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Smallville
2005年にLAWRENCE、JULIUS STEINOFFを中心に「小さな村」と称したSmallville Recordsをハンブルグにオープン。同年にレーベルもスタートさせ、今現在のミニマルハウスからUSディープハウスリバイバルのシーンを作った立役者といっても過言ではないレーベルに成長した。 そんな現在のSmallville Recordsのオーナーとして、そしてアーティストとしてJULIUS STEINOFFとJUST VON AHLEFELD aka DIONNEの二人にハンブルグシーンやレーベル、ショップ運営について語ってもらった。

http://www.smallville-records.com/
interview: Kumi Nagano text: Norihiko Kawai
photo: Asami Uchida special thanks: Maki Miura
Smallville


● まずはじめに、お二人の自己紹介からお願いします。

JULIUS:
僕はJULIUS STEINHOFF。Smallvilleという名前のレコードショップとレーベルを、PETE(aka LAWRENCE)とここにいるJUSTと3人で一緒にやっている。フランスとスイスの国境近くの街、南ドイツのフライブルグで生まれて、ハンブルグに来てからは10年くらい。01年頃から音楽のディストリビューションの会社で働き始めたんだけど、その頃、すでにエレクトロニック・ミュージックに目覚めてDJをやっていて。何とか音楽にまつわる仕事をできないかと模索していたけれど、どうしたらいいかわからない時期がしばらく続いてね。昔から音楽はやっていて、パンクバンドでドラムをやっていたこともあったよ。

JUST:
僕はJUST。Dionne名義でSmallvilleでは活動している。この街で生まれ育ったけど、やっぱりパンクをやっていたよ、同じバンドではなかったけど。HIP HOPにギターもの…といろんな音楽を聴いていたよ、エレクトロニック・ミュージック以外はね。



● どんなアーティストに触発されて音楽の趣味が変わったのですか。

JULIUS:
小さい頃からドラムをやっていたのもあるけど、あとは両親のレコード・コレクションの影響が大きかった。ジャズやビートルズ、70年代のロックなんかがあって、音楽を聴いている間にジャケットを眺めたり読んだり…その頃からレコードそのものが好きになったんだ。

JUST:
エレクトロニック・ミュージックでは、ニューヨークのMETRO AREAにすごく影響を受けた。同じレーベルからパンクロックの音もリリースされていたから、自然と聴くようになったんだ。

● レコードショップをはじめたいきさつを教えてください。

JULIUS: 「レコードショップをやりたい」ということを純粋に考えていたのと、仲間が集まれる居心地のいい空間が欲しかった。自分たちの好きなテイストがあって、音楽の話ができるような…。 オープンしてから、店にはたくさんのDJが顔を出し、みんなレコードを聴いては音の話に花を咲かせて、情報交換の場にもなった。6年前、レコードショップをオープンさせた当時と現在では状況が少し変わってきてたね。レコードを買う人も減りmp3で音楽を買う人が増えてきた。バイナルでプレイするDJも減ったしね。



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● 仕入れはどうしていますか。

JULIUS:
僕らで毎日インターネットやレコードショップなどいろいろなところでチェックをして「これはいい」と思ったものを仕入れたり、友人のやっているレーベルから直接仕入れることもある。以前は割と幅広いジャンルをやっていたけれど、ここ最近では的を絞って仕入れるようにしている。例えば、ミニマルを探している人が来たら「あそこの方がきっと品揃えがあるし、探しているものが見つかると思う」と他のレコードショップを紹介することもあるし、自分達の得意な分野、本当にいいと思う音にフォーカスしている。

● それはどんな音ですか。

JULIUS:
ディープハウス、ハウス、シカゴ、デトロイトの音が多いね。ムーディーでジャジーなもの。ハンブルグにある大手ディストリビューターwordandsoundの本社へもよく足を運ぶよ。そこでは膨大な量のストックがあるし、30秒のサンプルだけではなかなか判断できなかった音を実際にチェックすることができるんだ。プロデューサーでバイヤーでもあるMARK SCHNEIDERは僕らの好みもわかっていて「こんなのが入荷してきたけれどどう?」とかなりいい音をリコメンドしてくれることも多かった。今、彼はベルリンに移っているけどね。

Smallville

● デジタルダウンロードサイトが優勢な現在、レコードショップのオーナーとして、またアーティストとしてどのような考えを持っていますか。

JUST:
バイナルは、決してなくならないと思う。モノとしても好きだし、今の若い人の中にも「やっぱりバイナルってカッコいい」と思ってくれる人が増えることを願っているよ。

● レコードショップだけでなくレーベルもやっていますよね。

JULIUS:
店に繁盛にくるメンバーがみんな音楽をやっていたから、自然な流れでそれをリリースするためにレーベルとしても活動することになった。店が2005年の5月にオープンして、その年末には最初のリリースをして、レーベルがスタートしたんだ。

● 店内の壁にたくさんのポスターがありますが、パーティもやっているのですね。

JULIUS:
ああ、数ヶ月に一度はやっているよ。今までベルリンのHorst Krzbrg、Panorama BarやパリのNouveau CasinoやRex Clubでもパーティをやったね。

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Smallville


● Smallvilleのフライヤー等のデザインは、すべてSTEFAN MARXが手がけたものですか。

JULIUS:
そうなんだ。一緒にレコードショップを始めたSTELLAとSTEFANがとても仲が良くて、オープン時に彼にアートワークをお願いしたんだ。店にも何かトレードマークが必要だと思ってね。その時は先のことは何も考えてなかったんだけど、彼もお店のことや音楽を気に入ってくれて、それからずっとパーティのフライヤーやコンピレーションのジャケットもやってくれるようになった。店のショーウインドウにも描いてもらっているよ。書いてもらったのは、確かISOLEEのリリースパーティをここでやったときだと思う。

Smallville

● 日本のレーベルmule musiqでもSTEFANのアートワークを採用していますが、それについてはどう思いますか。

JULIUS:
僕らはSTEFANのアートワークが好きだし、同じように気に入った人がいて広めることはいいことだと思うよ。僕らはKAWASAKI(muleオーナー)とも仲がいいし、彼のパーティでプレイしたり、彼もここへ来たりしているからね。

● ハンブルグのシーンについて教えてください。ベルリンと比べるとどうですか。

JUST:
ベルリンのクラブは点在してあるし、そのカルチャーをお目当てに来るツーリストもたくさんいる。それに比べるとハンブルグのシーンは規模も小さいし、クラブやレコードショップなどが一つの地区に集中してる。だから、みんな顔見知りだし、距離感が近いと思う。実は、SMALLVILLEという名前にもそういう意味合いがあるんだ。ちょうどレコードショップを始めようとしていた頃に、TOBIAS THOMASのアルバムをよく聴いていたんだけど、そのタイトルが『Smallville』。なにかで彼のインタビューを聞いたとき、彼の住むケルンのシーンは人と人との繋がりがとても強くて…という話をしていたんだ。ハンブルグにもそれがあるなと思って、そこからSMALL VILLE(小さな村)という名前をつけた。

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● なるほど! では、この街のお薦めのクラブを教えてください。

JULIUS:
Golden Pudel、Ego、Uebel & Gefährlich。

● 今後の予定を教えてください。

JUST:
レコードショップとしては、現状維持、といったところだね。 (※2010年11月、SMALLVILLEはハンブルグ市より、音楽分野で貢献したとのことで賞を受ける)

JULIUS:
日本でもプレイする機会が増えると思うので、そのときはぜひ遊びにきてくれ。

● 最後の質問ですが、あなたにとって音楽とは何ですか。

JULIUS:
すごく難しい質問だな(笑)。

JUST:
僕にとっては、感情表現の一つだしコミュニケーションを取る手段の一つ。なくてはならないもの。

JULIUS:
そうだね、僕にとっても音楽は「いつもそこにあるべきもの」。だから、僕らはレコードショップをはじめたのさ!

● 日本の読者にメッセージを。

JULIUS / JUST:
SMALLVILLEの音楽を聴いてくれてありがとう。

Smallville

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※このインタビューはZOOM Q3を使用して撮影されました。
(現在発売中のQ3 HDの一つ前のモデル)賑やかなバーやクラブ、
さらにはスピーカーの前でもクリアな音で撮れるので、欠かせない取材ツールでした。