http://www.otaiweb.com/

世界に倭を響かせ、倭を僑る

今年はこれ迄の経験を新しいフィールドで活かすことが多い1年でした。ダンスミュージックシーンで培ってきたサウンドセンスとノウハウで、Juno Reactor / Final FrontierをTOYOTA 86のプロモーションに起用していただけたほか、このような企業系クライアント様への楽曲制作の業務が大幅に増えました。

イベントにおいては、柴崎コウとJuno Reactor 、ROVO and SYSTEM 7といったコラボレーションライブを展開。異なった才能を掛け合わせて起る化学反応を楽しんだ1年でもありました。また、世界最大級のダンスミュージックカンファレンス「Amsterdam Dance Music Event(ADE)」にメディアパートナーとして参加。(この模様はclubberiaのパーティーレポートページでご確認いただけます。)

さらにWAKYO Amsterdam & VAST名義で「SUNDAY SUNSET SUSI SESSION」なるADEオフィシャルイベントを開催。WAKYOの正式な漢字表記は倭響となっていますが、日本文化を世界へ発信する意での"倭僑"という意味も込められている使命を今迄で1番果たす事ができた年だったかと思います。これらの出来事は、今年1年の結果ということでなく、来年そしてその先数年に及んで飛躍し続けるための第1歩。まだまだ通過点でしかありません。

ツチヤマサヒロ

Rainbow Disco Club / Raft Tokyoオーガナイザー

ABOUT
野外パーティー「Rainbow Disco Club」、東京の地下をぐるぐる廻るパーティー「Raft Tokyo」主宰(現在は休止中) 最近では新たな活動として「HOW GOOD IT IS」もスタート。

ギャンブルにめっぽう弱く、コーヒーとモヒートが好き。大好物のウイスキーは最近控え気味。雨が夜更け過ぎに雪へと変わる瞬間に心震えるロマンチスト。

暇な時は寝てばかり。おかげで今年も健康診断ではA判定を獲得。

魚座のAB型。165cm 55kg。


http://www.rainbowdiscoclub.com

変化の2013年。この先の未来へ向けての大きな一歩

大きな変化が起こった一年でした。去年に比べてとてもいい変化。嬉しいこともたくさん。何よりも大きかったのは仲間内での結婚、出産が続いたこと。一気に5人も。この中には自分の姉も含まれていて、もう自分のことのように大喜び。

5年間続けたRAFT TOKYOを休止することにはなりましたが、こういう形で一つ区切りをできたのは始めた当初では考えもしませんでした。仲間が新たな人生を歩んでいく姿はとても誇らしく、心から祝福できるものでした。でも実はちょっと寂しい気持ちにもなったりしたんですけどね。

2011、2012と中止になったRDCは耐え続けた末についに開催することでき、雲一つない青空の下、迎えた当日の朝のドキドキ。始まる前から言葉にできないほどの多幸感がそこにはありました。ついに開催できるんだと周りを見渡した時に、一緒にがんばってきた仲間たちが嬉しそうにしてるのを見て、「みんな同じ気持ちでこの日まで頑張ってきたんだ。自分だけじゃ絶対にここまで来れなかった」と溢れ出る感謝の気持ちで胸いっぱいに。ただ、体力的には本当にキツくて、終わる頃にはいつものみんなの感じに戻っていて、感動というよりも笑いが溢れる感じが自分たちらしくてなぜかとても安心したのを覚えています。

こうやって書いてみると、自分自身の変化というよりも、自分にとって大切な人たちの変化が自分に大きな刺激を与えてくれた1年だったようです。来年がより良い1年になりますように。それには自分だけではなくみんなが幸せであることが大切なんだと思いました。

多良間 孝紀

株式会社ディリゲント マーケティング部 / マネージャー

ABOUT
音楽機材/制作ソフトの輸入代理店に勤務し、DJシーンや音楽制作シーンに携わる。自身もDJ活動をしており、「平日は仕事を全う、休日は遊を全力に。」を座右の銘としており、妻子持ちとは思えぬ行動を示していたが、娘に「臭い」と言われた事をきっかけにパパ業にも精を出している。

https://www.dirigent.jp/

定番ってなぁに?

2013年は私が所属するディリゲントにとっては大きなターニングポイントであったことは、一般のお客様、アーティスト、同業他社も知るところであるが、改めてその話から。2013年頭に長年取扱っていたブランドがドナドナ~♪、ではなく、発展的独立という形で我が社を離れていった。ま、それについては予定されていた事であるのであまり大きな驚きはないが、そこから新たに日本国内に紹介するブランドを海外から集めてこなくてはならない。

1月にカリフォルニア州で開催されたNAMM2013、4月にフランクフルトで開催されたMusikMesse2013という展示会にて赴き、「日本にはまだ紹介されていないモノ」「日本で取扱いがないモノ」そして「皆に使ってほしいモノ」を探し、AlphaShpere、Serato、Xkey、πλ2などなど、、、今年だけで合計9ブランドまで獲得する事ができた。

そして、いざ国内で取扱いを開始するにあたりマーケティングなり、営業活動なりをするわけですが、舶来物ブランドとなると名が知られたブランドであれば定番化されやすいが、"本邦初"となるとそうはうまくいかない。もちろんそこで結果を出す事が使命であり、義務であると個人的には思っている。

定番と言えば、クラブ現場ではSL-1200シリーズという皆が憧れるターンテーブルがあるが、ここ数年でDJをはじめたDJさん達にとってはCDJで始めた方もいれば、DJコントローラで始められた方も多く、30オーバー(実はアラフォー)の私が定番と考えていた「これでしょ!」定番というものは無いに等しいのかもしれない。

そんな中、当社が扱うドイツReloopから今年新たなアナログターンテーブルが発表になった。Reloop RP-8000がそれである。正直、最初に資料が届いた時は「え?2010年代にタンテ新作?」とも思っていたのだが、今年はDMC JAPANも復活し運営にも携わったし、SL-1200シリーズが生産/開発完了を宣言し、"ターンテーブル人口が減るのではないか?"という危機感がある今だからこそ、ターンテーブルの提案は必要だ。しかも、Reloopが提案するのは従来のアナログターンテーブル機能だけでなく、PCDJにも対応すべくMIDIコントローラ機能を搭載してくれた。これは多くのパフォーマンス系DJからのリクエストが反映された形になっており、私個人も何人かのDJに触ってもらったが上々の意見をいただいているし、非常に自信を持っている。しかしながら、定番までの道のりは前述の通り険しいものであるし、既にDJ機器として定番メーカーがアナログターンテーブルを発表しないとも限らない。それでも「アナログの火は消さない」という心を持っている方がこの業界には多いので、私もその一旦を担いたい。

2014年もシーンに携わりながらこのRP-8000ターンテーブルがクラブ現場の定番になるべく、カラダを廃人にしない程度に精進してまいります。

布施 裕毅

FAC51 THE HACIENDA JAPAN / ディレクター
Sankeys Manchester

ABOUT
FAC51 THE HACIENDA JAPANディレクター。”CROSS MOUNTAIN NIGHTS”のPR、代官山"AIR"のプレスを経て、IMIに入社、広告・イベントプロデュースを行っている。想像と破壊の境界線・ポップとアンダーグラウンドの中間にアンテナを張り、ダイエットを考えながら暴飲暴食中。

http://www.fac51thehacienda.jp
http://www.sankeys.info

未来は僕等の手の中

まず、昨年から皆で寝ずに準備してきて4月のゴールデンウィーク。昨年に引き続き、”ハシエンダ大磯フェスティバル”を開催し、昨年を超す盛上りで2日間10,500人のお客様がご来場。この場を借りて再度、一緒に仕事した大勢の仲間と多数のお客様に最大の感謝をしたい。僕にとって昨年を超す為の苦労はまたとてもよい経験となりました。

夏に夏フェス、海の家など色々と仕事して9月。なんといってもそこらのキャッチコピーではないホントの日本最大のイベント、56年来の東京五輪招致決定。あまりスポーツに興味ないのですが、海外相手に仕事もしている僕の住んでいるとこの大家さんに『チャンスに乗り遅れるな!』と声高に言われました。(笑)
せっかく決まったのだから、見える問題は多々ありますが解決し、伝統の日本文化、+クールジャパン、+カジノと風営法改正でクラブも合法化、魅力的な日本で海外のお客様を”お・も・て・な・し”し、外貨を落としてもらい、世界観光競争力ランキングをもっと強めればよいと思います。お偉いさんの作るルールで国にとっても税収が見込めますし。

そして、12月現在。
クラバーたちの夢の島イビザに場所を移す為に一時休店していた'”DJ MAG Top 100 Clubs'”のランキング上位常連である、”Sankeys Manchester”が再開する運びとなり、リオープニング立上げメンバーとしてイギリスに来ています。仕事の1つに外販というイベントフライヤーやポスターをお店など人の目に留まるところに置いてもらうイベントプロモーションの基礎ともいうべき仕事があり、過去職の代官山”AIR”、”ハシエンダ”など数えきれないほど行っていたこの作業をマンチェスターの若い子について回ってきました。Back to basic。海外に来るといつも思うこと。知らない人ともコミュニケーションをしっかりする。見習わなきゃな。

そんなことを思いつつ、今年も終わります。車輪と袋と数学を考えついた人の賢さ、最近の女子の逞しさ、カニとウニを最初に食べた人の勇気、そして仲間にリスペクト。今日も僕らは生きていて、より良い未来を目指してる。それでは良いお年を。

橋本 洋

soundrope / Producer

ABOUT
音楽機器のウェブマガジンsoundropeのプロデューサー。ネットにあふれる楽器の情報を独自のフィルターを通して簡潔にご紹介。楽器にまつわる最新情報はsoundropeでチェック!2014年は新たなサービスを開始予定。

http://www.soundrope.com

2013年のおさえておきたい音楽アイテム3選

2013年もたくさんの機材やソフトウェアが発売されました。そのなかでも楽器と言う枠を超え、多方面で取り上げられた3つの製品があります。注目を集めた3つの製品は、KORG/volca、littleBits/Synth Kit、NATIVE INSTRUMENTS/TRAKTOR DJです。

この3製品の共通項を考えると「おもちゃ感覚」と言うキーワードが浮かび上がります。KORG/volcaとlittleBits/Synth Kitは、ともにシンセサイザーです。シンセサイザーと聞くと博士的な印象が強く、ちょっと敷居が高いかなと言うイメージを持ってしまいます。しかしこの2つのシンセサイザーは、誰でも気軽に楽しめるシンセサイザーとして、楽器と言うよりは、ガジェットとして注目を集めました。littleBits/Synth Kitに至っては、自分でシンセサイザーを組み立てると言う新たな楽しみも提供してくれます。

TRAKTOR DJは、TRAKTORソフトウェアと同様の機能を誰でも簡単に楽しめるアプリとして、似通ったDJソフトやアプリのリリースが続いた状況に風穴を開ける存在となりました。KONTROL S2/S4 MK2とのシンク感も素晴らしく、これにより今後のデジタルDJの主流は、パソコンからiPadやiPhoneへ移行すると予想できます。

アプリの登場により、誰でも簡単に使えるモノが望まれる時代ですが、上記の3製品はこの条件を満たし、独創的なアイデアを加えることでヒットにつながりました。誰でも簡単に音楽を楽しめる製品により、日本の音楽人口が増えて行くことに期待します!

ITOBOY

mdp / AD

ABOUT
ヒップホップ、レゲエを中心に開催しているパーティ「FEVER」や夏とクリスマスイブに開催している「SABISHINBO NIGHT」等を主催しているmdpで働くアシスタントディレクター。パーティをこよなく愛し『24時間365日パーティで遊ぶ!』を人生の目標としている。

FEAVER:http://www.facebook.com/fever.mdp
SABISHINBO NIGHT:http://www.sabishinbonight.com

2013年、感慨深い3つのパーティー ┌(★o☆)┘♪└(★o★)┐

今年を振り返えようとすると、まず頭に浮かぶのは、フジロックのビョークのライブです。まるでオペラを観ているような素敵なショーでした。日本科学未来館のライブもヤバかったんでしょうね。観に行けた人が羨ましい限りです。

話が少し変わり前置きになりますが、僕はパーティが大好きです! 童話のシンデレラはパーティに遊びに行ったから、その後、幸せになれたし、パーティには人を幸せにする要素がたくさんあるんです!今年もたくさん感慨深いパーティーがありましたが、その中から特に思い出のパーティーを3つご紹介させてください。

1つ目★
mdpがageHaで開催している" FEVER "が今年、由比ヶ浜のビーチハウスでパーティを開催しました。ビーチハウスでのパーティーはロケーションも良く開放感があるし、サンセットも見れるし、夏っていったらやっぱり海だし。クラブでのパーティーとはまた違った雰囲気で素敵でした! 今年は「風紀の乱れ」を理由に色んな海水浴場で音楽が禁止されていました。" FEVER "開催後の由比ヶ浜も音楽に対して厳しくなっていたみたいです。ゴミなどを砂浜に捨ててしまう一部の人や揉め事を起こす一部の人がいるために「パーティ」=「モラルがない。風紀が乱れる」などの印象を持たれるのはすごく悲しいです。来年も海水浴場で「健全なパーティ」が開催される事を切望します。

2つ目★★
近年のハロウィンパーティの賑わいはすごいですね。今年のハロウィン当日は平日の夜だというのに仮装した人で、渋谷や六本木などは溢れんばかりの人で賑わっていましたね。mdpは、25日にageHaで、31日ハロウィン当日にVISIONでイベントを開催させて頂いたのですが、良い意味で普段とは違った盛り上がりがありました。また、26日のageHa HALLOWEEN -DAY2- "大仮装総選挙"のコンテストやライブなどを含む煌びやかな演出には鳥肌が立つほど感動し、クラブパーティーとは思えないほどの美しいショーでした。来年のハロウィン当日は金曜日なので今年よりすごい事になりそうですね。今から楽しみです♪

3つ目★★★
10月にclub asiaで、MAKI THE MAGICさんの遺族に支援するとの事で、DJ TAIKIさんやプロモーターのゴリさんを主導にMAKIさんの追悼会を開催しました。大好きなキエるマキュウの一員のMAKIさんが7月に他界され、mdpとして大変お世話になっていましたし、個人的にもMAKIさんのファンだったのでなんとも言い難い気持ちになりました。追悼会ではアーティストの方々の圧倒的なライブパフォーマンスやDJプレイを目の当たりにし、僕の青春時代のヒップホップというか、Jラップというか、MAKIさんの人徳というか、この日にあったいろいろな出来事に感動し、よりパーティが好きになりました。僕の人生に置いてとても重要な1日であり、悲しい1日でもありました。

時代の経過とともにパーティやフェスの形がめまぐるしく変化していますが、新たな形を含め、いろいろな"パーティのかたち"って本当にいいもんですね。人生観が大きく変わる様な感動するパーティに出会った時、遊びに来てよかったなと心の底から思います。また時代とともにいろいろな事が変化している社会ですが、それに伴って風営法などさまざまな規制も変化してほしいと強く思います。そして来年もパーティやフェスの進化を現場で感じとり、温故知新の精神で僕なりの形をパーティで提供できるように頑張ります!

AKIKO USUKI

TEAL Inc 代表

ABOUT
DJ EMMA、LIGHTING AIBA、VISUAL アーチストNAKAICHI、DJ DAZZLE DRUMSが所属するマネージメント事務所を運営するほか(marunouchi)HOUSEの音楽も担当。70年代から現在までのディスコ / クラブにおけるダンスミュージックシーンの生き字引的存在。

2013年 はTOTALLY "ACID CITY"

2年くらい前からEMMA君の作業部屋から毎日流れ出したACID音。それが今年ついに"ACID CITY"という日本中のトップアーチストが集結したオリジナルアルバムとなって世に出ました。昨年に続きAIRからリリースした"MIXED BY DJ EMMA"とダブルリリースという、今CDは売れないと言われる時代にすごい結果を残せた事には大満足です。そしてNITELISTより待望のアナログも今年中に1枚目が発売に!日本製のACID HOUSEがレコードとなり世界に渡っていきます。

映像のNAKAICHIと照明 AIBAはZOUKOUTも含め1年すばらしい仕事をしてくれてましたし、私個人としては、春のTIMEWARPで改めてVISUALと照明におけるデザイン力とその企画力に大きな刺激をもらいました。ただただかっこ良かった。

本来作る側がやりたい事は、ただDJをブッキングするだけではなく、とんでもなくすばらしい、生きてて良かった!と思うような、歴史が始まる一晩を作る、ということに始まり、終わるはずだと私は思っています。
これはイケル!ってまだ何処にも無いものを見つけ、作り出し、時代を先取りするセンスや直感や夜遊びの本来の楽しさを伝えることこそ、が私たちクラブ側がいつも持っていないと行けないものでしょう。

オリジナルなものを少ない数から育てる勇気と卓越したセンスや度胸が今後もっと店側に求められるのではないでしょうか? そして本物のDJは?と考えると、何億という曲の中からそのDJが選ぶ事によって、その1曲が私たちの人生においての特別な1曲になってしまったりする。だからDJってすごいし、最高だし、みんなDJになりたいんでしょうね。ただ、それゆえに技術も必要であり、そんなDJが選ぶ時点で魂の入った1枚、1曲、1晩が、最高の爆音状態で聞けた時のすばらしさに感動して我を忘れて出てしまう声や拍手をしてしまう時のフロアとブース間の関係は、ただ自分を見てほしいだけのDJとただ騒げば良いと思っているフロアとの簡単なものとは全く違う、という事を伝える事ができたら、ダンスミュージックライフ自体がもっと大事なものになると思うんです。これにはジャンルや時代、年代も年収も関係無いと思います。世界において日本はそういう細かい感情を受けたり感じたりできる国民性と成熟したシーンがベースにある事をみんな再認識して誇りに思ってほしいですね。あと、クラブシーンに置けるVISUALと照明はますます重要になってしまうので、機材面においてもっと日本の企業の参入を望みます。こういう部分こそ、もっとヨーロッパやU.Sを意識してほしいです。ここは日本の成長戦略といっしょに是非、伸びていってほしいところですね。

根川 亮

Lexington Co.Ltd / 宣伝、マネージャー、A&R

ABOUT
インディーレーベルで宣伝、A&R、マネージャーをこなすオールラウンドプレイヤー。

http://manhattanrecordings.jp/

「音楽にジャンルはない。あるのはいい音楽か悪い音楽か。」by JAY-Z

「音楽にジャンルはない。あるのはいい音楽か悪い音楽か。」昔、雑誌に載っていたJAY-Zの言葉です。僕の心にずっと残っています。

今年1年、担当しているヒップホップのアーティストがロックフェスにたくさん出場ました。その中で、うまくいかないところも多々ありましたが、普段ヒップホップを聴かない人たちの前でライブをし、浸透していくのを見ていると、いい音楽は確実に届く!! 音楽にジャンルはないと言うことは本当だったんだなぁと実感することができました。

音楽を聴く形態は確実に変わってきていますが、音楽好きはたくさんいて、フェスで入場規制を連発し、NOタイアップながらメジャーデビューアルバムで大ヒットを飛ばすアーティスト、ラウド系ながら何十万枚も売れているアーティストもいます。可能性は低くなっているかもしれませんが、本当にいい音楽はジャンル問わず確実に刺さり、ヒットを生み出すことができることを実感できた1年でした。その分、僕ら裏方がどのように仕掛けて行くのか、ものすごく重要になっていきます。その来年は面白い仕掛けをたくさん行い必ずヒットさせるぞ!!

MANABU HOSAKA

WEEKEND WARRIORZプロデューサー/ 株式会社PLUS 代表取締役

ABOUT
都内各地で飲食店を経営。ビジネス、音楽、カルチャー、アートを融合させたスタイルでWEEKEND WARRIORZを結成。数々の大型フェスのプロデュースに関わる。マカオに東京情報配信スポット"Little Tokyo"をオープン。ASIA EXCHANGE PROJECTを発足し、確立していなかったアジアのダンスミュージック・シーンの発展に大きく寄与している。東京アンダーグラウンドシーンで誰もが知るトッププロデューサーである。また、アジアでは民族楽器アサラトのアーティストとしても知られている。

http://plusweb.jp/
http://ww-tokyo.com/

今年は新しい時代へのチャレンジ

2013年は地方・海外公演、StarFes.やHacienda大磯Festivalなどのディレクションや出演によりWEEKEND WARRIORZも大きく躍進したと思います。また、ASIA EXCHANGE PROJECTというアジア文化交流を目的とした新しいプロジェクトをアジア6ヶ国で発足しました。アジア諸国のダンスミュージックの未来の為にこのプロジェクトは行っています。現在、世界人口が70億人、アジアの人口は世界最多で世界人口の約60%を占めています。ヨーロッパの市場を大きく超えるシェアの中、アジア諸国間では未だダンスミュージックの市場が作られていません。アジア諸国の人々が日本のダンスミュージックやアーティストに敬意があるこのタイミングで、アジアのアーティストを日本に招集し、日本の優れたアーティストがアジア諸国へ招聘される。その様なアジアマーケットへの架け橋ができたと思います。

近年、日本のアーティストは欧米諸国に目を向けてばかりで、近辺諸国のアジアを下に見てしまっているような気がしています。もちろん現状では欧米諸国の音楽性が最先端だと思います。しかし、アジア諸国が欧米諸国の音楽性にのみ目を向け日本のシーンが無視されてしまったらどうなるでしょう?このままアジア極東のアーティストが海外へ招集されないまま時間が過ぎてしまうと、日本のアーティストが世界から取り残されてしまうでしょう。これから日本を担う次世代のアーティストの為にもアジア先進国として先導し市場を作り日本のアーティストの素晴らしさを伝えていこうと思っています。

今年は、企業との葛藤の中でクリエイティブなパーティー作りをスタッフと共にできたと思います。WEEKEND WARRIORZが人気のある良いパーティーであることは、シーンにとっても重要な役割であると思うので、2014年は良いパーティーを作っていくと共に、自分の持っている経験を活かしてアジア間の交流がより良いものとなるような活動に取り組んでいけたらと考えています。

桜井 洋平

(株)ディーアンドエムホールディングス / DENON DJ Asia Pacific Sales and Marketing 担当

ABOUT
1998年にオーディションを経てYellowのレギュラーとしてDJ活動を開始。その後留年を重ねつつDJ・パーティオーガナイズに関わる傍ら、ClubCoreにて音響・照明スタッフを務め、2004年にDJ機材Stanton社の国内ブランドマネージャとなる。2012年より現職でDENON DJを担当。

https://www.denondj.com

過渡期に思うこと

2013年も例によって矢のように過ぎていきました。年齢を重ねて刺激が少なくなると時が経つのが早く感じるとかなんとか。皆さまは刺激に満ちた1年を過ごされましたでしょうか?今年もクラブシーンを取り巻く環境を変える出来事が多数ありましたが、その中でも気になったことについてつらつらと。

皆さまご存知のように、2020年の東京五輪開催が決定しました。一躍流行語となった「おもてなし」は、クラブシーンにとっても無縁ではありません。ディスコ・クラブは選手村内の施設として必ず作られますし、メディアや観光客の外国人にとっても重要な社交場として、不可欠なホスピタリティとして求められます。このままディスコ・クラブの深夜営業を「違法」としておくのは無理があります。

昨年度からはダンスが「古今東西老若男女が楽しむ身体活動」として中学体育の必修単元となりました。今年5月には超党派議員約60人による「ダンス文化推進議員連盟」が発足し、「Let's DANCE署名推進委員」との連動や中間提言のとりまとめなど、活発な動きを見せています。風営法の改正は、「文化醸成」としての側面だけでなく、規制緩和による経済活性化を標榜する現政権の姿勢にも沿うものとして、強い追い風を受けていると言えます。
一方で、今年は多くのクラブが摘発を受けた年でもありました。要件はそれぞれですが、法を運用する側がクラブシーンへのコントロールを強めたいという意志を感じます。グッと押し上げる勢力とアンチ勢力の間で世論の主導権をせめぎ合う様は、さながら「ブレイク寸前アイドル」のような、まさにメジャーになる途上の洗礼なのかもしれません。

DJ機材の世界では、ソフトウェアや、特に今年はアプリケーションを核としたシステムが一般化し、簡単にそれらしいことができるようになったことから、DJが音楽を楽しむスタイルの1つとしてメジャーなものになりました。例えばループ(同じフレーズを繰り返す技術)を作るにも、同じレコードを2枚用意してシールを貼って…なんて昔の話。
機材メーカーの人間として、あるいは1人のDJとして、自戒も込めて思うのです。先人が編み出した技術をワンタッチに集約してしまったことで、逆にDJの表現の幅や新しい発明を制限してしまったのではないか…ということ。「DJはこの機能をこう使うものだから、この通りやりなさい」と。「この箱の中にあるものがDJというものだ」と。これでは飽きてしまうし、消費されて捨てられるレジャーになってしまいます。メジャーになるということは、得てしてこういうものなのか。

同じことを、クラブシーンの未来にも感じてしまいます。メジャーになって国と広告代理店のコントロール下におかれ、その枠の中で「箱庭」レジャーとして消費されていく…かもしれない。風営法の改正はあくまで手段であり、それを達成しても命題である「文化醸成」は手に入れられない…かもしれない。どうしても、国民的レジャーとしてメジャー化しコンビニエント化し、結果的に倒産ラッシュという悲惨な末路を辿ったスキー(場)の業界とも重なってしまいます。
そんなことを考えながら、今年も過ぎていきます。やはり音楽は趣味の世界ですから、共鳴あり反発あり。しかし、シーンやカルチャーに深みも幅も与えるためには、各々が確固たるビジョンを持ちながら進み続けることが、我々クラブシーンに関わる者の使命なのだと改めて感じました。私の立場で言えば、面白いものを、面白く使ってくれる人に提供し続けること。
最後になりましたが、拙文にお付き合い戴いた皆さま、読んでないけどクラブと音楽を愛する皆さま、日々の漠然とした思いをまとめる機会を下さったクラベリアさんに、刺激に満ちた2014年が訪れますよう…ツカオレちゃんでした(乾杯)!

Masanori Naruse

Photographer

ABOUT
邦楽から洋楽、クラブミュージックまで国内外数多くのミュージシャン撮影を手掛けるフォトグラファー。日本のスリーピースロックバンド「Hawaiian6」のライヴ撮影をきっかけにカメラマンとしてキャリアをスタートする。今ではフジロック、サマソニ、ワイヤー、ビッグビーチ、エレクトラグライドなどのフェスティバルや、ageHa、AIR、VISIONなどのクラブ、「Billboard Live TOKYO」の広告写真など、さまざまなシーンで活躍。

http://fotologue.jp/MN-photography/
http://www.facebook.com/masanori.naruse

パーティーに行かなかった週末は一週だけ、2013。

2013年もたくさんのパーティーやライブ、フェスで撮影させていただき、さまざまな音楽に触れられた1年でした。その中でも特に印象深かったものを書かせていただきます。

まず最初に、今年僕が行った全てのパーティーの中でベストパーティーだった、4月20日にUNITで行われたDrum'n Bass Session(DBS),MALA in Japan。正直、MALA IN CUBAを聞く迄その存在をあまり知らなかったのですが、さまざまな人からMALAヤバイよ!と評判を聞き、CDを買ってみました。CUBAには行ったことないけど、その空気感+攻撃的なベース音で一気に虜になってしまい、何度もリピートしたとこでの来日情報に、ワクワクしたのを今でも覚えています。
パーティー当日、用事があり入るのが遅くなってしまい、入った時には既にプレイが始まっていました、フロアーに入るとあっという間にMALAの世界観に引きずりこまれました。次々にドロップされるトラックをMALAの力強いミックスによってグイグイ引き込まれ、勝手に足や手が動き、完全に操られている快感が襲ってくるんです。何度も「MALA, MALA」と叫び、終わったら声がガラガラでした。DBSは新宿リキッドでやってた時から何度か遊びに行ったことのあるパーティーで、お客さんが本当に"音"を求めて遊びに来ていて、踊っていて心地いいフロアーが常に存在している、最高のパーティーだと思います!!

次は、4月28日にHACIENDA OISO FESTIVALのアフターパーティーとして行われたVISIONでのJOHN DIGWEEDのプレイです!!
自分はプログレッシブハウス全盛期にクラブで遊び始めたので、JOHN DIGWEEDといえば過去に何度も踊らされたDJであり、青春そのものです。当時YELLOWでの8時間セットの最中、友達にトイレに行こうと言われても、踊りたいからと我慢し続けた事を思い出します。
この日は朝からフェスの撮影をし、都内に戻って朝まで撮影という強行スケジュール。正直、体は疲れていたし、体調も万全とはいきませんでした。そんな中でのJOHNのプレイ…..結論からいうと最高すぎて、泣きそうでした。イヤ…正直なこというと泣いてた(笑)何に感動したって具体的にはわからないけど、プレイを聞いてて自然と泣けちゃうって最高だと思います。 JOHN DIGWEEDというと昔のDJと思う人もいるとは思うけど、僕にとっては音楽に古いも新しいも関係ありません。その日、その時アーティストが、如何に自分を感動させてくれるのかが大切だと思っている。正にそれを体現してくれたパーティーでした!!

感動できる現場って少ないけど、"楽しい"だけじゃなくて、感動を求めて2014年もたくさん足を運んで撮影しに行きたいと思います。

浅野 森

Musicmine / Project Manager

ABOUT
Musicmineにて企画営業全般。 2013年はDJ NOBU, Shhhhh, MOODMANによるミックスCD "Crustal Movement" (tearbridgeよりリリース) 3作の制作、自社音源のデジタルアーカイブ、その他裏方仕事諸々。

http://www.musicmine.com

終わりと始まりが交錯する「節目」の年

2013年はこれまでの流れが変わっていく「節目」を目の当たりにすることが多々ありました。 風営法改正に向けた動きが本格化したり、音のカラーを明確に打ちだしていた硬派なハコが相次いでクローズしたり、アンダーグラウンドなクラブミュージッ クに理解があるといわれる巨大な海外資本が日本進出の第一歩を踏み出したり、連日の記録的な悪天候で野外フェスが中止になったり、あるいは2年連続で悪天候により中止となったフェスが今年は大成功を収めたり。 共通して言えるのは「終わり」はだいたい「突然」で、「始まり」はだいたい「ようやく」あるいは「少しづつ」だった、ということ。

個人的に2011年東日本を震災が襲った時からずっと抱き続けている「個人の力ではどうすることもできないような大きな潮流の前には、自分たちが大切にしてきたものはこんなにも脆い」という思いがいっそう募る一方、唐突につきつけられた「終わり」あるいは「中止」という現実に対して、心ある人たちが知恵を絞ってきっちりと筋道を作っていく様子を見て大いに触発されもしました(もはや今のクラブカルチャーには、かつてあった共同体的な良さが失われたなんて言う人もいますが、そんなことは決してないと思います)。

音楽的にも、ヒップホップや現代音楽やインディーロック、あるいはノイズ/エクスペリメンタルミュージックやベースミュージックなど、さまざまな音楽的素地を持った人たちがテクノ/ハウスに接近するここ数年の流れが、今年に入って一気に進んで、さらに面白くなってきた感があり、そのことにもとても刺激を受けました。
一方で、2013年に顕著になったこうした変化の兆しも、来年以降に訪れるであろう大きな変化に比べると、後から振り返ればまだ全然小さなものだった、なんてことになりそうな気もしています。先のことは誰にもわかりませんが、2014年も変化を恐れず前を見続けたいと思います。

中田 祥吾

タワーレコード渋谷店 / 洋楽クラブミュージック担当

ABOUT
タワー渋谷店4Fにある洋楽クラブミュージック担当。

http://towershibuya.jp/

CDショップ店員目線+α

ざっと思い返すと1番印象的だったのはEDMシーンの躍進。昨年から売れ続けたDavid GuettaやZEDDを追ってキャッチーなメロディーが書ける若きイケメンプロデューサー勢が続々と登場した。Porter Robinson、Madeonらが筆頭で、なかでもAviciiの1stアルバムは全店で大ヒット中です。ネット/音楽媒体や著名DJのプッシュにより海外でのバズがリスナーに上手く伝わり、急速に盛り上がっています。

そのEDMともリンクするベースミュージック関連のリリースも豊富でした。ダブステップ/トラップなどは、今やヒットチャート入りするポップスにも普通に使用されるようになり、ゴッリゴリな音圧のトラックで可憐なアイドルが歌うのも、もはや違和感ゼロ。
アンダーグラウンドだと、ここ日本でのジュークの盛り上がりがすごかったです。昨年のTRAXMAN の来日で堰を切ったかのようにパーティや日本人クリエイターが生まれていく様子に「80~90年代前半のヒップホップ黎明期のような熱を感じる!」との某大箱ベテランスタッフさんの声も。ジュークのリリースは、洋邦問わず良作が毎月のようにドロップされてました。ドラムンベース/ジャングル、レイヴが再燃の兆しもあり、来年はますます広く全体に浸透していくかと思います。

個人的にはジャンルに関わらず日本人の若いクリエイターの作品を追っていました。まだCDのリリースがなく、Soundcloudやbandcampなどネットだけで曲を発表している人が多いのですが、クオリティが高く、中には海外でも通用できる、というか既に注目されている素晴らしくアーティストもいます。もうデジタルだけでいいのでは、という声もありますが今年ブレイクしたtofubeatsやSeihoを見ているとCDでのリリースによる影響力の強さを再認識しました。

今年も頭の中がお花畑になるような素晴らしい音楽にたくさん巡り会えました。来年も楽しみです。

田代 純

BBQ

ABOUT
1993年、マンハッタンレコードにて、レコ屋人生スタート。買い付け要員、ハウスバイヤー、その他管理職を経て15年に渡ったヴァイナルオンリー生活に終止符。現在はレーベル/音楽流通に転職&業種を変え、いささか年齢を感じながらも良質の音楽を探すべくアンテナを磨く日々。

EDMシーン全盛の中で、2014年期待できる新たな動きはあるのか?

昨年末、締切を気にしながら2012年の総括を書いていたのが、つい先日のようで、歳を重ねるごとに1年1年が早く感じられるようになったのは気のせいか・・。
そんな中で、今年は何が流行ったのか?と言われれば、いまや車高ベタベタのヤンキー仕様の車中でも大音量で流れているEDMだろう。アーバンR&B系、エレクトロハウス、そしてダヴステップなどのベース系からも合流し、ここ数年で熟成してきたEDMシーンが、普段"クラブミュージック"という類に遠い一般リスナーの耳にも届いた感がある。それは音楽ソフトのセールス的な部分だけでなく、大型クラブやフェスなども、それをキーワードにしたパーティーを多く主催していることからも一目瞭然だ。来年は、さらに昇華するか?or消化するか?といったところだろうが、今の盛り上がりを見るに、来年以降もこのタテノリのシーンは続きそうに思える。

そして、来年に向け、個人的に気になる流れがもうひとつある。それはネオ80'sなるカテゴリー。いわゆる、今年のDaft Punkのニューアルバムをきっかけに、この辺に馴染みがなかった若いリスナーにまで浸透しつつある、ちょっと脱力感を伴う80年代ディスコテイストのサウンドだ。他、ここに括れそうなアーティストはRobin ThickeやMayer Hawthorne、Classixxなど、厳密なジャンルは違えど、どれも80's色が濃いサウンドメイクが特徴のひとつに思える。(Daft PunkとRobin ThickeはPharrellがこのあたりの音のキーマンとして絡んでいるのも注目すべき点だ。)ざっくり括れば、ネオ80'sでいいでしょって感じで、一部では既にカテゴライズされているようだ。2014年、EDMと並行して、さらにいろいろなアーティストがこの音に着手して来そうな気配は充分ある。

とはいえ、このようなポップフィールドだけでなく、アシッドハウスが再注目されている流れやUKでブームとなっている90'sハウスあたりのリバイバル的な動きも期待したい。アッパーなEDMにやや疲れた時に聴きたい、BPM120前後の心地いいやつとか。
まぁ、そんなことを言いながら、2014年、自分の仕事としてはロックをもっと売りたいなどと思っている、今日この頃。

toshiya kawasaki

mule musiq

ABOUT
東京発ドイツ経由、アンダーグラウンドミュージックシーンのトップレーベルとして、世界中で高く評価されるレーベルmule musiq。
現在、の3つのレーベル、またBEAMS Tで展開されているドイツ、ハンブルグのイラストレーターStefan Marxと共に主宰するTシャルレーベル、そしてHenrik Schwarz、DJ Kozeなど、多くの人気アーティストを抱えるブッキングエージェントを運営し、その全てのディレクションを行っている。

http://www.mulemusiq.com

今年は年末から年始にかけてdaniele baldelliがやって来る。夏はある程度の期間バカンスを取るのだけど、年末年始はそんなに休もうというモードでもあまり無い。

メールでのやりとりも微妙に難しく、最後はイタリア、パルマで会って話し合いやっと現実となった今年頭のbaldelliの来日。どうかなという皆の心配(?)を軽く裏切り、ツアーは大盛況。baldelliはmule関連レーベルから引き続きたくさんのリリースが控えている。今回東京はwombへと場所を移し(こういう音楽をwombでというのも数年前では考えられない、とても良い事だと思う)どのようなリアクションになるのかあまり予想出来ないけど…年末だしね。

ブッキングをしていてここ最近思うのは、志が高い人とそうでも無い人の差がより広がっている様に思う。もちろんビジネスだからそれぞれだと思うけど、僕にとって新しいやおもしろいは最も大事で、それができないんだったらいつ辞めても良いと思っている。お隣の中国や韓国の方が新しい音楽にオープンで、最近は中国、韓国でギグが決まっているから東京にも行きたいと良く連絡が来る。東京はもちろん彼らと比べるとある程度トライした結果、淘汰されているんだけど、にしても業界のテンションは低く感じる。

音楽の事だけでは無いけど、日本はいつからこんな感じになってしまったのか。政治も相まって僕がこの国に住む意味はウォシュレットとお気に入りの寿司屋、和食屋に行く以外何も無い。あっ、後、恵比寿の小さなワインスタンド。

そういえば、非ダンスミュージックな新しいレーベルが東京の最もヒップな3piece bandのニューアルバムからもうすぐスタートします。このレーベルがライフワークの1つになれば良いなと思っています。

市原 泰介

Power DJ's楽天市場 店長 / Power DJ's池袋店 主任

ABOUT
中学生の頃から電子楽器を使った音楽制作を始め、その後クラブミュージックに傾倒。2005年から始めた店長ブログは毎日更新して8年目。機材の使い方や新製品情報などを発信しつづけ、DJ機材側からクラブミュージック文化の啓蒙活動を行っている。

http://shop.plaza.rakuten.co.jp/dj/

DJ機材はさらに多様性の時代へ

今年もDJ機材業界はリリースラッシュでした。どれも重要なアイテムでどれから紹介していいか迷ってしまいますが、やはり何と言っても今年はDJ機材シーンに本格的にiOSデバイスが参入してきたことでしょう。昨年発売されたNumark iDJ Pro、Vestax Spin2を皮切りに、NI TRAKTOR KONTROL Z1、S4 MK2、S2 MK2、Pioneer DDJ-WeGO2とiOSデバイス対応コントローラーが続々リリースされました。特にTRAKTOR KONTROL S4MK2 / S2 MK2とiOSアプリ「TRAKTOR DJ」との組み合わせにおいては従来のPCソフト+コントローラーとなんら遜色がない操作性を実現しており大変衝撃的でした。これらは今後デジタルDJシーンの方向性を示唆する重要なアイテムとなったと思います。

一方、アナログターンテーブルの需要も徐々に増えてきているのは大変興味深いです。昨今、誰でもスマートフォンに大量に入れて音楽を持ち運べ、指一本で簡単に再生/スキップできる。これが当たり前になった世代にとってレコードの溝に針を慎重に置いて音楽を楽しむという行為は、今までになかった感性が呼び起こされ、新鮮に感じるのではないでしょうか。一般の音楽リスナーにポータブルレコードプレイヤー「Vestax handytrax」が非常に売れているのは大変納得できます。

いわゆるアナログ回帰と呼ばれる現象は来年以降も続くと思われます。しかも単なる回帰ではなく、現在のテクノロジーが加味されて螺旋的に発展したエポックメイキングな商品がリリースされるのではないかと予想しています。海外ではすでに発売中のRELOOP RP-8000はレコードプレイヤーにSerato DJ用のコントローラーが搭載されており、これも螺旋的発展の前兆と呼べる商品だと思います。デジタルの強みが生かされた製品はこれからも加速していくでしょう。

デジタルDJの登場によりDJは必要なツールは誰でも簡単に揃えることができようになりました。HOT CUE、ループ機能、サンプラー、シンク機能、豊富なエフェクト群など、てんこ盛りに含まれるこれらの機能をどう使うかはあなた次第。あなたの創造性にかかっています。

ジェイムズ 松木

プロデューサー

ABOUT
イギリス生まれの東京育ち。ニューヨーク大学卒業後、2006年に New York - Tokyo Music Festival を主宰し、日本人アーティストの海外進出に貢献。その後、NYC の老舗レーベル King Street Sounds に入社し、ビジネス開発及びライセンシング業務を担当する。帰国後、Syn に入社。プロデューサーとして Hennessy artistry をはじめとする企業キャンペーンの企画・制作や、企業向けのリーガルコンサルティングも多く実施。日本の著作権ビジネスの専門家として MIDEM (フランス)、Rasia (ロシア) 等の海外ビジネスコンベンション、フランス商工会議所や英国大使館で講演。2013年10月より Syn から独立し、Spine Inc. の立ち上げを目前に控える。

数値化、スーチキ、コンコンチキ

2013年は、5年半勤めた音楽エージェンシー Syn を離れ、フリーとして再出発した、節目の年でした。
Syn では、オリジナルコンピレーション制作から、CM タイアップ、イベント制作、PR、デジタル配信、音楽出版業務まで、音楽業界における裏方業務は一通りやってきたと実感しています。新しい船出を機に、音楽を作る人、良質な音楽を愛して止まない人の為に、より一層尽力していきます。

今年は、かれこれ 3年程オーガナイズに携わらせて頂いている企画、Hennessy artistry にとっても大事な 1年となりました。2月には Futura を招いて 2009年の渋谷 NUTS 以来となる DJ KRUSH とのコラボ、6月には Talib Kweli の来日、そして 11月末には DJ KRUSH x Bill Laswell x Nils Petter Molvaer という重鎮揃いのライブも実現させました。この他にも、様々な企業の企画に携わってきましたが、一見華やかそうで端から見て「大成功」と思えるイベントでも、クライアントからは評価を得られない事が多くありました。そこには、価値観の違いから生まれる「溝」があるのではないでしょうか。

マーケティング観点から考察する「ブランドコミュニケーション」の良し悪しは、さまざまな指標を用いて判断されるべきです。ビジネスの世界では、当然数値が物を言うことが基本とされていますが、ブランドマーケティングにおいては一概にそうとは言えないように思います。また、さまざまなアクティビティーの「価値」を数値化するために用いられる "formula" も、屈折した業界基準の元、業界の序列や歪んだ制度を守るために細工されたものも、中にはあると感じています。数字ばかりを見ていて大事なことを見落としているな、と多くの場面で気付かされました。

基本ではありますが、ブランドのポテンシャルサポーターとなり得る顧客層のセグメンテーションとターゲット層の心理的特徴の考察を、時間を掛けて検証することによって、漸く5年後、10年後の未来を見据えた中長期的なプランニングができるのだと思います。企業のイベントだけではなく、どんなイベントをするにしても、「消費者への思いやり」と、「"personal experience" を促す環境作り」は、絶対条件です。2013年には多くのイベントに足を運びましたが、これを実現できているのはほんの一握りでした。誰しもが当たり前だと思っていることが、案外当たり前ではないという事実を目の当たりにしました。なぜ当たり前ではないのか考えた時、そこには人間の「エゴ」が見えます。もちろん、自分を含め、誰しもがエゴイストになる瞬間があります。しかし、自分のことばかりを考えてしまうと、消費者のために費やせる時間や気持ちが、その分減ってしまいます。イベントのようなエゴを発揮しやすい場に関しては、より消費者観点で物事を見れば、良いイベント作りができるはずです。これはクラブ業界が衰退している今、企画側、出演者、スポンサー、会場スタッフがより一層考えるべきことであって、全員が心掛ければ真に素晴らしいエクスペリエンスを提供できると信じています。

2014年も皆様にとって良い年になりますように。

丹野 篤史

Underground Galleryマネージャー

ABOUT
神戸のレコードショップUnderground Galleryにて、バイヤー業務、制作・流通業務の補佐担当。ダンスミュージックをはじめ、現代音楽からヒルビリーまで幅広いジャンルに精通する。趣味はサイクリング。年間1万キロ以上走っている。

http://www.undergroundgallery.jp

本来あるべき形へ

この数年に言えることですが、ハウス/テクノに関しては、今年もとくに大きなトレンドは無く、良い意味で「基本的な形」が出来上がったように感じています。もちろん、今後も細かな進化を辿るのでしょうが「基本的な形」(ロックンロールの3コードのような)は変わること無く、その時々の「時代のムード」を取り込みながら、ゆるやかに変化するのではと思います。

2013年の「時代のムード」が反映されているのかどうかは分かりませんが(笑)、今年目立っていたのは、ロウハウスと呼ばれる、アナログ実機に拘ったマシーンハウスサウンドでした。その代表といえるのがN.Yブルックリンの[L.I.E.S]。レーベル設立当初は80年代シカゴハウスを模写したような、有象無象なサウンドでしたが、リリースを重ねるにつれ、インダストリアル、ノイズ、クラウトロックなどの要素を取り込みながら、異質な形態へ進化し、換えの効かないレーベルと成長しました。ソフトウェアで制作されデジタルマスタリング後、データにて配信される、昨今の音楽シーンへのアンチテーゼ的な意味があるのかどうかは、定かではありませんが、意図した音の悪さは、とにかく刺激的でした。

ロウハウス以外で目についたのはオブスキュア音源の発掘作業。ディスコ/ソウル/ファンクなどのブラックミュージックを掘り尽くしたディープディガーたちが、トルコ、ナイジェリア、トリニダードトバゴなど、ヨーロッパやアメリカ以外の国の、知る人ぞ知るローカル音源を続々と発掘し、復刻盤やリエディット作品がたくさんリリースされました。リリース当時は全く評価されなかった、80年代のシンセウェイヴのカルト音源の再発、インダストリアル、ノイズの再評価、さらに、吉田美奈子を代表とする"和モノ"へ注目など、ジャンルや時代、国境を超えて、刺激的なサウンドを求める音楽フリークには、面白い1年だったと思います。この流れは来年以降も続くのではないかと期待しています。

また、UGでは今年から表立ってヴァイナルプレスサービスを開始したこともあり、国内自主レーベルの方々との交流が増え、新たな動きを感じる1年でした。デジタル販売だけは飽き足らず、フィジカルな作品を残したい、自分の作品は自分のレーベルからリリースしたい、という本来あるべき形に立ち返るアーティストが増えて来ているように感じます。一昔前までは、海外のレーベルからリリースされた作品が逆輸入されるケースが多かったですが、近年は、自分たちの作品は自分たちの手で、というインディペンデント精神持ったアーティストが増えてきたこともあり、とくに今年は、日本各地から面白いレーベルがたくさん誕生しました。

欧米の流れともリンクした、ヴァイナルへの再評価も要因かもしれません。「デジタルvs.アナログ」という論争は一昔前のもので、音質がどうこうという問題でなく(それは各自の好みの問題)「人の手がかかった物の価値」というのが改めて見直されている証拠だと思っています。

時間に追われる現代社会において「音楽と正面から対峙する」ということが難しくなり、移動中や仕事中のBGMとして、iTunesに入れたmp3データでお茶を濁しているという方も多いと思います。どんな場所でも好きな音楽が瞬時に再生されるというのは、音楽ファンにとってはありがたいことだし、僕もそう言う聴き方をすることが良くあります。でもこれって、食べ物で言うなら「ファストフード的」に感じます。本物の料理人が、厳選した食材を丁寧に調理し、どんなタイミングでお客様の口に届けるかを計算して作られた料理と、アルバイトのスタッフがマニュアル通りに暖めた、注文して3分以内に出来上がる料理の違い、とまでいうとかなり極端ですが、ヴァイナルで音楽を聴く、という手間のかかる行為を、あえて楽しみたいという成熟した音楽ファンが増えてきているのだと思います。

ヴァイナルに針を落とし、スピーカーの前に位置取り、製作者の意図や背景を感じながら音楽(作品)と正面から対峙するという、「BGM」ではなく「鑑賞」するという、「本来あるべき形」を楽しむ人が増えて行くことを願っています。

ちなみに、UGではヴァイナル制作のお手伝いを行っています。『自分でもレーベルやってみたい!』とか、『レコードで作品をリリースしたい!』そんな思いをされておられる方、お気軽にご相談ください。制作だけでなく、流通や販売のお手伝いもさせて頂きますので、何のノウハウも無いって方も心配ご無用ですので、まずはお問い合わせください。

最後に、個人的なことではありますが、マイヒーローLou Reedの死は大きなインパクトでした。最後まで「ワイルドサイドを歩き続けた」LouにR.I.P.。

YASUHIRO ARAKI

プロモーター / プロデューサー

ABOUT
ageHaのテクノパーティーCLASHを中心にイベントのプロデュースや、アーティスト、音楽、カルチャーなどさまざまな企画を手掛け、世の中に発信し続けている。

http://www.facebook.com/araki.33

2013年を振替ってみてこの1年間は、大きなところでいうシーンの動きやビッグイシューになるような特別なトピックはあまりなかったように感じています。
もちろん細かいところに目を向ければ、EDMの認知が日本でも広がりを見せたり、アンダーグラウンドなシーンがより純化するような方向へと動いてきたり、アーティストそれぞれの中にも細かい部分で意識や方向性などに変化が見られるなど、さまざまな部分での動きや変化を感じることはできるでしょう。
全体的にこれからシーンがどういう方向に向かっていくのか、どうしていくべきなのかや、次のステージにどう対峙し進んでいくかなど、皆が現実的な部分で考え準備を進めている、そのような雰囲気をこの1年を通じてシーンから感じとっていました。
またそれは、自分自身にとっても同様に当て嵌まることでもありますし、そのような動きを僕自身はポジティブなものとして肯定的に捉えています。
2013年にそのようにして微小ながらもそれそれが撒いた種が、2014年以降のシーンを動かしていく原動力へときっと繋がっていくのではないでしょうか。そういう意味で、2013年が今後のシーンにとって実はとても重要な節目となっていた。もしかするとそんな風になっていくのではないかなと僕は考えています。

2014年はCLASHも10周年を迎えます。また今後取組んでいこうとしている幾つかの企画もあります。自分にとっても、シーンにとっても、2014年はさらに飛躍した素晴らしい1年にしたいなと考えています。

井上 理恵

Native Instruments Japan株式会社 / Marketing Associate

ABOUT
KOMPLETE、MASCHINE、TRAKTORを軸にしたソフトウェア/ハードウェアメーカーのNative Instruments JapanでMarketingを担当。MASCHINE STUDIOを使って素敵な音がつくれるようになりたく特訓中。

http://www.native-instruments.com/jp

はじめての1年

2013年という年は、 Native Instruments Japanにとって、"はじめて"迎える1年となりました。

1月にNative Instruments Japanが始動。4月にはTOKYO OFFICE開設を記念してWOMBでJamie JohnsやDarren Priceをメインアクトにした「HELLO TOKYO!」を主催し、たくさんの方々にお越し頂きました。9月にはApple Store, GinzaにてTRAKTOR DJのワークショップを開催。蓋を開けてみれば86ある席がいっぱいで、立ち見のお客様が出るまでに。11月にはNIの新たなフラッグシップとなる「MASCHINE STUDIO」を発売。これは私たちにとって、本当に大きなトピックでした。そしてその後すぐ、フィンガードラミングの奇才Jeremy Ellisと DMCチャンプ2冠のDJ Shifteeを招聘し、製品ワークショップを軸にした 「Beat Fighter ツアー」を敢行しました。たくさんの方々に来て頂き、暖かい交流ができて2人もとっても嬉しそうでした。

このようにしてNI Japanは2013年をものすごいスピードで駆け抜けてきたわけですが、本当にいろいろなことがはじめての1年だったのだと思います。偉そうに1年を振り返っている私はまだ入社4ヶ月しか経っていないペーペーなのですが、いろいろなバックグラウンドや音楽の趣味を持った15名のスタッフが和気藹々と一緒に仕事をしているオフィスで、本当に心地のいい雰囲気の中、働かせてもらっています。

仕事に携わる形はさまざまですが、NI 製品を通じて1人でも多くの方に音楽を聞くだけではなく、「作る」とか「演奏する」といった楽しさを見い出してもらいたいと考えて日々仕事をしているのは、きっとみんな同じなんだろうなーと、思ったりしています。そんなチームが一丸となって来年もパワフルに稼働していくNative Instruments Japanを、どうぞよろしくお願いいたします!

傍嶋 賢一

オヤイデ電気 / ディレクター

ABOUT
ケーブルメーカーのオヤイデ電気で、DJ、サウンドプロダクション関連の商品をディレクションしている。

http://www.neo-w.com

世界に浸透してきた2013年

今年は多くのクラブ関係者の方々のおかげもあり、オヤイデ電気が日本発のハイクオリティーケーブルのメーカーとして世界のクラブシーンに浸透してきたことを実感できる年になりました。弊社ブランドd+シリーズを中心に、国やジャンルを問わず多くのDJたちに高い支持を得るようになり、またSpace Ibiza、Fabric London、Water Gate Berlinなど世界を代表するクラブでも常設されました。そしてTimeWarp Manheim、Electic Zoo NYなどのビックフェスティバルでも公式ケーブルとして使用されています。

一昔前まではケーブルは音さえ出れば良いという風潮でしたが、多くのDJたちがパフォーマンスのクオリティーを追及する中で、最近ではケーブルも重要だという事が徐々に認識されるようになりました。ひとつのツールとしてケーブルも意識され始めたことは、本当に嬉しい限りです。

ターンテーブル、CDJ、コントローラー、タブレットなど至るまで、現在は多種多様にDJ機器が存在しており、その組み合わせをパフォーマンスに生かすアーティストなども良く見かけます。個人的にはアナログのサウンドが好みですが、表現力や利便性においてはデジタル機器のほうが高いことは否めず、そういった中でケーブルのような音質向上のアクセサリーなども評価され、アーティストそれぞれが自分のスタイルを確立し、オリジナリティーを高めていく姿は、刺激的で先進性を感じますね。2014年はさらにそういったアーティストたちに喜んでもらえるようなアクセサリーをリリースしたいです。とは言ってもクラブパーティーは、音楽を通して人と人のつながりの中でこそ成立するものなので、いい音楽といいサウンドで踊りながら人と共感することを忘れずに来年も楽しみたいものです。機材屋さんでも現場で楽しめる気持ちがないと、良いものは作れませんからね。

2014年も楽しみましょう。

田中 木里子

Beatink PR担当

ABOUT
音楽界のエッジの効いたガテン系集団「ビートインク/ビート・レコード」のプロモーション&女豹担当。まだまだ体力に自信あり。好奇心旺盛で人懐っこく、飽くなき探究心から繋がる珍奇な交友関係も武器。寂しがりやで化粧下手。

http://www.beatink.com/top/

2014年へ向けて

時代が少しずつ(そして確実に大きく)変わっているように感じた2013年。暗い話もありますが…そんな時代でも新しいイベントが始まったり、ダンスミュージックをフィーチャーするラジオ番組ができたりと、音楽を裏で支える人たちの力を感じることのできる1年でした。

シーンを盛り上げるべくBEATINKとしてもさまざまなイベントを開催してきました。「SonarSound Tokyo 2013」では、UnderworldのKarl Hyde、LFOなど大御所から、Nicolas Jaar、John Talabotなど…比較的新しいアーティストを紹介する事ができました。「Sonar」がスペイン・バルセロナのイベントという事もあり、スペイン大使館でプレパーティーを開催できた事も印象に残っています。
LiquidroomではMount Kimbie、Unitでは!!!(Chk Chk Chk)の公演を各会場のAnniversaryと絡めて開催できた事も、とても良い経験になりました。
そして2013年の目玉ともいえる「electraglide 2013」。James Blake、2manydjs、!!!(Chk Chk Chk)などの豪華ラインナップに加え、ワンフロアで構成された巨大な空間に向かい合うように組まれたステージでアーティストが交互にパフォーマンスを披露し、オーディエンスがノンストップでライブを体感できる演出を施しました。
*ライブの様子はこちらから
http://www.clubberia.com/ja/reports/2040-electraglide-2013/


大きなフェスティバルの増加が、クラブの運営を苦しめているという話もたびたび耳にすることがある昨今ですが、「electraglide」がクラブシーンの未来にとって意義のあるイベントとなるよう、当日会場内では都内のクラブに出店して頂いたり、レコードショップにもポップアップショップを展開して頂くなど、ここでもいろいろな人に協力して頂きました。
個人的には「electraglide」のプロモーションでラジオに多数出演させてもらった事も印象的です(笑)。番組に出演する側に立たされると、自社のイベントを客観視できます。「このイベントのどこが面白いんだろう?」「イベントをどう楽しんでほしいんだろう?」などなど。そしてラジオ番組をつくるのにも多くの人の力が必要なのだと改めて痛感しました。

「多様化したものの中から自分で選び取る時代」だからこそ趣向を凝らした演出や、音楽以外のコンテンツ、たくさんの人の協力が重要なのではないかと思います。

いろいろな人達と協力し合いながら新しい可能性を探す、大変さと面白さを実感しました。来年は私たちにとってどんな1年になるか分かりませんが、今年感じた気持ちを忘れず2014年に挑みたいと思います!

ということで、最後に自画自賛させて頂きます。
頑張りました!私!

六本木 佑吾

東京スタイル(株) 代表取締役

ABOUT
伝説となったクラブバニラのメインDJを担当し、一躍クラブ業界に名を知らしめる。現在はサウンドイベントプロデューサー兼、東京スタイルの代表取締役を務める。2013年には都内10店舗が集結する史上初の野外フェスティバル『TOKYO ALLMIX FESTIVAL』を成功させるなど多岐に渡るイベントプロデュースは常にシーンをリードしている。

http://www.tokyo-style.co.jp

オリジナルからマッシュアップへ。クラブからフェスへ。

ここ数年感じていることですが音楽がパッケージからデジタルに移行していくと共にユーザーにとってCD SHOPからitunes, Youtube, Sound Cloudなど音楽の情報源は増加していることは、プラスに感じていますが、逆に音楽チャートがある意味重要な指針になってきました。チャートインした曲が実にさまざまなバージョンに変化して前述の音楽サイトに登場します。オリジナル音源とその他のバージョン(リミックス、エディット、カバー、マッシュアップ)があることが当たり前です。
一時期どこのクラブでも同じような曲がかかり、それを打破するためにDJもさまざまなバージョンでプレイするようになり、もはやヒット曲をいかに違ったバージョンでかけるかという部分がDJの個性になっていた気がします。
さらにデジタル配信の時代が拍車をかけ、常に新しい曲が世界と併行して手に入ることで、クラブシーンは一般の客視点でみると毎週遊んでいるクラバーをのぞき、すぐに流れている曲が変わったりするので知らない曲が多く感じているのではと思っています。
従来のシーンとしていい部分もあるのですが、同時にクラブの増加、類似イベントの増加によりクラブ離れが起きていることも事実です。そこにとってかわり身近な存在になったのが野外フェスです。クラブより音響照明映像による体感度は充実し、開放感、演出への期待感も比べものになりません。アーティストライブなどもフェス以上の演出効果でファンを魅了しています。EDMの流行・音楽ジャンルの飽和も重なり、音楽フェスティバルは日本でもかなり一般化してきましたので僕自身もTOKYO ALLMIX FESTIVALのようなクラブの良さを改めて野外フェスで体験してもらうという双方にシナジーを埋めるようなイベントを作りました。来年はもっと野外フェスは増えていくと思いますが、野外フェスの良さ、クラブの良さは別にあるので、どちらもエンターテイメント性の高いものを企画していきたいと思います。

Yoshi Tsushima

CEO/A&R of origami PRODUCTIONS

ABOUT
Ovall(活動休止中)、45 a.k.a. SWING-O、渥美幸裕 (thirdiq / Conguero Tres Hoofers)、Shingo Suzuki、mabanua、関口シンゴ(vusik) などと東京から世界へ音楽を発信しています。そして、2014年は仲間がさらに増えます!

http://ori-gami.com/

缶コーヒーだけ飲んで「コーヒー好き」と名乗れるか否か

目新しいものが続々登場し熱狂した2012年までの流れは一段落、2013年は人々がそれらに追いついてきた年だと思います。さまざまなサービスが登場し音楽の聴き方、選択肢が無尽蔵に増えましたが、それによりリスナーは(音楽業界も)錯綜、気が付くと供給過多で「音楽=いつでも手に入る気軽なもの」となりました。

しかし欧米でのレコード売上げを見ても分かる通り、本当の音楽ファンは「便利であればそれで良し」とはいかない。ファッションは我慢だ!という名言と同様、音楽も我慢だ!缶コーヒーばかり飲んで「コーヒー好き」と名乗れるか否か。こだわる人は面倒を越え、ミルで豆を挽き、フィルターを用意し、ゆっくりとお湯を注ぐ。その過程を楽しむ。

クラブ、ライブハウスでの音響設備、自宅では真空管アンプ、パソコンでの試聴もDACを通すなどなど、その一手間を楽しみ、音が出た瞬間の感動を味わう。

もちろんiphoneで音楽を聴く事は否定しません。寒い外で飲む缶コーヒーは幸せだし、新幹線で富士山を眺めながらのSADEは最高だから。

1つの流れにみんなが吸い寄せられるのではなく、さまざまな選択肢を踏まえて自分にとってのベストチョイスを選ぶ。ジャンル、トレンドも然り。

2014年は音楽に向かい合う余裕が出てくる年になるといいなと。
その楽しみ方を再度提案していきたいと考えています。

鳥山 博史

Heartbeat Label A&R プロデューサー / Lastrum Music Entertainment Inc.宣伝部長

ABOUT
HeartbeatというダンスミュージックレーベルのA&R。

http://www.air-tokyo.com/label/

Heartbeatレーベルについてのご報告

日本のクラブカルチャーの礎を築いた人物、P.PICASSO、CAVE、YELLOWなどで東京のアンダーグランドクラブシーンを切り開き、現在では代官山AIRやSOUND MUSEUM VISIONを手掛ける村田大造さんとグローバルハーツのスタッフの方々とのタッグチームで運営しているダンスミュージックレーベル〈Heartbeat〉は、間もなく丸4年目を迎えることになります。4年間で13作品のリリース…手前味噌で大変恐縮ですが、周りスタッフの多大なるお力添えで、かなり良質なアルバムの数々を制作できたと自負しています。この年末に、とても残念なお知らせですが、私がA&Rとして関わるLastrum Music Entertainmentが制作と流通を行う形の〈Heartbeat〉のリリースは、今月リリース致しましたJazztronik(野崎良太)の作品で最後となりました。諸々の事情があり、このような形での業務終了のご報告、残念でなりません。4年間という長い期間を支えて頂いた内外のスタッフ、DJのエージェントの方々、全国のCD店のバイヤーの方々、このレーベルのトータルプロデューサーの村田大造さんには、感謝の気持ちで一杯です。

思い出深いレーベル第一弾のDerrick May13年振りのミックス作品のリリース…これは、村田大造さんと渡邊亮さん(ESCAPE/FACE)のご尽力の賜物です。生々しくエモーショナルな魂のこもったグルーヴが炸裂する正に名盤となり、10000枚を超えるセールスを記録しました。これで一気にレーベルが軌道に乗りました。Derrick Mayは、全てを超越した型破りな人、リリースに至るまでの制作過程は大変なものでした(笑)。今となっては、貴重な経験です。NYハウスの重鎮Francois K.、CAFE FRAMESの現在進行形をコンパイルしたJazztronik(野崎良太)のミックスCD、NYディープハウスの帝王、漆黒のマエストロ=Timmy Regisfordのブラックネス満載のミックスCD、見事に今年のRA DJチャートで第1位に輝いたDIXONのインナーヴィジョンズベスト選曲ミックスCD、ダンスミュージックシーンに絶大な影響力を持つアシッドジャズムーブメントの張本人にしてUKクラブシーンの重鎮=Gilles Petersonのリリース、80年代から日本屈指のハウスDJとしてシーンを牽引して来られたDJ EMMA、UNDERWORLDを世界のトップに導いたDarren EmersonのDETONE MIX…、どの作品も丁寧に気持ちを込めて制作したものばかりです。今年度をもって、私のレーベルA&R業務は終了致しますが、レーベル自体は別の形で継続していくかと思いますので、変わらぬご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。2014年が皆様にとって輝ける素敵な年になりますように!ありがとうございました!

安澤 太郎

TAICOCLUB/プロデューサー

ABOUT
こいのぼり株式会社 CEO & Founder。2006年よりTAICOCLUBを主催し、国内有数のフェスティバルの一つへと成長させる。本年より渋谷にて不動産業も展開する。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科中退。

http://www.taicoclub.com

コンテンツとして楽しめるものを

今年は改めて音楽と映像やテクノロジーの可能性を大いに感じる1年であったと思います。Youtubeで音楽を聞くという人が増えていくなかで、映像の持つ意味がとても大きなものになってきています。それはメジャー、インディーズ、国内、国外を問わず同様にチャンスが目の前にあるということなのだと。音楽をどの様に聞かせるかだけではなく、"魅せる"かが世界的な評価を得るポイントなのかなと思います。映像の美しさやテクノロジーによる驚きなどを見ている人に届ける手法をアップデートしていくことで音楽の新しい価値が生まれています。最近ではYoutuberのマネジメント事務所ができるなど、新たな展開が世界的に広がってきています。今までは音楽というジャンルにおいて、どのように独自性を保つかを問われていましたが、今ではその垣根を取っ払い、さまざまなコンテンツをフラットにして考える必要がでてきています。

TAICOCLUBの中にも音楽的要素以外の楽しみをたくさん詰め込めるようにし、コンテンツとしてどれだけ楽しい"場"を提供できるかが僕らの評価になっていくのだと思います。音楽はあくまで1つのコンテンツでしか無いと改めて感じる1年でした。

熊沢 秀剛

完実電気株式会社 / Beats by Dr. Dre ブランドマネージャー

ABOUT
メーカーとのコレポン、ブランディング、PRなどを担当。神奈川県出身。学生時代からバンド、ダンス、DJなど音楽に関連するさまざまな活動に携わる。9.11後、ニューヨークに2年間住む。趣味は読書、映画鑑賞。

http://www.kanjitsu-beatsbydre.com/

2014年への序章

クラブシーンの視点から2013を振り返ると、東京のシーンを20年くらい見てきて、最近、肌で感じることはクラブの空気感が変わってきたこと。いいパーティは個々にあっても、年齢層が極端に高かったり、逆に若い子が集まるパーティは音楽が二の次の印象を受けたり。
昨今の風営法の問題などクラブを取り巻く環境も大きく影響していると思いますが、純粋に音楽を楽しむという意味で上手く若い人達へ世代交代できていないのかと懸念しています。音を楽しむという点で、ビーツのように若い人達へ影響力を持つブランドが各々の音楽体験を引き上げるとともに、音楽シーンを牽引できればと切に願ってブランディングを考えています。この年末、帰国して以来、ニューヨークに行ってきますが、ニューヨークのソーホーにはビーツのフラッグシップショップがあり、日本でもいつかオープンできればと考えています。来年はビーツをさらに皆様から愛されるプレミアムブランドとして育て、シーンを盛り上げていきたいと思いますので、皆様よろしくお願いします。

YAMA

OTAIRECORD CEO / 2013DMC JAPAN オーガナイザー

ABOUT
都内クラブ、ウエアハウスを中心にオーガナイザーとして活躍、93年に青山のクラブmaniacloveのプロデュースに関わり土曜日のレジデントとして DJキャリアとレーベルをほぼ同時期にスタート。海外では98年にスペインのsonarにレーベルとともに招待されヨーロッパ・UKでツアーを行う。EUをはじめアメリカ、ブラジル、アジアでのクラブやフェスにも多数出演。2013年はKEN ISHIIデビュー20周年イヤーでFlare a.k.a Ken Ishii/DOTSをリリース。

https://www.facebook.com/djYama2010
https://www.facebook.com/SublimeRecords
https://twitter.com/sublimerecords

総額なんと500万円!アナログレコード一挙大放出!?

年の瀬、10年ぶりの引っ越しがこのコラムとともに終了!
引っ越しのタイミングで身軽にしようとレコード数千枚を大放出、それは想像を絶する仕分け作業という戦いだった。引っ越し1週間前から1枚ずつ聴いては思い出に浸り仕分けてたが2日で1箱分しかまとまらず明け渡しの日も迫り大英断をする事に、、、。10数年聴いてないレコード、ラベルを見ても音を思い出さないレコードは、この先も聴かないだろうという考えに至りそこからは無心で箱詰め作業、山積みとなったレコード箱に買い取り業者宛の送付用紙を張り、明け渡し前夜なんとか部屋を空っぽにした。虚無感に襲われる事もなかったけど20年くらいリアルタイムで買い続けて来たレコードは、自分の生き様でもあり、クラベリア的にいえばクラブの歴史の1ページだったのでした。

で、今回仕分けたのは4000枚弱で1枚1200円としてざっくり500万円の放出!となった訳です。(買い取り額は1枚10円くらいかなw) デジタル全盛の今でもアナログは世界中から毎週たくさん入荷されており、ルーマニア系のようにアナログしか存在しないレーベルも少なくない。それにレコードショップは、音の傾向が一足先に覗ける場所でもあるし普段会わない仲間に会えたりするのもいい!
という事で久しぶりのレコードショップへ行きすっかり入れ替わってる棚をチェック。ミニマル系は新しいレーベルがたくさん出てるしロウハウス系も今年随分買ってる。90sリバイバルも当時の音をまんまトレースという作品もわりと多い。ダブステ、バレアリック、エディットもの…たくさんの時間を要す試聴は時間との戦いだw。1枚数10秒でたくさんのレコードを聞く。そして買うか買わないかを即決、だから、新しい部屋もすぐ手狭になるだろうね。

思えば、テクノやハウスに出会う以前の初期ヒップホップ、レアグルーブ、ジャズ、アフロ、、、もうストリートに流れるあらゆる音楽をリアルタイムで聴いてきた膨大な音源は、2013年デジタル時代にようやくその一部を整理する事ができた。目下の悩みは新しい部屋にあるまだ開封してない段ボールの山を勝たずける事にある。
オフィスの大掃除もあるし、、、虎から馬へ新たな時代への区切りは年内に終わらしたいものである。クラベリアのコラムで引っ越しの話かよーって突っ込まれそうだけど、90年代初期あたりからのテクノ、ハウスを中心に放出したわけだけどこのタイミングでまた新たなレコードも買っているわけで、こうした物の循環はこの先もまだまだ続くのだと思うがそれもコンパクトに生活するという気持ちは変わらずで、うまく生活の知恵を得た。

DJとして1990年代よりウエアハウスで名前をあげる青山の伝説的クラブmaniacloveのプロデュースに関わりDJ WADAとともに10数年間レジデントを務めた。そして、たくさんのアーティストの出会いにより、1993年からSublime Recordsを始め、たくさんのアーティストの作品をリリースしてきました。気が付けば20年もやっていたww。
しかし2013年は、どちらかといえばレーベル活動は控えめな年でありKEN ISHIIの作品のリリースやIPHONEアプリを作ってみたり相変わらず思ったらやってみた!大人げない自分ではあるが、あるがままにやるのも自分流。クラブやフェスは、カフェ感覚だし、面白いものに出会うにはもっと探求しなけければならず。。。
そんなわけで、今年はアナログレーベルも準備2014年はぼちぼりリリースしてきます。SNSや、ここでは言えないこともたくさん進めているので是非!

浅井 利浩

フリーランス・メディア・プロモーター

ABOUT
フリーランスにて、アーティストのプロモーション行う。出没場所は、主にラジオ局、出版社。各レコード会社と契約し、新譜資料を届ける日々。ラジオ局や出版社と組んでイベントも定期的に行う。ブラックミュージックとアメリカンフットボールをこよなく愛する。

https://www.facebook.com/toshihiro.asai.1

どぶねずみプロモーターとして思うラジオとクラブミュージック

最初に2013年ラジオから流れてきて「なんじゃこりゃあ!」と思った曲を。

SHINGO★西成/東京 feat. MINMI
AKANE,RUEED,RUDEBOY FACE/SHOOT TO KILL
NORIKIYO/仕事しよう
MARIN "終わらないループ - Ice Cream Love -" feat. MARIA (SIMI LAB)
DJ HAZIME "そして誰もが歌い出す" feat.RHYMESTER PUSHIM Remix Maah. JSN Akatin
DJ TAMA/PASS THE NIGHT IN TEARS FEAT.MAHYA

これらの楽曲、実はBayfmの深夜番組「モザイクナイト」というラジオフリークしか聴いていないコアすぎる番組で紹介していた楽曲です。とてもクラブシーンを愛している番組だと“今更”感じた2013年でした。

さて、今年もクラブミュージックというアングラで良質な音源を各ラジオディレクターさんに、プロモを渡す日々を送らせて頂きました。担当させて頂いた主なアーティストさんは(敬称略)、AZUMI、Tres-men、Immigrant’s Bossa Band、DJ KAWASAKI、MADEMOISELLE YULIA、fox capture plan、Q.A.S.B.、BLU-SWING、TANAKA ALICE、YOSHIKA(from SOULHEAD)、TRI4TH、L.E.D.、KINGDOM☆AFROCKSなどなど。これらは、ラジオディレクターに影響を与えた音源ばかりで、嬉しい事にとても重宝がられました。ラジオ局の現状は、やはり「良質音源不足」と思います。特に洋楽系が少ないそうです。メジャーの様に派手にプロモーションは、できない身なのですが良い音楽は必ず評価されリスナーさんの耳に届いていると思いました。

最後に、恒例の?個人的に“勝手に拍手”な、2013年放送のラジオ番組TOP 5を!これらは、クラブミュージック好きの方に聴いて頂きたい良い音楽がたくさんかかる番組です。

1: Bayfm「MOZAIKU NIGHT水曜日」 DJ Roniさんとディレクター濱さんの素晴らしいセレクト。
2: Inter FM「Mondo Musica木曜日」コーナー“路地裏の小さな居酒屋”パーソナリティ野村雅夫さんがアーティストと60分間お酒を交わす体でお話するコーナー。
3: Tokyo FM「アポロン」TFMのイメージが変わった番組、オシャレ音楽たっぷり。
4: J-WAVE「ZAPPA」10月から開始。DJが選曲、ミックス、MCをするJ-WAVE初(らしい)のワンマンDJスタイル番組。
5: FM横浜「YOKOHAMA RADIO APARTMENT水曜日“BAY DREAM”」サイプレス上野とロベルト吉野が送るある意味むちゃくちゃな生放送番組、でもかかってる音楽むちゃくちゃカッコいいです。

大上 順也

Pioneer DJプレス

ABOUT
Pioneer DJのプレス担当。Pioneer DJ商品全般のプロモーション活動のほか、業界窓口も担当。DJ orgamicとしてHouse/Techno/RareGrooveなどをスピンする北原宿系。

http://pioneer.jp/cdj/

2013年のPioneer DJ

今年もご指名頂きまして有難うございます。今年は、clubberia様にインタビューされて記事が掲載されました!
http://www.clubberia.com/ja/features/feature-110-pioneer_rekordbox/interview.php

プレス担当2年目もアッという間でした。アーティスト様/レーベル様/クラブ様/その他にも本当に多くの方々とお仕事をご一緒する事が出来て嬉しく思います。特に、Pioneer DJから様々なSerato関連商品を発売させて頂いた関係で、Hip Hop/R&Bシーンからの反響をたくさん頂いたのが印象的でした。タイアップイベントだけでも、FILE RECORDS 25周年、Jazzy Sport合同リリースパーティー、Do-Over Tokyo協賛と、今までとは一味違った展開をさせて頂く事ができました。

私は、普段マーケティングや広報を担当させて頂いているのですが、その活動の中で、「Pioneer DJの広告/宣伝を通して、どうしたらクラブシーンが更に楽しく豊かなものになるだろうか?」という事をよく考えた1年だったかと思います。そして、一過性の広告/宣伝ではなく、深い部分でクラブ/DJ文化に触れて頂くことが大事だという事を実感しています。「ベテランの方々の核になっている魅力は?」「新しい世代の方々が訴えかけているのは?」「どんな伝え方をしたらいいだろう?」そんな事を考えていました。

インターネットなどのハード的な部分でも社会環境などのソフト的な部分でも目まぐるしく環境が変わっている状況で、音楽の消費スタイルもどんどん変わっていき、それに付随してクラブやDJの意味性も常に変化しているように思います。そのような中で、来年もPioneer DJとして新しい提案を行い、クラブシーン・文化の発展にお力添えできますと幸いです。

nik

PROGRESSIVE FOrM/主宰

ABOUT
PROGRESSIVE FOrM主宰。2001年より青木孝允と高木正勝によるSILICOM、AOKI takamasa、半野喜弘、Ametsub、Fugenn & The White Elephantsなど才能溢れるアーティストの作品をリリースする。2004年と2006年のsonarsound tokyoを共同開催。2011年にレーベル10周年イベントをリキッドルームで開催。2013年より新たな電子音楽の祭典《EMAF TOKYO》を始める。2014年は1月14日リリースのコンピ『Forma. 4.14』PFCD40から始動。

http://www.progressiveform.com

さまざまに表現されるより、自由度の高いアートな音楽の行方

2013年も充実したいろいろな仕事をさせて頂く事ができ、直接関わって頂いた方も間接的に関わって頂いた方も、関係各位には心より感謝しています。

今年、PROGRESSIVE FOrMのリリースでは、2月Geskia!、4月mergrim、6月M-Koda、8月Fugenn & The White Elephants、10月Vegpher(杉本佳一)、12月Pawn/Hideki Umezawaと皆の素晴らしい楽曲を届けることができ、またイベントでは七夕@WWWでのmergrimリリパ、そして本年より開始した《EMAF TOKYO》という2daysの電子音響の祭典を11月3日~4日とリキッドルームで開催しました。

この《EMAF TOKYO》というのは、「Electronic Music of Art Festival Tokyo」の「E」「M」「A」「F」の頭文字を取った造語で、例えばメディアアート系含む電子音楽と、いわゆるテクノなダンスミュージックの間を繋ぐようなさまざまに表現されるより自由度の高いアートな音楽を紹介していきたいと考えていて、今年はDiamond Version(Alva Noto+Byetone)、μ-Ziq、Fennesz、Luine、ヤン富田氏らを中心に50組近くの出演者による充実した公演になりました。2014年以降も秋にアニュアリーで日本における新たなオリジナルラインの1つの場として下地を作っていきたいと思っています。

2014年は1月14日発売の4年振り4枚目のコンピ『Forma. 4.14』PFCD40からスタートです。音源はこちらで是非試聴してみて下さい。
https://soundcloud.com/progressive-form

2014年もどうぞ宜しくお願い致します。

tocci

eastaudio SOUNDSYSTEM / outlookfestival.JP / サウンドシステムプロデューサー

ABOUT
ヨーロッパの超人気フェス、OUTLOOK FESTIVALのJAPAN LAUNCHをPART2STYLEとオーガナイズしながら欧州で発展しているサウンドシステムカルチャーの啓蒙と日本の"鳴り"を求めて活動中。話題のスピーカブランドUKのVOID acousticsの日本代理店としてレンタルや販売、システム施工を行っている。

http://www.facebook.com/EastaudioSoundsystem

イビサ~INCUBUS導入まで 2013を振り返る

今年2013年は、さらに「サウンドシステム」というワードが定着したように思います。クラブのWEBサイトやフライヤーでも頻繁に目にするようになりました。とても嬉しいことではありますが早くも言葉の一人歩きや過大な表現も出て来始めていてちょっとバブル!?な感もあるので皆さんも必ず自分の耳で確認してくださいね。

さて、今年はOUTLOOKをアゲハに移し、屋外のフェスやイベントでも多数鳴らす機会を頂き、あらためて関係各位に感謝御礼申し上げます。また、9月にはイビサに研修に行く事ができました。イビサでは2泊3日の強行軍でしたが、ピンポイントでクラブを回ってくることができました。まずはVOIDのデフォルト的存在のSANKEYS、そしてFUNKTION-ONEを擁するSPACE、V-PROFのamnesia、そして現在世界No.1サウンドと言われるVOID INCUBUSを擁するedenです。音自体は良い悪いに加え「好み」という問題があるので強いて言えばどれも特徴があってそれぞれ素晴らしいと思いました。またそのサウンドの特徴とクラブの方向性がしっかり合っているのも面白かったです。amnesiaは全てがイケイケでしたし(笑)、edenは未来の音を感じることができました。ただ、どこのクラブでも感じたのはタイムマネジメントの重要性でした。ディレイを駆使してDJブースから発せられた音を、店内の隅々まで完璧なディレイ設定で届けます。その為に必要な場所に必要な数だけディレイフィルスピーカが設置されています。日本では予算をカットするためにまずスピーカを最小限の数にするようオーナーから求められますが、その時点でイビサのような空間を作ることは困難になります。とにかくクラブ内のスピーカの数が圧倒的に多いです。アンプもプロセッサーも増える訳ですから日本の現状ではかなり難しいかもしれません。この辺りの事情、是非日本でも変わっていってほしいです。あとやはりクラブが雑居ビルでなく独立した建物に入っていることの重要性も感じました。ブランディングも設計の自由度も桁違いだと思います。

そんな未来を感じる事のできるINCUBUSシステムを我々もアジアで初導入することができましたので2014年は是非楽しみにしてください!!

二木 信

音楽ライター

ABOUT
1981年茨城生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年1月末、00年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』(Pヴァイン)を刊行。

・twitter:https://twitter.com/shinfutatsugi
・『しくじるなよ、ルーディ』:http://p-vine.jp/news/3878

2013年のベスト・ライヴ/パーティ/イヴェントをあげようと思いましたが、これがなかなか大変な作業でした。手帳や日記をひっくり返したものの、たぶん、というか、絶対に忘れている真夜中や早朝……もしくは徹夜明けの昼間の最低で最高の時間があります。ですので、いま思いつく、下半期を中心に印象に残っている、衝撃を受けたライヴ/パーティ/イベントをあげてみました。僕にとって、クラブカルチャーとはハシゴ文化です。僕はいま東京に住んでいるのですが、次から次に行くところがあるという、恐ろしい魔の巣窟のようなところです。アフターに次ぐアフターです。そしてどこに行ってもだいたい狂ったDJがいて、狂った音楽をかけているというステキな無間地獄なのです。

★8月7日
晴れたら空に豆まいて七周年記念 友川カズキvs豊田道倫@代官山 晴れたら空に豆まいて

ダンディズムの友川かずきと諧謔精神の豊田道倫の真っ向から対立する世界観が融合した2人のセッションまで最後に観ることができたのは幸運でした。豊田道倫の歌はもちろん、美しいギター・プレイが素晴らしく、何度も泡盛をおかわりしてしまった。

★9月21日
第4回 BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権@赤坂BLITZ

「いまの高校生はラップが上手い!」というのはもちろんなのですが、しかしそれだけではなく、ラップという音楽文化を通じて、日本に住む高校生の感性やライフスタイルがここまで変化していっているのか、という驚きと発見の連続でした。

★10月25日
T.R.E.A.M. presents『第4回 今夜が田中面舞踏会』@新宿 風林会館

新宿・歌舞伎町の、でっかいシャンデリアのある元グランドキャバレーの跡地というロケーションと大雨の歌舞伎町、そして仮装大会ばりのシチュエーションで、アンダーグラウンドな連中のライヴを観るという、猥雑な昭和バブルタイムスリップな一夜でした。

★10月27日
MEGA-G×BANG BLACKS DOUBLE RELEASE PARTY(16FLIPのDJ) @渋谷 SECO BAR

とにかくいま16FLIPのDJが面白いです。

★11月6日
MIC STORY THA BLUE HERB×SEEDA@新代田FEVER

「え!? そんなツーマンがあったの?」という反応を、多くの音楽関係者の方々からされましたが、あったのです。最後の2人のフリースタイルバトルは本当に興奮しました。

★11月29日 EL NINO (KILLER-BONG×灰野敬二のインプロヴィゼーション)
@渋谷CLUB ASIA

筆舌に尽くし難いとはこういうときに使うのでしょう。連綿と続く日本の音楽の歴史のなかにいるのだな、という感覚さえ覚えるものでした。

望月 大輔

ベスタクス株式会社 製造本部 主任

ABOUT
日本のDJ機材メーカー、Vestaxに務める。自分の嗜好と仕事を両立させるべく、日夜クラブ通いに励む。本人もDJ、フォトグラファー、などの形でクラブシーンに貢献。FUNKTAXIのスタッフとして、ディレクションを行っている。
http://www.vestax.jp

いろいろ変わりつつある2013年

私はベスタクス㈱という日本のDJ機材メーカーに勤めていますので、まずはその観点からお話します。

昨年もこのコラムを執筆させていただいたのですが、DJ機材としてのコントローラーが各社から数多くリリースされ、やや飽和していると述べています。現在もその考えは変わっていません。ターンテーブル→CD→コントローラー、とハードウェアが変わってきたように、コントローラーからも変換する時期に来ている感はあります。既に現場でi-PadでプレイしているDJもいます。またその現場に合わせたハードを選択するDJもいます。普段、通常のクラブではレコードを主に使用していても、バーなどの小箱でプレイする際はCDやメモリースティックを使用する、などといった使い分けも当たり前になっています。結局のところ、ユーザーであるDJが自分で自分に合った選択をすることが、なにより大事だということでしょうか。日頃からクラブに通っていて上記のように感じています。

クラブシーンについて触れると、今年はクラブの閉店や同じ場所で新たなクラブとして開店することが目立ったように感じます。通いなれた店が閉店することは、とても寂しいものです。それでも新たなクラブとして生まれ変われば、そこで新たなムーヴメントも生まれることでしょう。特に今はクラブについて考えたときに、勢いがあるのはEDMに関することばかりな雰囲気もあります。もちろんそこから入っていろいろな音楽に興味が広がっていくこともあるでしょう。私としては、もっとディープな音楽世界(FUNKTAXIのような)に興味を持つ人が増えたら良いなと思います。

2014年も楽しみましょう。

千葉 トシユキ

REALROCKDESIGN 代表

ABOUT
1996年より活動スタート。以来ジャンルにとらわれず広告、映像、WEB、VJ、音楽とさまざまなメディアで活動。「一瞬感じたものをインターフェイスに閉じ込め、目に見えない何かをグラフィックとして落とし込むこと」をコンセプトに進化し続けるデザイナーズ集団。近年では国内外の大型フェスティバルから東京アンダーグラウンドパーティーまでボーダレスに参加している。
http://www.realrock.co.jp/

瞬のものでない、より深いシーンへなってほしい!!!

2013年を振り返る。
今年はリアルロックデザイン的にはクラブ、野外フェスに恵まれた1年だったと思います。いつもお邪魔してない現場も今年は多かったかと。何となく出演者が偏ってきてるのは気になる部分でもありますが、もっとたくさんのクリエーターが出てきてくれる事を来年は期待したいですね!

では、若いアーティストはどうやったら育つのか?僕には何が今後のシーンにとっていいのかわかりませんが、いいクリエイティブを次世代に伝えたいですね!そして一瞬のものでない、より深いシーンへなってほしい!!!そんな願いを来年に繋げたいと思います。

自分が運営しているリアルロックデザインは来年度に新しいオフィスに移動やスタジオ設立など新しい挑戦があります。コンセプトにある「一瞬感じたものをインターフェイスに閉じ込め、目に見えない何かをグラフィックとして落とし込むこと」 により近づけるように挑戦できればと思っております。

さて2014年はどんな年になるのか?
今から楽しみです。

RYO WATANABE

プロモーター / DJブッキング・エージェント / FACE / ESCAPE オーガナイザー

ABOUT
1997年、西麻布SPACE LAB YELLOWのプロデューサーであった村田大造の企画制作会社(株)MIGに入社。入社後YELLOWのDJブッキング及びDIMENSION K.など数々のイベント制作に携わる。2001年、(株)MIGを退社後、独立。2001年以降はSPACE LAB YELLOW、ELEVEN、AIRを中心に定期的にパーティーESCAPE及びFACEを開催。FRANCOIS K.、DERRICK MAY、TIMMY REGISFORD、CARL CRAIG、DIXON、AME、DJ GREGORY、JEROME SYDENHAMなどをはじめ、多数のDJたちの日本エージェントとして活動を続け現在に至る。また、SPACE LAB YELLOWのアナログ・コンピレーション・シリーズをIBADAN RECORDSのJEROME SYDENHAMと共に制作。また、ここ数年はレーベルHEARTBEAT LABELのアーティストコーディネート及びCD制作の企画にも携わる。

私はDJのプロモーター、ブッキング・エージェントとしてパーティーや日本ツアーの企画制作の仕事をしていますが、2013年は個人的にとても厳しい1年となりました。
今年もDERRICK MAY、FRANCOIS K.、TIMMY REGISFORD、CARL CRAIG、DIXON、AME、ANDRE COLLINS、KIM LIGHTFOOTといった毎年来日にしているDJを始め、DENNIS FERRER、LEN FAKI、MARC ROMBOY、VINCE WATSON、GLIMPSE、JUAN ATKINS、DJ KARIZMA、TEDDY DOUGLASなど数年ぶりに来日したDJや初めて一緒に仕事をしたDJまで、さまざまなパーティーを行ってきました。確かな手応えを感じたパーティーもありましたが、集客的に厳しいパーティーもありました。

ここ数年、特に2013年のクラブシーンの傾向として音楽的にコマーシャルなパーティーが増えた様に思います。ある程度マーケットにとって必要なことも理解はできますが、長い目で見た場合"果たしてシーンにとって良い結果を生むのだろうか?"と正直思ってしまいます。クラブも存続をかけて必死に戦っているので安易に非難すべきではないのかもしれませんが、個人的には同意しかねる傾向です。

比較的大御所と言われるDJやオールドスクールのDJたちと仕事をする機会の多い私にとって、2013年はさまざまなことを考えさせられました。10数年一緒に仕事をし続けてきたDJたちも多く、今までにも過度期と言える時期は幾度もありました。しかし、この厳しく困難な状況の中でも全くブレずに"自分の信じる音楽"に"スピリット(魂)"を込めて活動しているDJたちの存在には本当に励まされました。私個人にとっても、パーティーに来て下さった皆さんにとっても大切な存在であり、"音楽の素晴らしさ、奥深さ、可能性"を感じさせてくれました。そして、こういう厳しい状況だからこそ実は"学ぶべきこと"がたくさんあり、"今の自分に何ができるだろうか?"と綿密に考え、試行錯誤しながらも"続けていくことの大切さ"を教えてもらいました。

私は"彼等がプレイする音楽を1人でも多くの方々に体感してほしいと思っています。そして感動的な瞬間を一瞬でも味わってほしい。その結果、皆さんの心に残るスペシャルなパーティーになれば嬉しいです。

2014年は希望の光が見えるように頑張っていこうと思います。

佐藤 勢一郎

Motherオーガナイザー/Mother Productions.inc

ABOUT
1974年11月24日、岡山県生まれ。1996年頃よりライブイベント等のオーガナイズを開始。2000年に渋谷SIMOONにてテクノイベ ント「SWAY」を主催。同年に体験した野外レイブに感銘を受け、TA-KAとの出会いをきっかけに2002年から「Mother」を仲間と共に立ち上げる。現在は雑誌編集者としても活動中。
http://www.mother.bz

2013年の活動が導いた、未来への道程

屋内外の大型フェスティバルが台頭していくなか、クラブシーンも少しずつ元気を取り戻してきたように感じています。これもひとえに全国各都市のクラブ関係者、オーガナイザー、アーティストの方々のご尽力の賜物だと思います。

2013年のMotherは野外フェス[DISCOVERY]をはじめ、クラブではageHaやWOMB、UNITなど様々な環境でパーティを開催しました。これはアーティストのテイストに合わせた会場選びをすることで、コンテンツをよりコンセプチュアルな形で表現するためでした。シチュエーションの変化を生かし、かつMotherらしいパーティを作るという取り組みを通して確信したのは「信念を貫く事の大切さ」でした。その信念とは、プロデューサーのTA-KAが11年変わる事なく追求している[感動と楽しさに溢れるパーティ]です。今年の全8公演を終えた今、Motherのお客さんはこの「感動体験」を求めているんだと感じています。2014年はさらなる感動体験を目指し、よりエモーショナルなパーティを作りたいと思います。

そして2013年の最も大きな出来事は、やはり野外フェスの復活ですね。サイケデリックを基本としていたMotherがテクノシーンへの参入で得たノウハウを生かし、さらに企画で関わった豪州の皆既日食フェス[ECLIPSE2012]から学んだ文化的な要素を取り入れた集大成的なフェスとして[DISCOVERY]は開催されました。個人的な意見ですが、DISCOVERYにおける一番の収穫は野外フェスが持つ文化・教育としてのポテンシャルでした。一例ですが、DISCOVERYでは場内にゴミ箱を設置せず、「自分で持ち込んだ物は自分で持ち帰る」を基本原則に掲げました。ゴミ問題の現状を考えると開催前は不安でしたが、開催中場内にはゴミはほとんどありませんでした。これは子供にゴミの分別を教える両親の姿や、ゴミ袋を片手に踊りながらゴミ拾いをするお客さんの姿が、回りの人のゴミに対する意識を高めた結果だと思います。

このように自然の美しさや大切さは学校の教室だけでなく、遊びの場を通しても楽しく学ぶ事ができると改めて感じる事ができました。多くの野外フェスを主催されている方々も同じ思いだと思いますが、これからはこの文化的な側面をより成熟させ、微力ではありますが「道徳」が失われつつある現代社会へ貢献したいと思います。

2013年も大変お世話になりました。
2014年もMotherをご支援頂けますよう、よろしくお願い致します。
皆様、良いお年を!

yanma

clubberia 編集長

ABOUT
1983年生まれ。島根県出身。服飾の専門学校を卒業後、アパレル会社に入社するが音楽の仕事に携わりたくなり退社。そしてclubberiaに就職。現在は編集長を務める。

2013年を振り返ってたらコラムじゃなくて夢を書いてました。

「文化を最大の輸出品に」。この言葉は、今年、音楽シーンという枠を突き抜けて、参院選に出馬した音楽家の三宅洋平氏が掲げた政策ビジョンの1つです。この政策すごくいいなと思って見ていました。三宅氏が謳っていたのは、広い視野での文化ですが、私はどうしても音楽の側面の文化に結び付けてしまいます。

今年、オリンピックの開催が日本に決まった時、FACEBOOKで開会式などのセレモニーの音楽を誰に担当してもらいたいか?という一般アンケートが公開されており、J-POPのミュージシャンばかりがランクインしていたように記憶しています。まぁ、一般アンケートだからテレビで見るミュージシャンがランクインするのは、しょうがないかなと思います。いっぽう私のSNS上では、そのアンケートを見た人が多く挙げてたのがYMOだったかと思います。私の狭いクラブ関係コミュニティーの中でのYMO支持率は高かった印象ですが、ここでも2013年になっても日本を代表するアーティスト=YMOなのかと思う部分がありました。極端ですがYMO以降、お茶の間から世界中のリビングにまで届いた日本の音楽、アーティストっているのかなと思いました。ん~~久石譲?
そう簡単に新時代を開くほどの音楽やアーティストなんて出てくるわけがありませんが、にしても前記したオリンピックのアンケートを答えようと思った時に選択肢が少ないのは否めないのかなと思いました。しかし、そう考えると長野オリンピックの公式テーマ曲をKEN ISHIIさんが作ったのは、本当にすごいことだと思いますし、テクノという音楽に人々の視線が行っていたのかが分かります。

最近の学校での音楽の授業ってどんな感じでしょうか?私の小中学生の時は、「夏の思い出」や「野ばら」を歌ったりクラシックや日本の伝統音楽を学んだりしました(シューベルトの魔王が大好きでした)。昔から音楽の授業は好きだったのですが、なんならエレクトロニックミュージックも教えていいと思うし、ジャズもヒップホップ、もちろんロックも一通り聞かせてみても面白いと思います。私は中学生時代に、雑誌SMARTでオシャレな人たちが当時オススメしていたプロディジーを聴いて「う、う、歌がない!」と衝撃を覚えた経験がありますが、もし学校で先生に教えられてたらどうなっていたでしょうか?複雑な年頃なので「ふ~ん」と思っただけだったかもしれませんが、私が受けた授業は過去の音楽だったので、現行の音楽を勉強する時間もあっても面白かったかなと思います。

文化は人の力です。そして人を育てるのは教育と経験だと思います。本人の意思もありますが、意識的に与える部分は必要かなと思います。10代以下の人たちに、教育の一環として音楽と向き合い鑑賞する体験の場を作れたらいいなと思っています。あと、中学校の音楽の授業をもう1回受けたいなと思ってます。

p.s
後でググッたらアンケートは「東京オリンピック開会式に登場してほしい歌手」でした。