唯一無二の3空間をクリエイトする大阪・アメリカ村三角公園にある「TRIANGLE」。週末には、ジャンルを問わず世界中から旬のアーティストが登場し、常に新たな可能性にチャレンジし文化を発信しつづけている。そのTRIANGLEからマネージャーの芳岡氏、および同クラブをメインに関西シーンで活躍するKUNIMITSU氏に話を聞いた。







──「トライアングル」というクラブができるまでの経緯を教えてください。

芳岡:
立ち上げのときからいたんですけど、当時は学生でした。トライアングルのオーナーとは昔から知り合いで、オープンの3日ぐらい前に、たまたま店の前を通ったときに彼に会って「今仕事何してんの?」って話になって手伝うことになったんです。まずは、バーのスタッフだったんですけど、当時は1ヶ月に1回ぐらいしか出勤してなくて、へろ~と来てへろ~と帰る感じで(笑)

─じゃあ、当時はバイトとして業務をこなしつつ携わってきたんですね。

芳岡:
イギリスに1年ぐらい行ってて、大学に戻ってきたときですね。「就職でもせなあかんのかな」と思ってたときに声かけてもらって。


Mathias Kaden @ TRIANGLE


─トライアングルさんの内装って、ベッドがあったりジャクジーがあったり、すごく特徴的だと思うのですが、空間作りのコンセプトや名前の由来を教えてください。

芳岡:
トライアングルって名前は、ミナミの象徴の三角公園のまん前にあるからって意味もあるし、3フロアで、ロゴも三角形を合わせたもので、基本的に超シンプルなんです。何の意味もなかったりします(笑)。でもトライアングルです。

─今や大阪を代表するクラブとして認知されていると思うのですが、オープン当初はどうでしたか?

芳岡:
最初の2年間ぐらいは、ほんとに白紙の状態で。自分もドラムンベースのDJやってたんで、ドラムンベースのパーティーをやっていたんです。ただスケジュールを埋めていく中で、自分がいいなと思えるものは感覚でやってきました。


DJ Marky @ TRIANGLE


─イギリスに行っていたときの影響が、ブッキングに反映されているんでしょうか?

芳岡:
それはけっこうあると思いますね、知らず知らずのうちにっていうか。意識している部分もあるのはあるんですけど、イメージですね。


─トライアングルさんのブッキングを見ていて、コア層向けだなという印象を持ったんですが、ブッキングに関して大切にしている部分はありますか?

芳岡:
感覚ですよね。私物化はしたくないですが。

KUNIMITSU:
僕がトライアングルで遊び始めたころには、シーンができ上がってましたよ。

─ トライアングルの色が固まりだしたのはいつごろですか?

芳岡:
まだまだ格闘中です。

─責任者の宿命ですね。

芳岡:
そうですね。

KUNIMITSU:
1年間のマンスリーを並べて見たときに、ここよりすばらしい内容ってほかにないと思いますよ。

芳岡:
あるよ(笑)


(右上へ続く)
 
インタビュー中 左からKUNIMITSU氏、芳岡氏


─KUNIMITSUさんのイベント「TetralogisticS」はどういった経緯で立ち上げたんですか?

KUNIMITSU:

ようやくメインフロアでDJさせてもらえるようになってきたときに、TOYOさん(芳岡)から声をかけていただいて始めたんです。もともと、ローカルなパーティーを小箱でやってたんですけど、ちょうど殻を破りたい時期でもあったし。
TRIANGLEは、めちゃくちゃ色もんでもなく、めちゃくちゃアンダーグラウンドでもなく、ちょうどいい中間層のスペースで、アーティストのブッキングラインも遊んでるころからすごい魅力的だったんで。
その当時は21~22歳だったんで、自分たちの新しいジェネレーションを底上げしたかったんです。
「Tetra」ってギリシャ語で「4つの」っていう意味で、「logisticS」は対象を満足させるための一連の効率的な流れというか。正直曖昧なとこもあるんですが(笑)。2つくっつけると造語っぽくなってしまうんですが、4つの要素が融合されてめちゃ一体感のある空間造りいうのがコンセプトです。

要素は僕らとお客さん、それからもちろん音と映像と、あとは人によってはファッションだったり、ダンスだったり、お酒だったり。僕らが提供できるものから、お客さんにいろんな要素を見つけてもらって、自分の中で混ぜて楽しんでほしいなって気持ちでやってます。


TetralogisticSイベント中

─今年2周年をむかえた「TetralogisticS」ですが、今まで共演したアーティストでとくに思い出に残っているエピソードはありますか?

KUNIMITSU:

毎回楽しくやれているんで、全部印象的だしおもしろいものばかりですね。
ハプニングは結構多くて、Dominik Eulbergが本番の30分前に彼の祖母がお亡くなりになったということで、テンションのアップダウンが激しかったり、Jimmy Edgarが2回連続でキャンセルになったこともありました。
いろんなアーティストをフィーチャーしてきましたが、DJ的なことからいえばLuke Vibertのあとのプレイは、今までで一番むずかしかったかもしれませんね。Tha Blue HerbのO.N.Oさんだったり、GOMAさん、Sun Paulo、あとPitch Blackなど4つ打ち系のアーティスト以外もコラボレーションできたのはよかったです。
去年の3月にトライアングルが中心となって、けっこう大規模な屋内フェス感覚のパーティーを「TetralogisticS」名義で、名村造船所跡地で開催しました。田中フミヤさんやKen Ishiiさんにも出演いただいて、もしベストパーティーを選ぶならコレかなと思います。

あとはゲストDJなしで何度か開催してるんですが、たくさんのお客さんが集まってくれるので、それが何よりハッピーですね!

─キャンセルの連絡が入ったときって、どんな心境ですか?

KUNIMITSU:
そりゃびっくりしましたね(笑)。「うそやん」みたいな。ある意味天才、奇才とはこういうものなのかもしれないとも思いました(笑)。でも反面、逆境に立たされたというか、「ゲストの外タレありきやないやろ!」っていう意識が高まったこともあります。

芳岡:
ギャラ払わなくてよくてラッキー!(笑)しかも2回。助かりました。楽しみにされていた方は、今からでも言ってください(笑)


KUNIMITSU @ TRIANGLE



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─2周年パーティーはレジデンシーのみでしたよね?

KUNIMITSU:

そうですね。そういう流れもあってレジデントDJ2人で3時間ずつで。そのあとバック・トゥ・バックでけっこうな時間まで盛り上がりました。

そんなワガママもサポートしてくれるTOYOさんに、ほんま感謝です。

─実際に2年イベントをやられてきてどうですか?やりがいはありますか?

KUNIMITSU:
もちろんありますね。僕らのやっていることがキッカケになって、音楽に興味もってくれるのはすごくうれしいですし、僕らがシーンに対して少しでも貢献できてるんじゃないかなと思います。

─芳岡さんは「TetralogisticS」に関してどういった印象をお持ちですか?

芳岡:
いいパーティーだと思いますが、オーガナイズできる人間がいなくて、絵体がはっきりしません。テクノ系のパーティーでDJとしてもKUNIMITSU、YASUHISAもいいのですが、関西は特にイベントオーガナイザーがいないんです。
要するにクラブイベントをビジネス的にみて収支を出していける人がなかなかおらず、この2人にもDJしつつ、自ら自らを売り出すことと同時にパーティー全体のバランス(動員や雰囲気、内容などなど)も見ていってほしいですね。
個人的にはフロアに立っていて楽しいなって思いますね、身内なので。普段そんなにテクノの音楽を買ってまで聴いたりしないですけど、こういう空間で一番映えるっていうか、音楽性、アイデンティティ、存在能力とか、そういうのをうまく生かせるジャンルとパーティーかなと思ってたりします。まあ、毎回放置プレイですが(笑)。毎週土曜日にはこのパーティーのレジデントYASUHISAにプレイしてもらいたいと思ってます。

KUNIMITSU:

ありがとうございます。現段階で、僕らがどこまで次のステップを踏み出せるかってとこだと思うんですけどね。ローカルって呼び方はあまり好まないけど、やっぱり日本でやっている以上その土地でやってる人間がローカルスターにならないと。ローカルスターがいっぱいれば、それだけ競争意識も高まってよりマーケットも広がると思うんですよね。


Radio Slave @ TRIANGLE

─最近、外タレ至上主義みたいな感じですもんね。

芳岡:
そうですね。でもいいアーティストはドンドンきてください。Welcome to japan!

─いろいろな原因はあると思うんですが、メディア側の責任もありますよね。

芳岡:
あると思います。

─「TetralogisticS」に関して目標はありますか?

KUNIMITSU:
2年間マンスリーに近い状態でやらせてもらってきたんで、いろんなツールを使ってさらに規模を拡大させたいです。大きい会場でやったり、他県で開催したり、レーベル化して楽曲のリリースをしたり、たくさんの人や音が出会う交差点を作りたいですね。

─ところでKUNIMITSUさんって、お歳はおいくつなんですか?

KUNIMITSU:
今、24歳です。

─同世代に同じような活動をされてる方っていますか?

KUNIMITSU:
僕が見つけられていないだけかもしれないですけど、同世代で先頭切ってクラブで何かクリエイトしてる人って少ないかもしれないですね。東京の人に「関西や大阪のDJで名前を聞く人は誰なんやろ」って、逆に聞きたいですね。

─KUNIMITSUさんは東京でDJすることもありますよね。ほかの地方でどこか行かれたところはありますか?

KUNIMITSU:
今のところ京都や神戸が多いですね。国内なら名古屋とか九州とか出たいですね。ほかにもいいところがあるとよく耳にするので、もっとたくさんのとこに足を運んで遊びたいです!

インタビュー中

(右上へ続く)

 
TRIANGLEイベント中

─最近はクラブシーンが高齢化しているような感じがするのですが、トライアングルには20歳前後の客層って遊びに来てますか?

芳岡:
けっこうきます。エネルギッシュです。

KUNIMITSU:
実際若いDJっていっぱいいますよ。はたしてDJと呼んでいいのかどうかわかんない人もいますけど(笑)

─今、KUNIMITSUさんが提案していきたいアーティストっていますか?

KUNIMITSU:
んー、どうしても好きなトラックメーカーだったりはしますけど、同世代のアーティストがいっぱい出てきてもらえるとうれしいです。自分もいっぱいいっぱいで、そんな人の善し悪しをいえるほどでもないですが。とにかくもっと自分を提案していきたいです!(笑)


KUNIMITSU @ TRIANGLE

─2人があげる良箱の条件を教えてください。

KUNIMITSU:
デザインやブッキングを含めたマンスリーのディレクションだったり、ブースに立ったときの言葉で言い表せないあの感覚だったり。いろいろありますけど一番は箱とお客さんがもってる暖かさですね。

─それがトライアングルにはあると。

KUNIMITSU:
ありますね。

芳岡:
人間パワー。

─5年後のクラブシーンってどうなっていると思いますか?

KUNIMITSU:
クラブの数は少し減ってると思うんですけど、個々のクラブの状況は、よくなっているんじゃないですか?あと、フェス感覚のものが増えてくるんじゃないですかね。

芳岡:

何をもってシーンというかわかりませんが、とくに変わってないんちゃいます?別に5年前も今と変わんないですし。ロンドン行った9年前も別に変わってないですし。ジャンルの流行り、廃りとかはあると思いますし、新しい人は出てくると思いますけど。今後出てくる新しい人が、今の国内トップDJといわれるところにいてほしいですね。

そしてウマい飯とウマいお酒を飲みたい!KUNIMISTI&YASUHISAに期待!

─最後にお二人にとってクラブとは?

KUNIMITSU:
この流れはむずかしいですね……。仕事場であり遊び場ですからね。生活の一貫であり自分の表現の場ですね。当たり前に泣いたり笑ったりできる楽園でもあれば、ストレスをためることも発散することもできる不思議の国みたいなとこです(笑)

芳岡:
5年後にいてたくない場所ですね。自分自身がまた今のハンドル握ってるよりは、また違う人にバトンタッチして違うシーンへの関わり方をしていたいです。クラブとしてはいろんなストーリーがありますが、大きく見たとこだとクラブシーンてそんなにいてる人も大きくはこの何年間か変わっていてないので。


TRIANGLEイベント中

(END)







 

TRIANGLE


Address: 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-18-5 RIBIA A3-5F
Access: 四ツ橋駅から徒歩2分 
URL: www.triangle-osaka.jp
clubberia TRIANGLE club page:http://www.clubberia.com/clubs/311-TRIANGLE/

「世界に通用するクラブ」を目指してオープンし、最新の音楽、アート、ファッションを発信している「TRIANGLE」。早くも国内外の有名アーティストたちが訪れ、絶賛を浴びているのもうなずける。建物正面には209インチの街頭ビジョンを持ち、階段を上って入る3階層の店内は、まるで異次元空間のよう。








 

KUNIMITSU


自身の耳でCLUBMUSICのみならずジャンルレスに培った知識をバックボーンに06'より本格的に活動を開始。 1つの空間、1つの流れを意識したプレイスタイルはフロアとの一体感を最も重要視し、TECHをキーワードとしたストイックかつ絶妙な緩急でオーディエンスとの距離をグッと引き込む。 08'からはオーガナイズパーティー「TetralogisticS」をTRIANGLEで始動。 マンスリーでの開催で多くのアーティストを招待しながら、時にレジデント2人でのLongSetや各方面で旬のJapaneseArtistをfeatするなどプロデュース面でも活躍し、関西のクラブシーンから絶大な支持を得ている。 東京はWOMBや、神戸、京都でのプレイ等で高い評価得ている中、短期間で様々なアーティストとの共演も経験している。 New Generation Movementの中心人物として、これからの彼に更に期待が高まりそうだ。

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