アメリカ、ジョージア州アトランタ出身で現在はドイツのベルリンを拠点に素晴らしいミニマル作品をリリースしているベテラン・アーティスト。田中フミヤのパーティー"Chaos"にも幾度と来日し、日本人からも絶大な支持を得ている。97年にデトロイトのレーベルMatrixよりデビュー。Tresor、Force Inc.、Mille Plateaux、M_nusなどのアンダーグラウンド・テクノ・レーベルにおいて、「Stabiles」、「Reformation Of Negative Space」といった多数の秀作を残している。その彼がマサチューセッツ州のボストンにレーベルを設立したのが2001年。テクノというジャンルに個性を取り戻すという意味を込めてPersonaと命名する。2003年にはアメリカを去り、より自由な土俵を持つベルリンへと拠点を移した。ジャーマン、デトロイト、シカゴにも属さない、様々に変貌するこだわりのミニマル・サウンドは唯一無二と言えよう。PCを使ったシンプルなアウトボー ドによるライブでは、リアルタイムでトラックを構築する神がかりなプレイで好評を得ている。Tresorからライセンス・リリースされた『Live Extracts』において、彼の真骨頂とも言えるライブ・パフォーマンスを体験できる。また2005年にはダウンテンポ主体のアルバム『Grounded in Existence』、そして2006年には『Concentricity』を自身のレーベルPersonaよりリリースし、ベテラン・ミニマリストとしての才能を遺憾なく発揮した。2011年、突如としてデザイナーのEaston Westと共に音楽とアートによるコンセプチュアル・レーベルSon of Cataclysmを設立。5作のシリーズ・タイトルが連続でリリースされる予定で、既に発表された第1弾EP『Artifacts of the pre-Apocalypse』 では エレクトリックギターを基盤にした音色と、ドラムの複雑なオーケストレーションに加えノイズを取り入れることで、コンセプトでもある世界の終末を見事に表現している。テクノ・シーンのイノベーターとして常に新境地を開拓してきたStewart Walker。その挑戦とあくなき探究心が尽きることはないだろう。