1983年生まれ。島根県出身。服飾の専門学校を卒業後、アパレル会社に入社するが音楽の仕事に携わりたくなり退社。そしてclubberiaに就職。現在は編集長を務める。
2016年6月23日に改正風営法が施行されました。これにより条件付きではありますが、午前5時までのクラブ営業が法的に許されることになりました。
わたしはクラベリアに勤めて2016年で10年になりますが「風営法」という言葉を意識するきっかけになったのは、2010年〜11年に行われた関西圏のクラブの一斉取締りでした。それから約5年、「クラブとクラブカルチャーを守る会」や「Lets’s DANCE」などの団体をはじめ、さまざまな方が活動を行ってくれたおかげで法律が変わりました。社会的マイノリティーな文化に行政が歩みよってくれたことはとても大きな出来事だと思います。5年前だったら考えられません。そして2016年6月22日、渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで行われた「改正風営法施行直前“PLAYCOOL”キャンペーン記者発表会」では、一般メディアも多く集まっていました。普段テレビで見る“クラブ”関連の情報は「ナイトクラブで傷害事件がありました」といったネガティブなことしかなかったので、ポジティブなニュースが報じられたこの日を忘れることはできません。
風営法が改正されて考えられるメリットはたくさんありますが、そのひとつとして、企業がクラブシーンに参入できること。その橋渡しとして期待しているのが12月に開催された「TOKYO DANCE MUSIC EVENT」(以下TDME)です。これはダンスミュージックにフォーカスしたカンファレンスとイベントで、今年日本で初めて開催されました。プロモーター、レーベル、メディア、アーティスト、メーカーなど、ダンスミュージックに携わるさまざまな立場の人が意見交換したり、講義したりする場です。今年が初開催ということもあってか、普段お付き合いがある関係者の数は、まだ少なかったように思いました。せっかくの場が活かしきれていないように見え、少しもったいなかった印象を持ちました。アナウンスは行き届いていたのか? カンファレンスやプログラムの内容はこれでよかったのか? などなど外から挙げだしたらキリがありませんが、今回のフィードバックをもとに来年、再来年と、より魅力的なイベントになっていくでしょう。
「TDME」期間中にクラブとクラブカルチャーを守る会が取り組んでいるマナー向上キャンペーン「PLAYCOOL」の一環でワークショップを渋谷で行っていました。Zeebraさんが直々にラップの基本を教えてくれたり、Satoshi TomiieさんとKo Kimuraさんがハウスミュージックの歴史を教えてくれたり、小室哲哉さんとASOBISYSTEMの社長中川悠介さんによる音楽ビジネスとトークセッションがあったり。てっきり「TDME」の一環で開催しているかと思いましたが違ったことを知り、やはりもったいないと思ってしまいました。一緒に取り組めばもっと多くの人に参加してもらえる、知ってもらえる可能性があったと思うからです。
「PLAYCOOL CAMP」という本取り組み。どのプログラムも非常に面白いものだったので、次回のスケジュールが発表されたら参加するつもりです。(次回は春頃だったかな)
まだまだ業界内でも連携が取れていない部分があると思います。メインストリームとアンダーグラウンドにまだまだ垣根があるように思いますが、それを積極的に超えてコミュニケーションをとっていく必要があると感じた1年でした。よりよい環境や文化を作るための土台は2016年6月23日にできたと思うので。