シーンをいじらず、シーンを作りたい
昨年は、いろんな事が起こりすぎて、今年は「あっという間だったな」というのが正直な感想だが、私個人は転職という人生の節目になる出来事があった。今年の5月まではクラベリアでもお馴染みのDJ機材メーカーに所属していたが、自身のキャリアアップと日本に紹介したいDJ機器ブランドがあり、一念発起してメーカーから現在所属するディリゲントへ移った。メーカーと代理店では、哲学や理念なんてのも違うし、仕事の仕方も違ってくる。そりゃそうだ、「作って、売る」から「作られたものを売る」のだから、作ろうと思ったときの意気込みやインスピレーションを受けたシーンも違う。さらに、私が現在の会社で手がける事になったDJ機器ブランドReloopは、ヨーロッパではメジャーなんだが、日本ではマイナーどころかアングラの領域。しかしながら、そのアングラをメジャーに持って行く仕事に魅了を感じて、2012年下半期は走ってきた。
メーカーと代理店でも共通しているのは、「モノを売るだけでなく、シーンも作る」ことだ。こういうことを言ってはいけないかもしれないが、従来のクラブシーンだけでは、新たなDJ機器はリーチできない。クラブ/パーティーピーポー以外に訴求する事で、新たなシーンを作っていきたいと考えていた。9月からReloopとコラボレーションしたのが美人時計。そう、黒板時計を持った美人時計モデルが、ウェブやスマホアプリに登場するアレだ。その美人時計モデルに僅か3ヶ月という身近い期間ながらも、DJをすることに挑戦してもらい、最終的には「クラブでDJプレイ」までをやってみた。もちろん皆から「無理無理」「馬鹿にしてる」なんて言われた。そんなことはわかっているが、私はDJを馬鹿にしたつもりはない。むしろ、「クラブ/パーティーピーポー以外がDJシーンに興味を持ってくれる」ことが重要だった。
昨今の風営法問題などでイメージも良くないと思われてるかもしれないが、実際には、一般層はそんなニュースは露知らず。そう、結局は内輪ニュースになっていた。もちろんこれではいけないので、僕たちメーカー/代理店は新たなDJ客層を獲得して、未来のクラブシーンをより繁栄させようではないか。生意気ながら、そう思う2012年だった。