ーーまず、よく使うエフェクトをBEAT FXのなかから教えてください。
よく使うエフェクトはDELAY、SPIRAL、REVERB、そして新しく追加されたVINYL BRAKE、HELIXです。とくにVINYL BRAKEとHELIXは、DOMMUNEのときもよく使っていました。エフェクティブな効果をもたらせてくれると思います。
ーーそれぞれ、どのように使いますか?
DELAYはいろいろな使い方があると思うのですが、わたしはスネアの音を連続して鳴らしたりして、2枚掛けでプレイしているかのように使っています。
SPIRALは、展開をつけて盛り上げたいときによく使っています。エフェクトのECHOにも似ていますが、SPIRALは音が反響しながら、だんだん音程が上がっていきます。ECHOの場合、音程は変わりません。
REVERBはキックがよく鳴っているような音やメリハリがついている音とかにかけると効果的です。わたし的なタイミングとしては同じ音が続いて展開が少ないときに、少しアクセントをつけるためよく使います。
VINYL BRAKEは、アナログレコードの回転を止めたときのようになります。使うタイミングは、ずっとビートが鳴っていてブレイクに切り替わるときなどの新しい展開になる直前にかけたりします。そこから急に新たな展開になったりすると、効果があると思い使っています。
HELIXは、ROLLとPITCHとECHOが混ざったようなエフェクトですね。VINYL BRAKEと同じで、展開が変わる直前にかけたりしますね。
ーーこれらのエフェクトを新しい機能FX FREQUENCYと併用して使われたりもするんですよね。
FX FREQUENCYは、それぞれのエフェクトをかける時にLOW(低音域)、MID(中音域)、HI(高音域)、どの音域にエフェクトをかけるかを切り替えることができる新しい機能です。たとえば、FX FREQUENCYをフラットの状態にしてECHOをかけると、全音域にかかってしまうので、すごくごちゃごちゃしてしまいます。たとえばFX FREQUENCYをMIDに設定し、ECHOをかけます。そうすると、LOWとHIはエフェクトがかかっていない状態なので、先ほどと同じぐらいエフェクトをかけてもごちゃごちゃせずに、中音域にのみにエフェクトがかかっている状態にできます。どの音域にかけるかのかを選べるというところはすごく画期的ですよね。従来のエフェクターにもありましたが、DJMに搭載されているという点で使い勝手がすごくいいですね。
ーーFX FREQUENCYでDJプレイは変わりましたか?
プレイの幅が広がりましたね。ECHOかけようとしても“どうせ崩れちゃうからあまり好かじゃない”という人は結構いたと思います。この問題を解決したのは、すごい売りだと思います。
ーーPioneer DJのミキサーの特徴のひとつ、SOUND COLOR FXはどのように使っていますか?
まず、SOUND COLOR FXの説明からすると、左中央にSPACE、DUB ECHO、SWEEP、NOISE、CRUSH、FILTERと6つのボタンがあります。エフェクトを選びチャンネルの中央にあるノブを回すとかかります。12時の方向が何もかかっていない状態。つまみをいじることによってかかり具合を調節することができる、というような機能です。
FILTERをSOUND COLOR FXでかけると、右側に回すと高音域だけ出るハイパスフィルター。左に回すと低音域だけ出るロウパスフィルター。真ん中にするとなにもかからない状態になります。単独でかけることももちろんできますが、筐体右にあるエフェクターと複合させて使ったりもしますね。たとえばREVERBをかけながら、SOUND COLOR FXのFILTERで高音域の部分だけ鳴らしたり、低音域の部分だけ鳴らしたりとか。いろいろ組み合わせることができるので。
ーー新しく追加されたPARAMETERは、どの様に使われていますか?
たとえばFILTERをかけてみます。PARAMETERのノブを12時の方向にしておくと何もかかっていない状態、つまりレゾナンスがかかっていない状態というなのですが、PARAMETERのノブを左右に変化させると、FILTERのかかり具合が変わったりします。PARAMETERをいろいろいじることによって面白いことができます。たとえば、SOUND COLOR FXのNOISEですが、COLORノブを右に回すと高い音のノイズが出ます。これは、別に音源とかを出しているわけではなく、エフェクト自体の音です。左に回すと低い音にノイズがかかるようになります。これにPARAMETERを組み合わせるとスクラッチしているような感じでエフェクトをかけたりすることができます。先ほどのFILTERではレゾナンスのかかり具合の調節になっていましたけれども、NOISEの場合だと、ノイズの音量の役割を担います。左から右に回すことによって徐々に音が上がってきます。
ーーpeechboyさんがよく使う、エフェクターの組み合わせを教えてください。
わたしは、BEAT FXはREVERB、SOUND COLOR FXはFILTERをハイパスにして同時にかけます。こうすることによって、より空間的な音になったりします。
ーーほかにはありますか?
VINYL BRAKEをFX FREQUENCYがフラット状態、全音域にかかっている状態でかけてみると、完全に音が止まった状態になりますよね。戻すとちょっとずつ音が出てくるのですが。そこで、高音域にかかっていない状態でかけてみるとどうなるかと言いますと、低音域と中音域はエフェクトがかかって音が止まっていますけれども、高音域、ハイハットのような音とかはそのまま鳴っている状態になります。同じように、FX FREQUENCYでLOWを切って、HIとMIDだけ残してみると中音域と高音域は音が止まって低音域、バスドラムやベースというような部分だけ鳴るようなかたちになります。
ーーDJM-900NXS2はプレイの幅をどのように広げてくれますか?
基本的なDJミキサーの役割って、曲をつないだりとか混ぜるとか、それはどのミキサーでもあると思うのですが、それに加えこのFX FREQUENCYによってエフェクトの幅を広げたりとか、基本的な機能だけでなくプレイの幅自体をどんどん広げてくれるところですね。エフェクトの種類があればいろいろ表現面での幅は当然広がりますよ。そういう部分で、ほかの機種や、他社の製品より汎用性が高くなる。どんなタイプのDJにも使用できる。ヒップホップの人はクロスフェーダーのかかり具合を切り替えられるようなタイプとかが好きでしょうし、ロングミックスが好きな人だったら縦フェーダーのミキシングするときのカーブを変えられるとか。混ざり方も前よりすごくいいですね。以前は、混ざった時にそれぞれ分離して聴こえるような感じだったのですが、それがウーレイなどといったロータリーミキサー系のフェーダーみたいな感じで、混ざりがよくなった印象です。そういった基本的な機能の部分でも、いろいろ選択できます。あと、外付けのエフェクターを連動させることによって自前で持ってきてプレイすることもできますし。ミキサー自体に、USBのポートが付いていますので、ここにPCを直接繋いでプレイできたりとか。インタフェースもどんどん増えているし、どういうタイプのプレイスタイルにしても、大抵のものに対応できる、やはりそこが魅力じゃないでしょうか。
主な特徴
各入力チャンネルとマスター出力にCLIPインジケーターを搭載。これによりミキサー内部でのデジタルクリップの状態 が一目でわかり、ミキシング時に適正な音量コントロールが行える。また、インジケーターのメモリが3dBずつに刻んだことで、ビートの動きをダイナミックに表現する。
Cチャンネルフェーダーのカーブを刷新。左からPAミックス、ロングミックス、クイックミックスの3つの種類のカーブを選択することができ、好みのミキシングが可能になった。
指で触れるだけでエフェクトのオンオフや拍の選択、パラメーターを変化させることができる「X-PAD」が大型化された。これにより、いままで以上に思い通りのパフォーマンスが実現できる。
エフェクト効果を細かく調整できる「PARAMETER」ノブが追加。そのことで、アレンジの幅が広がった。また「SOUND COLOR FX」ノブを大きくしたことで、操作性が向上している。
エフェクトをかける周波数帯域を選択できる3バンドの「FX FREQUENCY」が搭載。これによりボーカルだけにエコーをかけるたり、ハイハットのリズムをDELAYやROLLを使って倍にすることが可能になった。また、FX チャンネル選択インジケーター」を搭載し、どのチャンネルにエフェクトがアサインされているか一目で分かる。エフェクトの種類も増加。新たに「PING PONG」「VINYL BRAKE」「HELIX」「PITCH」の4つのBEAT FXが追加された。
従来「BEAT FX」セクションに入っていた「SEND/RETURN」セクションが独立。このことにより本機内蔵の「BEAT FX」と外部エフェクターを同時に使用できるようになった。また、新たにデジタルセンドリターンに対応したことにより、「RMX-1000 for iPad」などinter-App Audio対応の iOSデバイス上のエフェクターアプリを用いたアレンジがUSBケーブル1本の接続で音質劣化なく実現できる。さらに、原音とセンドリターンエフェクト音を完全に入れ替える「INSERT」タイプのルーティングに加え、エフェクト音を別チャンネルに戻す「AUX」タイプのルーティングも可能となった。