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Moritz von Oswald Trio

Basic Channel, Sun Electric , NSI

モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオ(以下MvOT)は、モーリッツ・フォン・オズワルド(Basic Channel)とマックス・ローダーバウアー(サン・エレクトリック、NSI)とヴラディスラヴ・ディレイ(別名ルオモ、ウージタロー)という、高い評価を受けるアーティストたちから成るユニークなパフォーマンス・プロジェクトだ。この三名はそれぞれが90年代初頭ベルリンにおけるエレクトロニック・ミュージック・シーンで活躍したパイオニアであり、個々の異なる経験とアプローチによって、ダブ・エレクトロニカに改革をもたらした。新プロジェクトはライヴの集合的インプロヴィゼーションならではの可能性を探求するもので、フォン・オズワルドがエレクトロニクスとミキシングを担当、ローダーバウアーがアナログ・シンセサイザーを、そしてヴラディスラヴ・ディレイがドラムと彼の手製の楽器とメタル・パーカッションをプレイするというもの。
過去の作風を引き継ぎながらも、このトリオでは遅いテンポを採用することで、よりファンクに近い、メロディやハーモニーの比重を抑えてパーカッションによるリズミカルな鼓動を前面に押し出した、「エンドレス・グルーヴ」を作り上げている。彼らのライヴ・パフォーマンスでは、このグルーヴをエレクトロニクスとサスペンドしたシンセ音によって何層にも重ねた即興伴奏が行われ、流れるような脱構築テクノを聴かせてくれる。MvOTが基本のリズムを絶え間なく変化させていく様は、アフロビートとエレクトロニカの融合に近い。彼らの演奏にはトライバリズム、すなわちカンが実践していた音楽的民主主義、つまり多角的な自由空間を創造する等しさがあり、それがこのトリオの音楽にヒプノティックで高尚なクオリティを与えている。
モーリッツ・フォン・オズワルドは長い間、エレクトロニック・ミュージック界の重要人物として知られている存在。トーマス・フェルマンとのコラボレーションに始まり、マーク・エルネストゥスと共同で<Basic Channel>を設立、そしてベルリンとデトロイト間のテクノ・コネクション確立にも貢献した。フォン・オズワルドは、共同でサブレーベル<Chain Reaction>、<Main Street>、<Burial Mix>、<Basic Replay>、<Rhythm & Sound>を立ち上げただけでなく、常にシーンの舞台裏でメジャー、インディペンデントに関わらず、トニー・アレンからカール・クレイグの<Planet E>まで、ミキシングやマスタリングにも携わってきた。彼の古い友人であり、コラボレーターでもあるマックス・ローダーバウアーも、同じように長く裏方でプロダクションに関わってきた経験があり、その歴史はベルリンの<Tresor>シーンに遡る。彼が最も知られているのは、サン・エレクトリックの片割れとしての顔だろう。あるいは最近トビアス・フロイントと結成したユニットNSIの、実験的なダンス・ミュージックとアヴァン・ピアノ/エレクトロニック作品かもしれない。
ヴラディスラヴ・ディレイの初期作品は、90年代半ばに<Chain Reaction>からリリースされている。ジャズ・ドラマーとしてキャリアをスタートさせたディレイは、三つの異なるプロダクション・アイデンティティを確立し、ハウスやテクノにおけるエレクトロニック・ライブ・パフォーマンスの概念を覆しただけでなく、極めてパーソナルな独自の領域を追求している。ディレイはまた、クレイグ・アームストロングとAGFと共にザ・ドールズというパフォーマンス・プロジェクトを、ミカ・ヴァイニオ(パン・ソニック)とジャズ・ミュージシャンのデレク・シャーリーとルーチオ・カペーセとは、最近デビューしたばかりのヴラディスラヴ・ディレイ・カルテットを結成し、活動している。MvOTのアルバムも、年内に発表される予定になっている。