90年、スパイク・リー監督の映画『Mo' Better Blues』に挿入された楽曲"Jazz Thing"によって幅広い層のファンにその名を広めることに成功したヒップホップ・グループ、ギャング・スター(Gang Starr)。
ア・トライブ・コールド・クエスト(A tribe Called Quest)らと同様、90年代初頭からいち早くジャズをサンプリングした斬新なサウンドでヒップ・ホップの新たな可能性を提示して見せ、その後の活動でも常に、シーンの先駆者として存在し続けた。
1stアルバム"No More Mr. Nice Guy"を89年に発表して以降、"Step In The Arena"、"Daily Operation"、"Hard To Earn"、"Moment Of Truth"、"The Owner"と、その時代時代を象徴する傑作をリリースしてきた彼らであるが、そのサウンドの要とも言える素晴らしいトラックの数々を制作してきたのがDJプレミアである。彼の留まることを知らないアイデアの数々とそれを裏付ける高度なスキルは、ヒップホップ・シーンの中でも他と一線を画している。最早、天才職人の域まで達しているそれらの作品は、一小節や二小節のフレーズをつないだ限り無くシンプルな中毒性や、一音一音を磨きあげたサウンドの強力なインパクトでリスナーを虜にしてしまうのだ。
ギャング・スター以外にも、ジェルー・ザ・ダマジャ(Jeru The Damaja)やグループ・ホーム(Group Home)、ノトーリアス・B.I.G.(NotoriousB.I.G.)、ナズ(NAS)、ラキム(Rakim)といったア-ティストのプロデュースも手がけ、そのどれもが非常に高いクオリティーで制作され大ヒットを記録している。まさにヒップ・ホップ界の誇る至高のトラック・メイカーとして絶大な人気と評価を得ている。