多角化する音楽メディア

 2012年もたくさんの音楽と出会うことができました。音楽ソフトが売れなくなったと言われて早数年経ちますが、リリースそのものは、今年、特に大きな変化も無く毎月安定した新譜がリリースされていたと思います。しかし発表されるフォーマットはCD、アナログからカセット、ダウンロード、無料配布まで本当にさまざまな形体になり、もはや何か1つのメディアだけでシーンを俯瞰するのは難しいことなのかもしれません
 テクノでは、<Ostgut Ton>以降の流れで<Blackest Ever Black>や<PAN>など、新世代のインダストリアルなテクノサウンドがそのカルトなリリース形態も含めて話題を集めていたと思います。ハウスでは、<Underground Quality>、<Wolf & Lamb>、<Long Island Electrical Systems>、<Italiand Do It Better>など、ヨーロッパよりもUSから出てくる新しいサウンドがおもしろかったと思います。さまざまなジャンルに浸透しながら、さらに広がりを見せているダブステップや、Tri-Angle、来年来日の噂もあるAndy Stottを筆頭とする<Modern Love>周辺、スペインのJohn Talabot 付近のインディーロックと呼応したユニークなクラブサウンドにも、おもしろい作品が多かったと思います。
 ドメスティックではDJ Nobuがスタートさせた新レーベル<BITTA>や、今年はヨーロッパでのレーベルパーティーも本格化させ正にワールドワイドな活動を加速させる<Mule Musiq>、日本人アーティストの作品を海外に広げるというコンセプトで配信からレーベルをスタートして今年CDリリースを本格的に始動した<Unknown Season>など、世界的なダンスミュージックのマーケットを強く意識しながら活動している日本のレーベルも多くありました。マーケットが縮小していく中、頑張っているレーベルは、同じ日本人としてサポートしていきたいですね。継続は力なり。
 2013年は、現在当社で担当している<Kompakt>が20周年、<!K7>は27周年を迎えます。何かおもしろい事ができると良いなと思ってますので楽しみにしていて下さい!