「お金をもらってDJという職業をやらせてもらっていて、人前で最低でもつまらないことはできない。100%面白いかどうかは一旦置いておいても、少なくともいる人が全員が面白いと思える空間を作れないとプロとしては失格だと思っています。それだけです。」と答えるDJ HAZIMEを形成した音楽とはなんだったのか?DJ HAZIMEのSOUNDTRACK OF LIFEを聞いた。
Interview & Text : yanma (clubberia)
Photo : 難波里美 (clubberia)
SOUNDTRACK OF LIFE #01 Soul II Soul - Keep On Movin'
DJ HAZIME:
エピソードって言うよりは、1番最初にブラックミュージックみたいなものを聴いて、クールでこんなにかっこいい音楽があるんだって思って、どっぷりこの手の音楽にのめり込むきっかけになったのがこのアルバムなんです。「Keep On Movin'」はファーストシングルだし、彼らのもっとも有名な曲じゃないかと思います。
- 音楽好きな従兄弟の影響はあったものの、聴く音楽は今で言うJ POPやロック。当時は、サッカー少年であったり、渋谷センター街のゲームセンターで遊んでいたと語るDJ HAZIME。少しませてはいるが、いわゆる中学生らしい少年だった彼の人生を大きく変えたのは、Soul II Soulのファーストアルバム「Keep on Movin」だった。収録曲全部が好きだと答えるDJ HAZIME。そうとうこのアルバムを聴き込んだのが伺える。自宅が渋谷の中心から近かったということもあり、新しい音楽やファッション、さまざまなカルチャーに触れられる恵まれた環境の中、より貪欲に音楽へと傾倒していくこととなる。
SOUNDTRACK OF LIFE #02 The Notorious B.I.G. - Big Poppa
DJ HAZIME:
ヒップホップとかブラックミュージックにハマったHAZIME少年は、ニューヨークに行きたくなって(笑)。とりあえず94年に何のあても無く友達と2人でアメリカ行ってみない?ったんです。本当にただのノリっすよ(笑)。で、LAから入ってニューヨークまで電車で横断みたいなことをやったんですよ。
それから、ニューヨークに何回も行くようになり、Biggieのファーストが出た時に、ちょうどニューヨークに長期で滞在してたんです。その時に俺が泊まってた所の管理人が「お前ヒップホップ好きなんだろ。今裏でBiggieの撮影やってるぞ」って教えてくれたんです。行ってみたら本当にいて。すげえ、ニューヨークって最高だなって思わせてくれたですよ。その時、撮影していたのがこのアルバム「Ready To Die」の13曲目の「Big Poppa」のMVだったんですよ。その後Biggieは死んじゃったんで二度と会えないんですけど、俺はニューヨークでBiggieを見たぜっていうのが自慢なんです(笑)。
最初にSoul 2 Soulを挙げたんですけど、当時De La Soulのアルバムも同じくらいの衝撃だっので迷いました。ヒップホップなんてあまり考えてなかったけど、面白い音楽って感じで聴いてはいて。そしたら92年がちょうど、やれDJ Premierだ!Pete Rockだ!って黄金世代みたいに言われる年だったんで、その時はがっつりヒップホップ聴いてましたね。たまたま1枚目がイギリスのSoul 2 Soulだっただけで、基本的にはニューヨークのヒップホップにハマっていったんです。
SOUNDTRACK OF LIFE #03 NITRO MICROPHONE UNDERGROUND - Nitro Microphone Underground
DJ HAZIME:
2000年のシドニーオリンピック開幕前にちょうどアルバムが完成したんです。発売はされてなかったんですけどアルバム自体は完成してて。
それで、シドニーオリンピックのサッカー日本代表の試合だけを追いかけてオーストラリアに行ったんです。サッカーの試合はシドニーでやらなかったので、友達とキャンピングカーを借りてひたすらサッカーに合わせて追いかけるっていう旅をやっていて、その時にずっとかけてたのがこれだったっていう。まさにサウンドトラックですよ。
- DJ HAZIMEの音楽活動の中において、「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」のリリースは、1つの転換だったことに間違いない。そして、その中心人物であるDABOとの出会いも大きい。90年代、日本もDJブームが起こったが、実際はシーンとしてまだまだ小さいもので、まだヒップホップ好きはゴロゴロとはいなかったようだ。だから、ヒップホップが好きなもの同士はすぐに打ち解けあいうことができ、DABOとも共通の友人を介して知り合い、知らない間に仲良くなっていたとDJ HAZIMEは当時を振り返る。
下の世代からみると、当時盛り上がっているように見えるシーンの実態は小さく、実際はまだまだサブカル的な要素が強かったそうだ。それがまた魅力なのかもしれないが、逆に今は月日が経ち成熟したシーンができたといえるのではないだろうか。成熟期を迎えたものはどこへ向かうのか?いち音楽ファンとしては、今後クラブ/ダンスミュージックがどこへ向かうのかは楽しみなところである。
そして、成熟した現代2015年から遡ること14年、DJ HAZIMEのSOUNDTRACK OF LIFEは完結することとなる。
SOUNDTRACK OF LIFE #04 JAY-Z - Izzo
ニトロがアルバムをリリースした翌年、2001年9月11日に出たのがJAY-ZのBlueprint。ニトロのプロジェクトでDef Jam Japanにお世話になったんですが、当時、Def Jam JapanはUniversalの傘下だったので、Universalの制作の人たちにも良くしてもらっていて、JAY-ZのレーベルのオフィシャルミックスCDのオファーをもらったんです。オフィシャルミックスCDを初めてやらせてもらったのがその企画で、さらに上昇気流に乗るきっかけになりました。