アメリカ出身、現在は、韓国の釜山で英語教師をするかたわら、バンドのドラマーとしての活動やイベント企画を通して釜山の音楽文化の活性化をはかる「Lhasa(ラサ)」。彼のアカデミーへの印象を通して彼のアーティスト精神に迫ってみた。
初日の朝食で同じテーブルに偶然座ったLhasa。彼の気さくな性格にすぐに話は進んだ。アカデミーをずいぶん気に入っている様子。早速、レクチャー終了後に話を聞いた。
- 始めに自己紹介をお願いします。
「Lhasa」って言う2ピースバンドでドラマーをやっているRhylon Durhamです。出身はテネシー州なんだけど、今は、釜山で英語の教師をしながら音楽活動をしているよ。もう釜山に住んで2年半になるね、もう少ししたらソウルに引っ越すつもりでいるんだけどね。何か新しい刺激を求めていたのかな。それで韓国に行こうって決めたんだ。だから福岡にはすごく近いし、実は福岡のクラブでプレイしたこともあるんだ。相方のEricもアメリカ人なんだけど韓国で知り合ったんだよ。
- 釜山はどんなところですか?
釜山は、ソウルに比べて音楽の文化は劣っているけれど、だからこそ開拓の要素がそこにはある。釜山の人が何かを欲っしているのが伝わってくるんだ。だからソウルや海外のバンドを招待して「Rad City」って言うイベントも主宰しているよ。音楽だけじゃなくってライブアートのパフォーマンスとかも取り入れてる。イベントをするときには外国人だけじゃなくって、できるだけ釜山の人にも来てもらおうとがんばっているよ。
www.lhasa.bandcamp.com
www.radcity.org
- 音楽活動をしてどれくらいですか?
ドラム歴はもう13年になるかな。色んなバンドに参加してきた。実は、韓国政府が主宰している"Arts Council Korea"からアーティストとして奨学金をもらってるんだ。韓国人以外でこの制度を使って活動しているのは、僕たちだけだと思うよ。その資金でアルバムを韓国で制作して、マスタリングは、アメリカの友達にお願いした。そして、発売にまでこぎつけたんだ。だから今は、恵まれている環境の中で音楽活動ができているよ。
- 自分たちのジャンルを説明してください。
2人で考えた結果"Loop Drive Dream Rock"ってのがいいんじゃないかと思ってる。ライブは、その場で録音した様々な音をループして重ねていって、そこにエフェクトをかけていく感じかな。アカデミーは、僕のインターナショナルなバックグラウンドが気に入ったんじゃないかな?韓国で撮影したミュージックビデオがネットにあがっているから、日本のみなさんにも見てほしいな。
- アカデミーの率直な印象を教えてください。
到着する前までどんなところかも想像できなかったけれど、到着してすぐに分かったのは「Red Bull Music Academy」は、本当に興味深いコンセプトだと言うことかな。Red Bullのビジネスプランて何なんだろうって正直思ってしまう。だって、飲み物とはほとんど関係ないんだからね(笑)。でもかなり真剣に、そして知的に音楽やアートの文化支援に取り組んでいると思うし、そういう会社は少ないからうれしい限りだけどね。"Matadeo Madrid"を開催地にしたことも、そういう真剣な取り組みがあってからこそのものだと思う。
応募するためにはすごい量の質問に答えなくちゃならなかった。質問も変わってて「最後に泣いたのはいつですか?」とか「自分自身をを音楽の世界と照らし合わせて絵を描いてください。」とかね。何が正しい答えなのか分かったもんじゃないよ(笑)。でも面白い質問だったし、なにか心理学的な要素があるようなものが多かった気がするな。「Red Bull Music Academy」という名の心理実験といってもおかしくないんじゃない?
- 違う時間軸、空間に居るみたいな感覚 -
ここに居ると、本当に時間が違う風に流れているように感じる。 違う時間軸、空間に居るみたいな感覚を覚えるよ。自分の感性をいつも刺激されているね。なぜ音楽をやっているのか、普通は、始めた理由なんてただ単に音楽が好きだったからとかなんだろうけど、アカデミーは、自分たち生徒に音楽をやる理由、もっと言えば自分の存在意義みたいのを問いかけてくれていると思う。答えは、まだ出ていないけどね。
- アカデミー期間中、これからの予定は?
今日は、これから「Palmbomen」とセッションをするつもりなんだ。来週に彼のパフォーマンスに参加させてもらうことになっているよ。それと僕は、作曲のスキルが他の生徒と比べて劣っているから、そこを特に学びたいと思っている。
- どうも貴重な時間をありがとうございました。
All photos by Red Bull Music Academy.
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