クラブ/ダンスミュージックシーンの行方を探るひとつの指標。もっとも注目を集めた2015年のニュースとは?

 2015年、クラベリアでは742本ものニュース記事を公開した。興味をひく内容はもちろん、昨今のブームや時代の流れに沿った記事に高い注目が集まっている。人気アーティストやフェスティバルに関するもの、さらに、ガジェット、映画、書籍といったライフスタイルにまつわる記事がランクインしているのも興味深い。
 現在、読者が何に興味や関心を抱いているのか、クラブ/ダンスミュージックの流れがどのように移り変わっているのか、このランキングの傾向が、これからのシーンを読み解くひとつの鍵になるだろう。

(※各ニュースのページビュー数/SNSの反響数を基に算出)

Text: Ryosuke Kimura (clubberia)

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David Morales, Louie Vega, Tony Humphriesが一堂に会す夢のセッションパーティー「KINGS OF HOUSE NYC」が日本初上陸

マイアミのWMC(ウィンター・ミュージック・カンファレンス)でスタートした「KINGS OF HOUSE NYC」が日本初上陸。デイビッド・モラレス、ルイ・ヴェガ、トニー・ハンフリーズという、ハウス・ミュージック界のレジェンド3人が揃うとなれば注目せざるを得ないだろう。近年、再びハウス・ミュージックが世界的に盛り上がっていることもひとつの要因かもしれない。

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AVICII来日公演決定! 10月に富士急、舞洲での3公演

「ULTRA MUSIC FESTIVAL」「Electric Zoo」「SENSATION」といった海外のビッグフェスティバルが開催されるなど、国内のEDM人気は留まることを知らない。そんなEDMシーンで高い人気を誇るアヴィーチーの来日ニュースは、2013年、2014年の来日がキャンセルだったため、とくに注目が集まった。しかし、2015年もキャンセルに…。はたして、今年の来日発表は!?

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表参道に新しいクラブ”ARC”が誕生! 4日間にわたるオープニングパーティーにLUKE SOLOMON、THE KNOCKSらが出演

クラブ閉店のニュースが相次ぐなか、「ARC」がオープンするというニュースは日本のクラブシーンにとって希望の光だった。視覚を刺激するLEDライトを搭載したDJブースや白を基調とした店内が、今までのクラブとは一線を画す空間を演出。また、サウンドシステムにはVOID acousticsを導入するなど、先鋭的でスタイリッシュなクラブが東京に誕生した。

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EDMフェス「Electric Zoo」が5月に幕張ビーチにて開催

ニューヨークで生まれたEDMフェスティバル「Electric Zoo」の日本初開催からも国内のEDM人気がうかがえる。2009年から行われている本イベントは、2010年から4年連続で「International Dance Music Awards」のBest Music Event賞を獲得しており、世界的にも注目度の高いフェスティバル。ビーチ開催だったこともファンにとっては嬉しいニュースだったはずだ。

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ベルギービールと音楽のコラボフェス「GRATEFUL BEER LIVE FESTIVAL 15」開催! 石野卓球やKEN ISHIIら出演

近年、食にスポットを当てるなどライフスタイルにまつわるフェスティバルやイベントも盛んに行われている。そのなかで、ベルギービールと音楽を融合させた「GRATEFUL BEER LIVE FESTIVAL 15」にも注目が集まった。希少価値の高い樽生など35種類のベルギービールを楽しみながら、石野卓球やKEN ISHIIといったテクノDJのプレイを聴くのは珍しい体験だった。

15

首相官邸前で沖野修也がDJ! 「官邸前DISCO」が開催

昨年、首相官邸前では「原発再稼働」「安保法制」に対する抗議活動が盛んに行われていた。そんななか“音楽のチカラを拝借してポジティブなオーラを官邸前に注ぎ込もう”という思いから、「官邸前DISCO」というユニークなイベントが開催された。沖野修也がDJを務め、“世界平和を願い踊る”多くの人が集まり、デモ活動をポジティブに考えるための機会を与えてくれた。

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宇川直宏、高橋 透、MOODMANによる「GODFATHER」が京都で復活!

1998年から開催され、伝説となったエクスペリメンタル・パーティ「GODFATHER」の5年ぶりの復活は多くの反響を呼んだ。京都のアンダーグラウンドパーティ「RELATIONGROOVE」の10周年を祝うための復活祭でもあり、オーガナイザーを務める宇川直宏、レジデントDJの高橋透やMOODMANをはじめ、SINKICHIやKAZUMAらにも注目が集まった。

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書籍「世界のレイヴの歩き方」が発売

世界中のレイヴにまつわることをまとめた書籍『世界のレイヴの歩き方』(DU BOOKS)は、昨年のダンスミュージックシーンでもっとも話題を呼んだ書籍と言える。準備や楽しみ方はもちろん、入場料、現地の天候や物価までも徹底的に網羅。さらに、レイヴ飯、レイヴファッション、レイヴLOVER座談会といったコンテンツの充実も関心を集めた理由のひとつだろう。

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「もう一度ダンスクラブのかっこよさを伝えたい」。30周年記念パーティーを控えDJ EMMAからメッセージが到着

長きにわたり日本のクラブシーンを支えてきたDJ EMMA。昨年のDJ活動30周年記念パーティに向けて届けられた「もう一度ダンスクラブのかっこよさを伝えたい」というメッセージは、往年のファンはもちろん、これからのシーンを担う若者の心にも響いたことだろう。clubberia TVで公開したインタビュー動画からも、熱い思いやパーティの熱量がひしひしと伝わってきた。

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「Rainbow Disco Club 2015」開催決定! 今年はGWに伊豆で3日間のキャンプインフェスとして開催

晴海客船ターミナルを舞台に行われていた「Rainbow Disco Club」が伊豆に会場を移し、3日間のキャンプインフェスティバルの開催を発表したことは驚きと興奮だった。洗練された都市型フェスティバルから、さらなる進化を遂げることになった本フェスティバルへの期待値は年々増すばかり。素晴らしいロケーションとラインナップで、多くの来場者の心を掴んだ。

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DEXPISTOLSが無期限の活動休止を発表

2000年代後半から日本のエレクトロシーンを作り上げ、そのムーヴメントを牽引してきたのはまさにDEXPISTOLS(DJ DARUMA&DJ MAAR)だろう。音楽だけでなくファッションシーンをも巻き込んだ彼らの功績は計り知れない。そんな彼らの活動休止はファンに大きな衝撃を与えたが、その後もそれぞれが積極的に活動を行っており、互いの活躍を願うファンも多いはず。表現は違えど、シーンを盛り上げるふたりの活動から今後も目が離せない。

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トランス界の生きる伝説、ゴアギルがageHaに登場!

根強い人気を誇る日本のトランス・シーンおいて、ゴアギルの存在は絶大なものだろう。トランスの聖地、インドのゴアを拠点に活動する彼は日本にも度々来日し、64歳になった今も変わらずファンを魅了し続けてきた。世界中からオファーが絶えない彼が、年の瀬の12月28日に来日したことはもちろん、オールナイトロングセットでの出演発表も大きな要因だ。トランス・シーンにおける彼のニュースは、今後も見逃せないトピックのひとつだ。

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電気グルーヴのドキュメンタリー映画の予告編が公開

テクノという音楽をメジャーのフィールドに持ち込み、日本のポップミュージックの歴史を塗り替えた電気グルーヴ。そんな彼らの軌跡を辿るドキュメンタリー映画公開に多くの人が興味を持ったことだろう。劇場公開前に発表された予告編動画で、本編への期待を膨らませたファンも決して少なくないはずだ。12月末の劇場公開後、全国各地の映画館での再上映や上映期間の延長、さらに極上音響上映も決定するなど、大きな反響を呼んでいる。

7

日本初!? ageHaと西武鉄道がコラボし、EDMトレインを運行

2015年はEDM×◯◯◯といったイベントを多く目にした。なかでもageHaと西武鉄道がコラボレートしたEDMトレイン「SEIBU RAILWAY PRESENTS ageHa TRAIN」は目を疑うような驚きのニュースだった。電車の車両に音響システムやDJブースを搭載するという日本初の試みで、クラブまでの長い道のりに非日常的空間を作り上げた。こういった新たなパーティの楽しみ方を提示する画期的な企画が今後も増えていくかもしれない。

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電球がスピーカーに!? SONYからLED電球スピーカーという画期的なガジェットが発売されます

本記事が上位にランクインしたことにもっとも驚いた。スピーカーを搭載したこのLED電球『LSPX-199E26J』は手間がかからず、普段使っている電球と取り替えるだけで簡単に使用できる。値段は24,000円前後と少々高めだが、Bluetooth対応のため、スマートフォンやPCなどのBluetooth対応機器であればワイヤレスで音楽再生できるのも魅力。普段の生活に音楽という楽しみを加えてあげる。そんなライフスタイル提案も今の時代ならでは。

5

BjörkのDJセットが公開

ビョークが公開したこの約1時間のDJセットは多くの音楽ファンを虜にした。「Red Bull Music Academy Festival New York 2015」の一環で行われたTri Angle Recordsの5周年パーティにサプライズ出演した彼女。お気に入りの楽曲を数多く取り入れたこのミックスは、アーティストとしての稀有な才能や音楽に造詣が深いことはもちろん、彼女にしか表現できない唯一無二の世界観を改めて実感する、魅惑的なストーリーであった。

4

イビサの人気パーティー「CIRCOLOCO」が幕張公園の砂浜で開催

EDM主流の大型フェスティバルが多かったなかで、「CIRCOLOCO」の開催は、アンダーグラウンドなテクノやハウスを好む人たちにとっては嬉しいニュースだっただろう。イビサの人気パーティとして2003年からスタートしたCIRCOLOCOは、ここ日本でも素晴らしいラインナップを揃えて行われた。また、豪華な巨大テントや板張りを施したフロア、海を一望できる開放的なロケーションなども好評で、次回開催を望む声も多く聞かれた。

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世界No.1フィメールDJ、NINA KRAVIZが全国5都市を回るリリースツアーを敢行

今年もすでに、Coachella(アメリカ)、Horizon Festival(ブルガリア)、Dgtl Festival(オランダ)をはじめ、世界各国のフェスティバルへ出演が決定しているニーナ・クラヴィッツ。昨年は2度(5月・12月)の来日を果たし、AIRでは最初で最後となるパフォーマンスを披露した。日本での人気がいかに高いかは、彼女のプレイ中にフロアを見れば一目瞭然。あれだけの熱気に満ちたフロアは年間を通してもなかなか見ることはできない。

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世界一美しいフェスと称される「SENSATION」が遂に日本初上陸

昨年行われたフェスティバルのなかでも、コンセプトとエンターテインメント性の高さでひときわ目立ったのは間違いなく「SENSATION」だろう。日本初開催というトピックはもちろん、オランダでスタートした本フェスティバルは、“世界一美しいフェス”と称され、ドイツ、イギリス、アメリカなど世界33カ国で開催されている超ド級の内容。壮大なセットにくわえ、どんなパフォーマンスを見せてくれるのかと、開催前から多くの人を興奮させた。

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代官山AIRが年末で閉店

2001年9月のオープン以来、日本のクラブカルチャーの象徴でもあったAIRが14年以上にもわたる長い歴史に幕を下ろした。突然発表されたこのニュースは、クラブ/ダンスミュージックシーンにおける2015年最大のできごとだった。ニュース公開後、SNS上では閉店を惜しむ声が多く寄せられ、世界中のトップDJたちからもたくさんのメッセージが贈られた。「いつの日かまた、新しい空間で皆様とダンスできることを願って」。AIRが最後に残したこの言葉を胸に、いつかまた新たなカルチャーを発信する場所が誕生することを多くの人が願っているにちがいない。