音楽、そして人々の“P.O.W.E.R.”を信じて。

 2012年のダンスミュージックシーン、そして音楽界を振り返ると、やはり問題点も目立ってしまった1年だったと思います。海外を含め、よりコマーシャルな商業志向となったメジャーとアンダーグラウンドな音楽の極端な二極化、一般層のリスナーとコア層の断絶、さらにはクラブシーンのイメージの低下やクラブを取り巻く社会状況の悪化などによって、ダンスミュージックやDJの価値が変質したのかなと。
 実際、「P.O.W.E.R.」や「OFF THE ROCKER&VERBAL presents RAD」、「☆Taku Takahashi presents インターギャラクティック」など1000人以上を集客するイベントを多数プロデュースしてきましたが、1つのイベントをスタートさせる、組み立てる、成功させる事がより難しくなってきていると実感しています。というのも、ストイックなDJカルチャーを追求していくだけは、どうしても刺激や新鮮味に欠けるんです。特殊だったり、日本的と言われてしまうかもしれないけど、やはりさまざまな要素をミックスし、エンターテインメントとして成立させることが重要。しかも、本質はぶれずに、DJ本来のパフォーマンスとショー的なエンターテインメントをどう融合するか、またそれを他とは差別化されたオリジナリティのあるものにできるか、という点を僕はチャレンジしてきたつもりです。
 結果、1つの結論に辿り着くことができた。それは、地味に丁寧にずっと続ける事、結局これだと(笑)。あとはいろんなことに興味を持つ事。そして今が例え“音楽不況”だとしても、音楽が持つパワー、ダンスミュージックやライヴが持つパワーは決して減退してはいないということ。2012年間で延べ3万人前後の方々が弊社プロデュースのイベントに訪れてくれましたが、クラウドが音楽と接した時の喜びはとてつもなく大きい。同時に、そのクラウドと直面したとき、アーティストも音楽の凄まじいエネルギーを放ってくれる。
 また、たくさんのそれぞれの個性が同じ空間で時間を共有する事でエネルギーが発信され、そのエネルギーが新しいものを生み出すストーリーへとつながっていく事が大事だと思います。だから、いつの時代だろうと、DJ文化やライヴ、エンターテインメントの本当の力を証明したい。「音楽と人々をコネクトする」という使命を持って、2013年も真摯にLIVE・音楽を通じたビジネスをクリエイトしていきたいですね。