アナログ回帰、派手な動きはなく来年以降への布石が打たれた年だった(のか?)
今年1年を振り返ってということですが、CD/レコードというフィジカルを取り扱っている業種としては、引き続き厳しい状況が続いた年でした。その中でもおもしろい動きとして、アンダーグラウンドでは、カセットテープというフォーマットが再び注目され、カセットとアナログのみ、またはカセットとダウンロードのみといった新たなリリース形態をとるレーベル/アーティストが続々と現れました。またアナログへのこだわりを誇示するかのように、少数プレスでアーティスト名を伏せて発表される12インチも、引き続き現場主義のDJたちに支持されました。
ジャンル的なトピックとしては、Surgeon、Regisを筆頭とするUKハードテクノリヴァイバル、Echospace/Deepchord、Silent Seasonなどによるダブテクノ/ミニマルダブ勢の増殖、さらにはインディーダンス的アプローチの延長線上としてアンビエント/ドローンが脚光を浴びたりもしました。一時下降線を辿ったミニマルテクノではPeter Inspirescu、Tc Studioなどルーマニア勢が作り出した繊細で実験的なトラックメイキングがトレンドに。来年以降この動きがどのような方向へと拡散していくのか注目されます。アーティスト単位で言うとAndrew Weatherall、Derrick May、Jeff Millsなどベテランが頑張った年でした。