レコードは一過性のブームではなくなり

　世間的にはEDMの認知が一気に進み、大型フェスの開催や国内メジャーでも専門レーベルが新設されるなどの話題を振りまいていましたが、幸か不幸か当社ではその波に飲み込まれることはありませんでした。また数年前からアナログ・ブーム再燃といわれ、レコード・セールスの増加や新しいプレイヤーの発売などのニュースがさまざまなメディアでも取り上げられてきましたが、もはやブームという一時的な現象ではなく、次の段階に移行したような感覚を得られた一年でした。裾野は確実に広がっていますので、今後はそこから、いかに継続してレコードの魅力を伝えられるかが勝負になってきます。
　2015年は日本版レコードストア・デイとも言える「レコードの日」が始まり、国内リリースのタイトルも飛躍的に増えてきました。自分が制作に関わった『NHK yx Koyxen / JP EP』もタイミングを合わせて発売することができ、感慨深いイベントとなりました。もちろん名盤の復刻もすばらしいですが、まだあまり知られていない新進気鋭のアーティスト／レーベルによる作品も徐々に増えつつあるのは、ポジティブな傾向だと思います。
　レーベル／作品単位で2015年を振り返ってみると、テクノではNORTHERN ELECTRONICS、HYPNUSといったディープテクノ勢、LOBTER THEREMIN（とその周辺の膨大なレーベル）、BERCEUSE HEROIQUE、TRILOGY TAPESに代表されるロウ／インダストリアル・テクノ、ハウスではMOOD HUT、22Aといったレーベルの活躍が目立ちました。エレクトロニカ／エクスペリメンタルではPAN、チルアウト／アンビエント系はMUSIC FROM MEMORYが断トツの存在感でした。

Personal Best 5(順不同)
1.Acronym ‎– June
2.BLNDR ‎– Movement Strobe
3.Gigi Masin ‎– Wind
4.Smackos ‎– The Age Of Candy Candy
5.Visionist ‎– Safe