2012年DJスタイルの広がり
2012年は、Pioneer DJの新商品を多数発表させて頂きました。その数はPioneer DJ史上最多となり、商品を通してさまざまなスタイルのご提案ができたかと思います。さまざまなメーカーからの画期的な商品が世の中にドロップされ、表現ツールとして、またはコミュニケーションツールとしての領域を拡大していて、DJという行為の裾野がどんどん広がっているのを実感しています。
例えば、ものすごく音響にこだわっていて、音源が持っているポテンシャルをいかに引き出し表現するかというようなスタイルもあるし、リアルタイムエディットに全力を注ぎ込んでカット&ペーストの世界を構築していくようなスタイルもあると思います。そういった玄人的な方面もありつつ、コンパクトに凝縮されたDJシステムを使って非常に気軽にDJを楽しむというのもDJ行為の選択肢の1つとして可能性を感じています。
個人的な話をすると、バイナル音源もデータ音源も扱っていて、その時のセットによって使い分けているんですが、単純に音質や操作性といった基準だけで音源や機材を選んでいるのではなくて、どんな表現をしたいかとか、どんなイベントにしたいかといったチョイスがあり、もちろんマッチする時もミスマッチもあって、そういったところの狭間からスタイルが派生するものだと思っています。クラブシーンを見渡すと、この1年でも前述したような方向をはじめ、さまざまなベクトルで進化していったように思います。
話は変わりますが、2012年でもっとも印象に残っているステージは、2月にあったDOMMUNEのジャーマン特集でのMOODMANさんのプレイです。ジャーマン特集という事で、ジャーマンロック~ジャーマンミニマルテクノ~ジャーマンハードロックという内容の3時間のプレイだったのですが、ただの「ジャーマン」という字面をなぞったプレイではなく、楽器や音色、音楽的なテリトリーまで踏まえた上での流れに、尋常ならぬ選曲家としてのプロフェッショナリズムを感じた次第です。こうした、こだわりのあるプレイをPioneer DJの商品を使って表現して頂けるのは、非常に嬉しい事です。他にも感銘を受けたプレイはたくさんありますし、日本中のいろんな所でいろんなドラマが生まれたと思います。2013年もPioneer DJのプレスとしてクラブシーン・文化の発展にお力添えできますと幸いです。