INTERVIEWS
>

GLOBAL ARK → GLOBAL ARK RECORDINGS、フェスティバルの誕生からレーベル発足までの道のりを辿る。

Interview & Text : Norihiko Kawai  


2022年に11年目の開催を終えた人気野外フェスティバル「GLOBAL ARK(以下GA)」が、2023年からの開催休止を発表したことは、clubberia読者ならご存知の方も多いと思う。

GAチームは、一貫して「僕らはプロのオーガナイザーではなく」、「D.I.Y精神」をモットーに長きに渡り活動を続けてきた生粋のアーティスト達なのだと表明している。その言葉からある種の確信的なオーガナイザーとしてのプライドと自信が見え隠れする彼らは、2023年から「GLOBAL ARK RECORDINGS」として音楽レーベルに生まれ変わることになった。

あの壮大なフェスを彷彿とさせるディープでアトモスフィアな世界観をレーベルとして表現していくという。ニューコンピレーションをリリースするというこのタイミングで、GAのコアメンバーにGAの誕生からレーベル発足に至る経緯など熱く語っていただいた。

 

ーーまずはGAの誕生について教えてください。確か2012年がスタートですよね。どのようなきっかけから、いつどのようなメンバーでスタートしましたか。


DJ MIKU:1991〜1992年ころまで遡るんだけど、当時クラブ系のテクノ箱ってあんまりなくて、
テクノ発祥のクラブの一つが“Club Razzle"というクラブで、僕はそこのレジデンツDJをやっていたんです。当時遊びにきていたRazzle
のメンバーから、そのパーティの雰囲気をいつか再現してほしい、という要望があって、それが最初のきっかけですね。

でも、どうせやるなら、箱ではなく野外がいいんじゃない?ということで2012年に山梨のさがざわキャンプ場で開催したのがGAの始まりです。
当初の主宰メンバーは"Club Razzle"のメンバーと自分、またレジデンツDJとして参加していたWOMBの“CYLONE”というパーティの若手クルーと数人のDJです。

90年代初期というのは、空前のスピリチュアルブームで、皆、まだ若かったし、マヤ暦の最後の年に当たる2012年に向けてさまざまな備えをしよう‥そして皆んなで覚醒しよう!みたいな感覚がずっとあったんです。今でこそ、多少青臭い話なんですが‥笑。
そして、いよいよ2012年を迎えるにあたって、覚悟というか、期待というか、想いみたいなものでパーティを開催することを決め、一つのストーリーができあがったんです。
「魂の5次元上昇に向かう旅。そして用意された舟こそ"GLOBAL ARK号"。現代のノアの方舟に共に乗船しよう!」というコンセプトでした、コッテコテですよね。
GAのビジュアルデザインには、"ノアの箱舟"が良く出てくるんです。今回リリースするコンピレーションのジャケットもそうなんです。

現在のGAは主宰メンバーも変わりコンセプトもだいぶ変わってきてはいるんだけど、「初心忘るべからず」といったところでしょうか。

Esan:僕と六弦詩人義家は翌年の2013年から参加しました。



2013年初期のGA

ーー元々GAはフェステイバル/オーガナイザーとしてのみの活動と考えていたのですか。

Esan:レイヴがやりたくて参加したので僕はそうですね。

DJ MIKU:"オーガナイザー"という感覚は今でも全くないですね。そんなことやったこともなかったし、DJやったり曲作ったりで精一杯ですから、主宰者としては素人みたいなもんです。
GAの場合は最初から、ライブハウスで開催されてる“バンド企画のイベント”と同じなんです。つまり、バンドが仲間のバンドを誘ってイベントをやることをバンド企画というのですが、それと同じです。例えるなら"The GLOBAL ARK"というバンドが、仲間や知り合いのDJやアーティストを誘って開催してるというだけのことです。そこに海外からのゲストが加わって楽しくやっている。
我々主宰者全員がDJかミュージシャンなので、専門にオーガナイザーをやっている方のように、いろいろと難しいことはできないんですね。

現在の主宰メンバーも、ただただ、楽しいパーティをやりたい!という想いだけだと感じています。

ーーメインオーガナイザーであるDJ MIKUさんといえば、80年代よりキャリアがスタートし、伝説のウェアハウスパーティ・Key-energyのレジデンツDJ、RAINBOW2000、そして海外ではUKのBIG CHILL等にも出演されてきていますが、日本のテクノシーンを築き上げてきた経験から、GAに還元されたものはありますか。

DJ MIKU:もちろん還元されているものは大きいです。その頃からの知り合いのサポートも大きいですし、いろいろな形でGAに還元されていると思います。
ただ、昔を懐かしむようなことはGAではやりたくないですね。個人的にも常に現在進行形じゃないと気が済まない性分で、常に今・現在の面白いこと、新しいことをやっています。

ーー MIKUさんのその長いキャリアから、シーン創世記〜現在のシーンでは、どのような違いを感じとられていますか。取り巻く環境や機材の発展、あげたらキリがないと思いますが、最も感じられていることがありましたら、具体的に教えてください。

DJ MIKU:一番の違いはDJを始めるハードルがだいぶ下がったことですかね。今は機材も簡単になって誰もが気軽にDJができるようになった事情もあって、DJの数が凄まじく増えましたよね。
そのため、イベントやパーティでは多数のDJがいて、一人あたりの持ち時間も短く、ちょっとかわいそうだなと思ってみています。やっぱり人前でプレイしないと上達する速度も遅くなりますから。

イベントやパーティ側も時間配分を考えて、もう少し長い時間を持たせてあげるようにすれば良いとは思うのですが…。ただ、主宰者側にも集客の問題は事実あるし、そこはうまく折り合いをつけてDJを育てるということも大事かなとは思います。
かたや、今はやる気さえあれば自らプロモーションできるさまざまなネットツールがあるので、セルフ・プロデュース、セルフ・プロモーションに長けた人が生き残っていくのではないかとも思います。


DJ MIKU

ーー確かにMIKUさん、DO SHOCK BOOZEさんなど、アーティスト・DJ活動がメインの方は中々、フェスのオーガナイズに専念することは大変ですよね。もちろん、アーティストだからこそ、うまくいったことも多いとは思いますが、ご自身もプレイして、アーティストやスタッフ、お客さんのケアもして、1年に一回とはいえ準備期間含め、かなり多忙だったと思います。 その辺りはいかがでしょう。

DJ MIKU:冒頭でも話したように、我々は専門のオーガナイザーでもないし、プロのイベンターでもないので、毎回手探りで開催準備をしていました。だから膨大な時間を費やすことになるんだけど。たった2泊3日のイベントなのに、準備に半年以上もかかるのは、経験不足が原因なのかもしれない。ただ、他のパーティでもイベント専門にやってる方でも同じような苦労はあると思っています。
特に電源も機材もテントもステージも何もない場所に巨大なクラブを作るわけですから、野外で開催するというのは本当に大変だと思います。
我々の場合は活動のメインがパーティ・オーガナイズではないから、本来は片手間にやらなくてはいけないんだけど、気が付くと毎日毎日‥両手いっぱいに準備の案件を抱えてるというね(苦笑)。

DO SHOCK BOOZE:ハードだし、会場探しまで含めると費やす時間もほぼ1年中ですからね。ただ、プロのオーガナイザーとして活動したい訳ではないので、全体的な効率化は進めていたと思います。
イベントオーガナイズという行為は「経験は絶対の真理」ともいえるし、そこから得られる「自己効力感」みたいな達成感、これはアーティストにとっても必要だと思っています。
自己効力感が低いと、諦めやすくなったり、テンション下がったり、ネガティブな感覚に陥りやすいですよね? だから、いろんな現場経験を積みながら、自己効力感を極限まで高めて音楽シーンを活性化していきたいと思っています。何事もチャレンジしたがる性分なんで(笑)。


DO SHOCK BOOZE

ーーGAのコンセプトについて、フェスを11年やってこられて、どのように変化していっているのでしょうか。

Esan:スタートからのコンセプトとしては、誰でも参加できる間口の広さってのがあって、そこはエントランスフィーを低く設定して、なんとか、やってきたと自負しています。マインドとしては変わらず持っているけど、時を経て難しくなってきた部分はあるけれどね。ロケーションやプロダクションは良い方向に変化してきたんじゃないかな。あと、時代と共にいろいろなパーティが登場して、自分達のやるべきことが、はっきりしてきたとは思います。

六弦詩人義家:少なくとも私がGAに初めて参加した2013年からも、そのコンセプトや基本的なスタンスは何ら変わっていないと思っています。ただ、その年の雰囲気 (時代の空気)や人々の感情をキャッチしながら自然と変化していった部分はあるかもしれません。
パーティとしての規模がどんなに大きくなろうとも常に挑戦者の如く挑む、攻めの姿勢は崩していませんね。

ーー幅広い層の日本人アーティストがブッキングされ、音楽の傾向もバランスのとれている印象でしたが、音楽的にはどのような方向性を表現されていたのでしょうか。

Esan:国内のブッキングに関しては、元々の繋がりが重要だったりもするので、特別な方向性を決めていた訳ではないです。ただ、ベテランから中堅が多いので、もっと広げていきたい気持ちは持っています。
海外のアーティストに関しては、MIKUさんとDO SHOCK BOOZEに任せています。彼らがプレイで使う曲の作者やレーベルから候補を出してもらい、そのDJ MIXを聴いて、感想を伝えたりしていました。

HIRO:ベテランから中堅の方々が多い為、色の濃い楽曲の表現はしやすいと感じています。それと同時に心理的安全性を担保した上で、刺激し合い、エネルギー溢れる新世代の創造力を発揮しやすい環境づくりも進めたいです。
これからレーベルのブランディングが確立していくにつれ、常に間口を広く保つことも忘れないようにしていきたいと思いますし、新規で新しい風も期待したいところです。
また、初心を忘れず謙虚な姿勢で、ジャンルレス、そしてある種ミーハーな気持ちをいつまでも大切にして、新たな音楽の価値を表現していきたいです。


GAのコアメンバー。左から、DO SHOCK BOOZE・ 六弦詩人義家・DJ MIKU・Esan・HIRO

ーー忘れもしないコロナ禍のGA開催にあたり、マスク問題で世間を騒がせましたが、当時のことで今だからいえることを教えてください。実際には参加者にマスクを着けてもらえるように出したアイデアが、逆の意味にとられ炎上したのが事実ですよね。正直、フェスができて良かった(コロナ前の生活に近づけて)と思うのが、健全な社会だと思いますが、世間はここぞとばかりに叩いてきた感がありましたよね。まだまだ、ダンスミュージックやフェスティバル=悪‥みたいな古いイメージが根強く残っているんだなあと。

DJ MIKU:「シン・ドレスコード:おしゃれマスク(不織布マスクNG)」という一文ですね。
当時、オリンピック〜フジロックと大きなイベントが続き、イベント自体を"けしからん"という勢力が多くて、GAはフジロックの一週間後だったので、もろにその煽りを受けてしまいました。
もちろん、ガイドラインに則っての開催だったし、文句をいわれる筋合いもなく、マスク着用率100%を目指していたので、このような施策を打ち出しました。


一箱600円くらいの使い捨て不織布マスクは、フィルターが20分くらいしか持たないことも分かっていたし、8月開催の炎天下でずっと不織布マスクを着用して踊るのは無理だと判断しました。

また、野外イベントで来場者が途中でマスクを外してしまうのは良く見かける光景でした。そこで、最初からクールマスクなど長時間着用しても大丈夫なものを推奨していました。
ところが開催直前に、「シン・ドレスコード:おしゃれマスク(不織布マスクNG)」の一文を削除しなさいと地元自治体が伝えてきたので、こちらの趣旨を説明し、"不織布マスク着用"というポーズをとるよりも、実際に感染リスクを低減させる方が重要なのではないですか? と話しましたが、自治体は世間やマスコミが不織布マスクといってるのだからダメだ!ということでした…。
しかし、こちらとしては炎天下の状況で長時間の着用、プラスチック製のマスクの熱中症リスク、何より感染者を出さないことが重要だったので、その一文は取り下けず、双方譲らぬまま開催しました。

そして、開催中に某スポーツ新聞が、揚げ足をとるような記事をネットニュースに掲載し、それが広がって炎上したという流れです。

また、別の新聞社からは「シン・ドレスコード:おしゃれマスク(不織布マスクNG)」とはどういう意味ですか? という電話取材を受けました。その問いに 、「このドレスコードは昨年に続いて2回目なんです。この文言を書いたのが3月で、その頃に『シン・エヴァンゲリオン劇場』が封切られ、そのパロディというか、ギャグというか、2回目なので"シン"なのです。」と答えたら、翌日の新聞には「不織布マスクNGはギャグだった」という見出しをつけられてしまい、ネットに拡散されました。

今となっては、当時、世の中がヒステリックなまでにイベント攻撃をしていたことへの反省もメディア上で見られますが、当時はめちゃくちゃでした。

これをなかなか公に説明する場がなかったので、今回はその場を設けていただき、ありがとうございます。



マスク問題に揺れた2021年

ーーちなみにGAで一番印象に残っているのは何年になりますか。また、今後の世代にフェスを通じてメッセージや意識の変革を促すような活動はあったのでしょうか。

DJ MIKU:2013年ですね。最初から最後まで大雨で…難民キャンプのようになってしまって‥。でも最後までやり切ったことで、ちょっとやそっとの天候もへっちゃらになりました。野外に雨はつきもの! それを想定して準備した方がいいですね。そして最後まであきらめるな!と。

Esan:僕は2020年、コロナ渦での開催です。世の中が混沌として多くのパーティが中止となっていましたが、幸いにもGAは開催しました。運営の問題もあったけれど、GAに参加して初めて本気で自分自身が遊びに行きたいと思えるものが実現できました。
意識の変革なんて大それたことは考えてないけど、GAにきてくれた人が少しでもいい気分になって週明けを迎えられたならば、やってきた意味はあると考えています。次世代という点では、子供世代がパーティシーンに登場しているので、将来的に彼らと一緒にやりたいですね。個人的にはそこが次のフェーズかなと考えています。

2020年菅沼キャンプ村

ーーさて、11年目を区切りにフェスティバルからレーベルへ移行した主な理由を教えてください。レーベルを始めたのは正式には今年ということでしょうか。

DO SHOCK BOOZE:一度は死にかけた野外フェスとしてのGAは、音楽というキーワードを軸に、変わらない意志を伝えるために「多様性」を表現する必要があったんです。レーベルをスタートしたのは正に今年、2023年です。
今回のコンピレーションは、GAと関係性の深いアーティストを中心にオファーをしていったのですが、有難いことに皆さんとても協力的で、日本を代表するKEN ISHIIさんやKAORU INOUEさん達も快く即答してくれ、背中を押してくれたのも記憶に新しいです。本当に感激しました。

ーーレーベル始動にあたり、MIKUさんは現在までにNewStage Records (NS-COM)、Blank Records、ElectricPunches、DO SHOCK BOOZEさんは、TOTEM TRAXXを運営されてきていますが、レーベル活動の面白みや難しさについて教えてください。

DJ MIKU:楽しいですよ。ジャンルに関係なく周りにいる面白いアーティストの作品をリリースしていたので、それが売れると、やったー!という感じでした。特に面白かったのはElectricPunches。自分のDJジャンルとはあまり関係ない歌モノのテクノポップのレーベルもやっていたんだけど、歌モノ故にちゃんとした作品にするには、アーティストのTD(トラックダウン)だと厳しくて、プロのエンジニアにお願いしてました。そしてそのスキルは個人的にも勉強になりましたし、渡部高士君にしてもROVO・Dub Squadの益子君にしても、シンセ・打ち込みの博士の野崎貴朗さんにしても、歌を乗せる前のトラックの時点でスゴイ音に仕立て上げるんです。このままインストのテクノトラックとして、ダンスフロアで爆音で聴かせたいなぁ、と何度も思ってました。

DO SHOCK BOOZE:レーベルとしてコンスタントに作品発表すること、そしてブランディングが重要だと思います。TOTEM TRAXXやGAは、元々同名のイベントを開催しているので比較的知られているのでやりやすい。あと、自分のスタイルに共鳴するような良質な作品に出会ったときの感動は何物にも代えがたいし、レーベルのディスコグラフィーはまさに唯一無二の宝箱って感じです。リリースに関しては、過程と結果も含めて、レーベルもアーティストもWIN-WINな関係にならないとダメだと思います。一方通行だと疲れちゃう。


GAのコンピレーション
「V.A / All Future's Parties 」に参加したアーティスト

ーーレーベル始動にあたり、お二人の追求されている音楽が近いところにあったということでしょうか。ベースとなっている音楽、影響を受けたアーティストやレーベルなどを通じた共通点はありますか。

DJ MIKU:一言でいうと普遍的なテクノやアンビエントを目指してるのかもしれないですね。
流行に関係なく“楽曲がいい”、とか。DO SHOCK BOOZEとの共通点はJames Holdenが好きな点ですかね(笑)。Border Communityが流行っていようがいまいが、いつの時代も一環して好きです。自分はNewWaveあがりのDJなので彼にはどこか共感があります。あとは今は亡きAndrew Weatherall。似たような音楽史を辿ってたので親しみがありますね。

DO SHOCK BOOZE:確かに共通点(笑)。MIKUさんが表現するSpacy Technoや体験してきたChill out/Ambient の世界には共感していますし、刺激を受けています。好きなアーティストはたくさんいますが、Kangding RayやSunju Hargun、Space Drum Meditationなどの音像、世界観は素晴らしいと思います。
ジャンル問わず、自分のカラー、スタイルを確立しているアーティストにはいつも刺激を受けています。HotflushのScubaやBatu、Maoh、ロシアのプロデューサー・Dawn Razorなんかもブレイクビーツとテクノの融合さ加減が素晴らしいと思います。あとは今でも僕の記憶から色褪せないのはNINE INCH NAILSとhide、Underworldです。

ーープレスリリースに野外イベントもレーベル運営においても「D.I.Y精神」をモットーにとありますが、これはどの辺りに表現されているのでしょうか。

Esan:DIYっていえば聞こえは良いけれど‥単に予算がないってことでもある(笑)。 以前からHPの制作はメンバーが担っているし、パーティの運営も自分達で回しているので、その辺りはDIYかな。其々がやれることをやる・知恵を出しあうって点でのDIY精神は持っていたいけれど、パーティの規模に比例させないと、それだけでは成り立たない部分があるのも事実。レーベルに関しては立ち上がったばかりですから、初心に戻って自分達でやれることをやるしかないからね、そおいう意味ではDIYなのかな。


HIRO:主体性を大事に自分でできることは自分でやるっていう理念的なところですかね。誰かに依頼される場合は、前提として制限があり、個々の表現が発揮しにくい。結果的にクリエイティブ思考を落としてしまいがちですよね。DAO(分散型自律組織)というか自律分散で個性を尊重したDIY精神の上で、カオスの中から生まれる“偶然のセッション”が、より良いゼロをイチを創造すると感じています。

ーーすでに何作かのリリースもありますが、レーベルのコンセプトについて教えてください。GAで起きたことからの影響が反映されたものなのでしょうか? それとも完全にフェスとは切り離して作られたものなんでしょうか。

DO SHOCK BOOZE:レーベルは多様性の重要さを訴える表現の一つだと私は考えています。GAはテクノ、ハウスを中心としたダンスパーティですが、パンクアティチュードとスピリットオブロックンロールが根底にあります。リリース作品はGAの音楽的側面を表した集大成であり、「未来を決して諦めないでほしい」というメッセージを込めています。

ーー今回、6/16に新しいコンピレーション『V.A / All Future's Parties』がリリースされますが、リリースに至った経緯やアーティスト選び、コンセプトについて教えてください。また、どの層のリスナーに向けたものでしょうか。

DJ MIKU:基本は今までGAに出演したDJ、アーティストと過去にやっていたレーベル・NS-COMのアーティスト。コンセプトは単純に"パーティーを続けよう!"ということですね。今年を含めGA本祭はしばらくやらないので、せめて音だけでも残せたら、という思いがあります。特にGAに遊びに来てくれていた皆さんには是非聴いてもらいたいです。

Beatportはこちら



ーー今回のグラフィックのコンセプトについても教えてください。また、 レーベルのビジュアル面でのディレクションは誰が行っているのでしょうか。

DO SHOCK BOOZE:主催メンバー陣のアイデアを元に、ビジュアルのディレクションは僕が中心に行っています。動画関連はHiroくんが担当してくれる予定です。

今回のコンピのアートワークは以前より繋がりがあるAVAのデザイナー・遠山瑞紀にお願いしました。また、これまで開催してきた野外フェスとしてのGAのフライヤーは、今は亡きタディさんがデザインしたものですが、それを活用・エディットしてアートワークに流用しています。夢の方舟に乗ってパーティに参加してくれた人たちには、これまでに見たこともないような理想の島にたどり着いてほしい、そんな思いを込めています。


コンピレーションのアートワーク

ーーコンピレーションを聴いて感じたのは、ベテラン・アーティストの安定感が強く残りました。僕の年齢のせいかもしれませんが、そのあたりも含め、今回のコンピレーションの流れはどの様にイメージされていたのですか。

DO SHOCK BOOZE:ありがとうございます! 一番拘ったのはやはり曲順ですね。これまでにGA本祭に出演していただいたベテランアーティストの方々を中心に次世代を担う新しいアーティストにも参加してもらって1つのストーリーを構築していくという狙いがありました。単純にアーティスト同士のコネクトも生まれますしね。そういった意味では今回、僕も「Beast Connection」という楽曲で参加しているのですが、予てより影響を受けてきたJ.A.K.A.M. (Juzu a.k.a. Moochy)からコラボの提案があり、バッチリなタイミングで実現できて良かったと思っています。

ーー現在までのリリース形式はデジタルが主流だと思いますが、今後はvinylでのリリース予定はいかがでしょうか。やはり、レコードの音圧でも聴かせてほしいファンはいると思います。

DJ MIKU:そうですね。vinylも出したいですね。商品としての存在感もあるし、レコードはやはり魅力です。しばらくvinylリリースに関わってないので、プレス工場やカッティングエンジニアの情報も改めて集めて、吟味した上でリリースしたいと思います。

ーー期待しています。また、HPに音楽レーベルに生まれ変わりますとありますが、今後はフェスやパーティは行わないのでしょうか? レーベルを運営するということは、リリースパーティだったり、どうしても必要性が出てくると思います。特に日本で休止されるなら、ぜひレーベルショーケースを海外でも行ってほしいなとは個人的には思います。

DJ MIKU:今年はDJや楽曲制作に専念したいのでGA本祭は暫くはお休みですね。レーベルショーケースは先月の『里山の音楽祭』で大変盛り上がったので、味をしめているところです(笑)。
ああいう形ならレーベル・パーティやリリース・パーティはやりたいです。海外でも久しぶりにやりたいです。ここ数年はGA本祭に体をとられていたので、今年来年はチャンスかなと。

DO SHOCK BOOZE:最近GAのホームページを少しリニューアルしたので是非チェックしてみてください。GAの海外での活動に関しては今のところ考えていませんね。僕らくらいは国内にフォーカスしてもいいと思うし、この日本の大自然、地域と結びついて休みながらでも継続していくことにプライオリティを感じています。
僕のホームであるTOTEM TRAXXでは、海外にも目を向けてアグレッシブにアプローチしていきたいですが、GAではまだレーベルもスタートしたばかりだし、やらなければならないことが盛り沢山です。


リラックスした雰囲気もGAの魅力・2020年菅沼キャンプ村

ーー最後に今後のスケジュールや目標を教えてください。

DJ MIKU:DJに関しては以前のようにガンガンやるような感じではないけど、一つ一つのプレイの精度をあげて引き続きやっていきます。スケジュールはここからチェックしてみて下さい。

DJ MIKUスケジュールはこちら

DO SHOCK BOOZE
最近はチルアウトやトライバルも含め“現代テクノ音楽”の構築に興味があるので形にしていきたいです。そして、出演したことない野外フェスティバルには貪欲に出かけたり、機会があればプレイできたらいいなと思います。しばらくは自分のアーティスト活動に集中します。

DO SHOCK BOOZE公式サイトはこちら


Esan:野外のシーズン中は月一ペースで仲間のパーティに携わっていく予定です。
個人的な目標としてはバンド活動を再開してGAからリリースしてもらうことかな (笑)。

六弦詩人義家:自身のユニットECSTASY TWINSの作品をこれから更にリリースしていきたいですし、それを引っ提げて全国津々浦々を巡りたいですね。
個人的な活動にはなりますが、今年後半は地元の下北沢で幾つか公演のプロデュースを予定しています。
こちらもGAで培ったオーガナイザーとしての経験値をフルに活かしていきたいです。

HIRO:母体となるGAのシナジーを高めていけるよう屋内外、都心&地方のパーティシーンに携わり、ご縁を結つつ、またオンライン上でも認知を広げるような活動でシェアを広げGAのファンを創出したいですね。


Official Site
https://global-ark.net/

Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100069263321547

Soundcloud
https://soundcloud.com/global-ark-recordings


■Release Information


「V.A / All Future's Parties 」/ GLOBAL ARK RECORDINGS

GLOBAL ARKと関係性の深いアーティストを中心にゲストアーティストも参加する豪華コンピレーションアルバム<All Future's Parties>が、2023年6月16日に全世界同時配信・ストリーミングにてリリースされます。

 

【TRACKLIST】
1.Kaoru Inoue - La Isla Secreta
2.Dj Yogurt & Moja - Synth Hi
3.J.A.K.A.M. & DO SHOCK BOOZE - Beast Connection
4.DJ MIKU - Panorama
5.Sancho Meiso Chaya - Quadop
6.KEN ISHII - Magnetic Field
7.GO HIYAMA - Creace
8.DJ M.A.X - 1984 U1
9.DJ MARIA. - Bloom
10.Katie Se7en - Tribe Of The Hidden Cliff 
11.COZY-D - LOTUS DUB (acid - Dub Version 1)
12.ECSTASY TWINS - Kochō no yume (The Dream of a Butterfly)


購入はこちらから
https://www.beatport.com/release/all-futures-parties/4126931

 

<コンピレーションタイトルについて>

「未来のパーティーには何を着ていけばいい?」

Global Arkのストーリーとしては、不織布マスク事件からの不本意な炎上、テレビ放映、ファンの温かいサポート、パーティ本体はもちろん、マスコミや役場との場外乱闘もスリリングでドラマチックであったといえる。
正規の手続きを踏んで開催されたGLOBAL ARK 2021。しかし当日は"こんなコロナの時期にイベント開催はけしからん!"という空気を作っていたマスコミなどから、揚げ足を取られる形で叩かれ、その流れで日本国中から誹謗中傷の矢を受け、瀕死の状態となってしまった2021年。そんな渦中の中、開催されたのがGLOBAL ARK 2022であった。パーティ自体は成功を収め、やり遂げた達成感はあったものの、逆風の中での開催は想像を絶する苦難の道であった。
しかし、ここで死ぬ訳にはいかなかった。
そして2023年、その強い意志は形を変えGLOBAL ARK RECORDINGSへと受け継がれた。テクノ、ハウスを中心としたダンスパーティでありながらもパンク アティチュードとスピリットオブロックンロールが根底にあるGLOBAL ARKフィロソフィー。このコンピレーションアルバムはGLOBAL ARKの音楽的側面を表した集大成であり、"未来を決して諦めないで欲しい"というメッセージを込めたアルバムでもある。