日高 健介

音楽コーディネイター

フリーランスの音楽コーディネイター、A&R、監修者、ライター、通訳、DJ、選曲家。Wax Poetics Japan誌の立ち上げを支え、最近ではサルソウル、ウエスト・エンドの再発の監修及び解説書の執筆(Ultra-Vybe)、DJ Noriの両レーベルのミックスCDを制作、2015年3月発売のサルソウル、ウエスト・エンドのソウル及びディスコ・ブギーのコンピレーション4枚を選曲と監修。毎月第1土曜日にボノボで、最も長いレジデント・パーティ、Lone Star ProductionsをMax Essa、Dr. Rob、DJ GordyとGuyのイギリス人たちと開催。

 2015年明け早々、初めて自ら選曲、監修し、3月末にOctave Lab/Ultra-Vybeから出た4枚のコンピレーションの制作作業からスタート。この数年間、リイシュー・シリーズを監修していた、NYの2大ダンス・レーベル、サルソウルとウエスト・エンドそれぞれのレーベルの“ソウル”系の『OOH, I LOVE IT! -SOULFUL SOUNDS OF SALSOUL- 』と『YOU ARE THE STAR -SOULFUL SOUNDS OF WEST END- 』と、“ディスコ・ブギー”系の『BOOGIE'S GONNA GET YA -DISCO BOOGIE DELIGHTS OF SALSOUL-』『KEEP ON DANCIN' -DISCO BOOGIE DELIGHTS OF WEST END-』といったCD2枚組のコンピレーションの選曲と監修でした。傑作の多数がある膨大なカタログから、その作業をやり始め出してから「結構大変なものだな~」と思いましたが、ありきたりなコンピレーションではなく現在のテイストも考慮したものを作りたかったので、アートワークも含めて満足したものを完成させ、とくにリスペクトしている国内外のDJや音楽通から良い評価を受け、海外の某ショップでも売ってくれたので嬉しかったです。また、この両レーベルと関係するいくつかのプロジェクトも進めていました。2年前に出たサルソウルとウエスト・エンドの両ミックスCDの続きとして、DJ NORIの新しいミックスCD『Take The N Train- Nori's Mix』を制作。さらにパワーアップした内容なので、ぜひ聞いてみて下さい。
 また、この数年浮上した国内の7インチ・ブームの立役者のひとり、DJ Kenseiのウエスト・エンド音源を使用したミックスCD『Double Trouble- Kensei's Super 7" Delites』が、今年になってやっと具現化でき、さらに彼自身がエディットしたウエスト・エンドのトラック収録の7インチ・シングルも出すことができた。DJ Kenseiによるオールドスクール・テイストで、ニュー・スクール・テクノ制作手法による極上なアナログ・スタイルのミックスには脱帽。依頼して良かった! 自分にとっても、何十年ぶりにヴァイナルを制作し、「やはりヴァイナルはいいね~」と思い、今後多くのヴァイナル・リリースをしたくなりました(まぁ、常に出したい気持ちがありますが!)。
 さらに、国内外におけるラテン・ミュージック・マスターのひとりであるラファエル・セバーグによる、サルソウルのサルサ音源満載の、史上初のCD2枚組の傑作コンピレーション『Salseando』の制作サポートもしました。中古市場で高値で取引きされているサルソウルのサルサ系のアルバム音源(他、計20枚のオリジナル・アルバムがラファエルと岡本郁夫氏によりチョイスされ、再発もしている)が最新技術でリマスタリングされて奇跡的に蘇ったのは、快挙としか言いようのないできごとだったと思います。
 12月の初旬にCAYで行なったカリフェ・シューマッハ・トリスターノのライブも、僕にとっては今年の大きなできごとでした。彼らのライブのコーディネイションなどを行いましたが、演奏する音楽と創造力のレベルがあまりにも高次元で活気に溢れていたので、携わることができて光栄でした。感動のあまり、心の底から何度も大声で叫び、涙が出そうになったほど。来年もこのトリオが来日して欲しいと思ったくらい、何回でも観たいと思わせるすごいライブでした!
 千駄ヶ谷のDJバー、ボノボでMax Essa(彼もビクターから素晴しい、自身音源満載のミックスCDを今年出した)、Dr. Rob(イギリスを拠点に置く興味深いバレアリック系のブログ、Testpressing.orgに深く関係し、多くのレビュー、記事を執筆している音楽ライター)、Gordy、Guyと一緒に、毎月第1土曜日に行っている長寿のパーティ「Lone Star Productions」は、今年で5年目もを迎えることができました。また、今年に入り、DJ Nori、Alex From Tokyo、Masanori Ikeda、長谷川賢司らで、仲間のDJをゲストとして招き、さらにMaxの弟のレーベル、Palms & Charmsのレーベル・ナイトも開催し、今までできなかったことをこのパーティーで成し遂げて、さらにパワーアップしました。
 今年はいろいろと成し遂げた反面、悲しいできごとも。親愛なる音楽仲間のふたりに急なお別れをしなければならなかったので、非常に辛かったです。


2015年に衝撃を受けた音源リスト

アルバム
1. St. Germain: Real Blues (Warner / Parlophone)
2. Khalife Schumacher Tristano: Afrodiziac (MPS)
3. Floating Points: Elaenia (Pluto/ Beat Rec.)
4. Cantoma: Cantoma LP (Music For Dreams)
5. Cantoma: Out Of Town LP (Leng)
6. V.A. / OOH, I LOVE IT! -SOULFUL SOUNDS OF SALSOUL- (Octave Lab)
7. V.A. / BOOGIE'S GONNA GET YA -DISCO BOOGIE DELIGHTS OF SALSOUL- (Octave Lab)
8. V.A. / YOU ARE THE STAR -SOULFUL SOUNDS OF WEST END- (Octave Lab)
9. V.A. / KEEP ON DANCIN' -DISCO BOOGIE DELIGHTS OF WEST END- (Octave Lab)

楽曲/シングル
1. Jose Padilla: Lollipop (Dream 2 Science Remix) (International Feel)
2. Henry Wu: Good Morning Peckham EP (Rhythm Section International)
3. Lucas Arruda: Melt The Night Feat. Leon Ware (Favourite Recordings)
4. Tokyo Black Star: Edo Express EP (World Famous)
5. Max Essa: Keep On Truckin' (Palms & Charms)