90年代前半のテクノリスナーにとって、デイヴクラークは非常にありがたい存在であった。94年にリリースされたシングル「レッド2」は、これまでシーンの主流となっていた平均7分にも及ぶメロディアスなアシッド・テクノから、展開と音数を極力減らしたミニマル・トラックへと移行、それによって、シーンの流れを完全に変えてしまったのである。その、脳天から突き刺さるキック音とドラッギーなフィルターで上昇していくハード・エッジなサウンド群は、テクノのみならずハウス・シーンからも厚い支持を受け、クラブでは一晩に少なくとも3回はプレイされる強力なアンセムとなった。とにかく、この曲はありとあらゆるDJがかけまくり、そしてフロアを確実に盛り上げたのだ。その後、目立ったヒット作は無いが、彼はDJとしてシカゴ・アシッド/エレクトロ・ブームに火を点し、屋台骨としてテクノ・シーンを力強く支え続けている。