1995年にDJ活動を開始。1999年に体験したTheo ParrishのDJに大きな影響を受ける。2004年に2枚組のミックスCD『Everything Was Beautiful, Nothing Hurt』でデビュー。以降も多数のDJミックス、リミックス、リエディット、カバーを発表。ハウス、ディスコ、ソウルなどを中心にミックス。音源群の一部を https://soundcloud.com/djpeechboy にて公開中。
ーーpeechboyさんのDJとしての経歴を教えてください。
出身は東京。DJを始めたのは1995年です。18歳のときなのでもう20年ちょっと経ちますね。もともと音楽が詳しいというわけではなかったのですが、とにかく普通にテレビなどで耳にするような音楽では物足りないというか、音楽で自分自身が忘我の境地になるような、頭を吹っ飛ばしてくれるような音楽が欲しいという想いが高校生ぐらいの頃からありました。それでCDショップとかに行って、Public Enemyなどのヒップホップを買ったり、兄貴から電気グルーヴを教えてもらって聴いたりしていました。電気グルーヴからテクノに入ったという感じです。
ーー最初にプレイしたクラブは覚えていますか?
最初にプレイしたのはクラブではありませんでした。僕は慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパスに通っていたのですが、そこには学生ラウンジがありました。そこにスピーカーや機材を持ち込んでDJをしていました。初めてDJしたのも大学のなかでのパーティーです。そこから内輪ですがお店を借りてパーティーをするようになりました。
ーーDJをやり始めたのころは、アナログレコードを使っていましたか?
もちろんです。当時はまだCDJが普及していなかったので。
ーーDJで使っていたメディアでの遍歴を教えてください。
アナログレコードは今でも買っていますが、今はアナログレコードからPCに取り込んでデータ化し、USBに入れて現場に持っていっています。データでも楽曲を買います。本格的にデータを使ってプレイするようになったのは3年ぐらい前からと、わりと最近ですね。
ーーアナログレコードからデータに移行したとき、抵抗はありませんでしたか?
最初は慣れないところもあったのですが、以外としっくりくるというか。CDJもターンテーブルと違わないですし、あまり抵抗はありませんでした。
ーーデータに移行して、プレイスタイルは変わりましたか?
たとえば、「あ、もうすぐキックがなくなってブレイクに入るな」、とか、もう可視化されているので、わりと見計らったプレイというのはできるようになりました。アナログレコードだと残り何秒とか、溝を見ても正確にわかるものでもないので。きっちりここでブレイクになるとか、というのは聴いて覚えておけばいい話なのですが、実際に何時間もプレイしていたらタイミングを間違えたりすることもあります。ただ、可視化されているとそういう間違えもないので、とても便利だと思っています。
ーーDJM-900NXS2、CDJ-2000NXS2それぞれの印象を教えてください。
いずれも、ぱっと見では、前世代の機種(DJミキサー:DJM-900NXS、CDJ:CDJ-2000NXS)と同じように見えましたが、実際にはさまざまな面で改善・進化がされていることに気付かされました。たとえばDJミキサーは、PCを使ったDJ用に、USBポートが2口用意されていたり、外付けのエフェクター用のセクションが独立していたりと、今のDJの現場のニーズに合わせています。(画像参照)
ーー音質はいかがでしたか?
どちらも申し分のない音質だと思います。DJミキサーの方ですが、Pioneer DJ製のこれまでのDJミキサーでは、別々の曲をミックスしたときに、それぞれの音があまり“混ざりあう”ことなくずっと残っている感じがする傾向がありました。私は曲をミックスすることが多いタイプのDJなので、その点にあまり“気持ち良さ”を感じられず、少々物足りなさを感じていました。でも、今回はそれが大幅に変わって、随分“混ざりあう”ような音の出方になっていて、とても気に入っています。関係者の方から、DJM-900NXS2では、機材の内部の基盤自体を設計しなおしたと聞きまして、「なるほど~」と納得しました。
ーーCDJ-2000NXS2はいかがですか?
CDJは前世代(CDJ-2000NXS)の時点でそうでしたが、[MASTER TEMPO](曲のピッチを変えても音階が変わらないようにする機能)をONにしてピッチを思い切り下げても、ほとんど音が劣化しません。このような“リアルタイムで楽曲を再生しつつ、音のデータを劣化させずにピッチの変化に対応させる処理”をどのようにしているのか、個人的にとても気になっています。
ーー今、現場に求められる性能は何だと思いますか?
機材は音が鳴っている“場”を作る一要素に過ぎないので、そういった観点でいえば、これまでもこれからも、その“場”にいる人の多くを満足させられる普遍的な性能要件というのは多分ないでしょう。ただし、プレイヤー(DJ)の視点では“汎用性が高い”、つまり、それぞれのDJのパフォーマンスを引き出す・発揮させやすくする、というのは、重要な性能だと思います。その観点でいうとDJM-900nxs2は、
(1)現時点で考えられる大体のDJ用インターフェースに対応している。
(2)以前の機種からありますが、さまざまなスタイルのDJに合わせ、各チャンネルの縦フェーダーの音量の増え方を[CH FADER]スイッチで選択できたり、クロスフェーダー(横フェーダー)の音の切り替わり方を[CROSS FADER]スイッチで選択できる。
といったような点で、非常に汎用性が高い機種だと思います。(画像参照)
CDJ-2000nxs2の方についてですが、前世代に引き続き、USB接続の機器(USBメモリなど)で音源を再生中に、うっかり機器が外れてしまったり、何かしらの原因で再生不可となったりした場合、直前の小節をループさせる、EMERGENCY LOOP機能が搭載されています。私はCDJ-2000NXSを操作中、USBメモリを誤って抜いてしまったときに偶然この機能があるのを知り、そのときは本当にびっくりしました。
工業製品の性能指標として、フェイルセーフ(操作に失敗しても、致命的な事態にならないようにする作りになっていること)というものがあるのですが、いろんなことが起こりうる現場で使うDJ機材なのに、意外とこの性能を満たす工夫をしているものは少ないですよね。(たとえばターンテーブルの場合、針を上げてしまえばそこで完全に音は止まってしまいます)
ーーデモプレイはNXS2のどの性能を重点に紹介したかったですか?
DJM-900NXS2のFX FREQUENCYですね。私自身が元々昔からDJMシリーズのエフェクターを多様していたので、エフェクトがかかる音域を指定できるこの機能は、是非とも紹介したかったです。この機能が実装されて、個人的には本当に感動したので。
DJ機材の持つポテンシャルをフルに、そして毎日体験できているのが、店舗のPAだ。そこでNXS2シリーズを導入している店舗のエンジニア/PAに取材。日々、フロアの音質をチェックする音の番人であり、音のプロフェッショナルは本機をどう感じているのか?
普段から利用しているPioneer DJ製品ですが、NXS2シリーズはPioneer DJがとくに力を入れていた製品だったので導入を検討しました。WOMBでは、なるべくフラットな音が出せるように心がけて音作りをしています。ただ、ジャンルによっては、音の特性を考慮し作ることも。たとえば、低音を持ち上げ高音を下げる波形をイメージしたりもしています。DJM-900NXSと比べて、とくに低音の出方が大きく変わった印象です。柔らかくなっていると感じています。
NXS2シリーズは、ageHaというビッグスペースに対応できる数少ない機材です。NXS2を検証とするため、アナログ音源をアナログミックスして制作された曲をwavとmp3で用意し、同時再生で聞き比べたところ音質の違いを感じる事ができました。また、今まで以上に音源を忠実に再現しています。これまでの高音の耳障りな部分が無くなり、クリアで優しく包まれるような印象です。ageHaのシステムも現代の音楽に対応できるように新しくしたばかりなので相性がいいと感じています。
SankeysTYOは、デジタルのサウンドシステムを導入しています。DJが使用する機材も高音質なデジタル機器の導入を必要と検討し、DJM-900NXS2とCDJ-2000NXS2を選びました。DJM-900NXS2のサウンドは前機に比べ、より丸みのある音で表現力の幅が広くなった印象があります。CDJ-2000NXS2も使用したアーティストの方々から、より忠実に音が再現されていると感想を頂きました。両機はお客様に長い時間楽しんでいただける空間づくりに重要な役割を果たしてくれるものだと思います。