Eric Duncanとの「RUB N TUG」、そして生ける伝説DJ Harveyとの「MAP OF AFRICA」としても著名な"THOMAS BULLOCK a.k.a. WELCOME STRANGER"。謎多きアンダーグラウンド・レーベル<WHATEVER WE WANT RECORDS>を陰で操るフィクサーとしても知られる流浪人Thomasは、ある時は「BOBBIE MARIE」から「LAUGHING LIGHT OF PLENTY」まで同レーベルの大半の曲をかき上げ、プロデュースし、またある時は、「OTTERMAN EMPIRE」名義で傑作エディットを手掛けている。他にも、BEASTIE BOYS、ROXY MUSIC、COLDPLAYから!!!、BAT FOR LASHES、A MOUNTAIN OF ONE等にいたるまで、あらゆるバンドのリミックスも手掛け、つまりは、このテキストを読んでいる君も多かれ少なかれ、彼の作品を耳にしているということだ。
1986年にケンブリッジにてDJ活動を開始した彼は、後に友人そしてコラボレーターとして長年付き合うことになるDJ Harveyと出会い、悪名高きDIYパーティー集団「Tonka Sound System」の面々と活動を始める。その後、Garth、Jeno、Markieらと同じくUKからUSに移住し、SFダンスミュージックの歴史において最も革命的な伝説のパーティー「Wicked」(1991-2004)のレジデントDJとして活躍。"Wicked Sound System"を搭載した1947年製カスタム・メイドの「Grayhound」バスで、クレイジーな全米縦断ツアーを敢行する。1996年に活動の拠点をNYに移すと、ディスコ・パンクバンド「A.R.E. WEAPONS」を結成、2001年には名門<ROUGH TRADE>とサインするに至った。そのころ時を同じくして、待ち焦がれていたニューディスコ熱への期待に応えるべく、パートナーEric Duncanと「RUB N TUG」をスタートさせる。新たなパーティーの夜明けを心待ちにしていたクラウドを、暗闇の中で本能を剥き出しに狂熱へと向かわせるその音楽、DJは、まさに新時代への幕開けを象徴するものだった。今日もThomasはありとあらゆる音を吸収しながら、我が道をひたすらまっすぐに突き進んでゆく。君もこの"WELCOME STRANGER"に出会った時は、全てを忘れ、ただその音楽に身を委ねてみてはいかがだろうか。