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Cluster

ベルリンのアート/音楽集団Zodiak Free Arts Labを母体として1969年に結成。同時期に活動していたクラフトワークらと共にクラウトロックを産み出したパイオニアであり、クラフトワークが『Autobahn』で電子楽器によるシーケンスを打ち出したその一方で、クラスターはマシーンによる神秘的で革新的な音楽言語を創造し、"kosmische"(コズミック=cosmicのドイツ語)と形容されるサウンドの流れを決定づけた。代表的な作品にして音楽史に残る名作として、『Klopfzeichen』(1970年)『Zwei Osterei』(1971年) 『Cluster ('71)』(1971年)『Cluster II』(1972年)他多数。
初期はハンス・ホアキム・ローデリウスとディーター・メビウスに加え、タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)のオリジナル・メンバーであったコンラッド・シュニッツラーとのトリオ編成であり、この時期の作品はKluster名義で発表。コンラッド・シュニッツラー脱退後はClusterとして活動している。
デュオとしてのみならず、ブライアン・イーノやドイツ音楽シーンの最重要プロデューサーであるコニー・プランク、元クラフトワークでノイ!(Neu!)のオリジナル・メンバーでもあるミヒャエル・ローターらとのコラボレートにより自身の音楽を発展させており、中でもディーター・メビウスがコニー・プランクとグル・グルの異能ドラマー、マニ・ノイマイヤーと組んだMoebius, Plank, Neumeier名義での『Zero Set』(1983年)は、あのRicardo Villalobosが人生でもっとも影響を受けたアルバムであると公言しているように、現在のテクノからディスコ・ダブにまで決定的な影響を与えた名盤。
また、ローデリウスとメビウスはミヒャエル・ローターとのトリオとしてもハルモニア(Harmonia)を結成しており、『Musik von Harmonia』(1974年)『De Luxe』(1975年)の二枚の作品は、現在の音楽シーンにまで繋がるエレクトロニック・ミュージックの歴史的名作として確固たる評価を獲得している。尚、ハルモニアとブライアン・イーノによるセッションとして録音されていながらも97年まで発表されることのなかったHarmonia 76名義の『Tracks & Traces』は、ダブステップの鬼才アーティスト、シャックルトン(Shackleton)によるオリジナルへのリスペクト溢れるリミックスが2009年後半に突如として発表され、従来のジャーマン・ロックのフィールドを打ち破る流れに驚嘆の声が集中。さらに2010年においても英国の名門レーベルSoul Jazzより発表された決定盤的ドイツの電子音楽コンピレーション『Deutsche Elektronische Musik; Experimental German Rock and Electronic Musik 1972-83』ではクラスター、ハルモニア、ローデリウスやメビウスのソロ楽曲などが収録曲のうち圧倒的多数を占めるなど、多方面で話題と再評価の渦を巻き起こしている。