既に午前5時を回っているサンフランシスコのアンダーグラウンドシーン。しかしどのスペースも壁と壁の間一杯に人の唸り声で埋め尽くされている。その人達を虜にしているのがサンフランシスコの秘密兵器、DJ Nikola Baytalaが奏でるリズミカルな音楽である。約10年以上に渡って、NikolaはDJとしての彼の名声を築き上げてきた。たとえ朝を迎えていようが、パーティ人の中でサンフランシスコのヒーローが最後のレコードをかけ終えるまで帰ろうとする者はいない。ニューヨーク出身の彼は90年代にDoc Martinと共にパーティのプロデュースを始める。サンフランシスコへ進出すると、瞬く間にNikola選曲の良さとプレイは高い評判を得る。彼は優れた技術や能力だけでなく、ジャンルの壁に恐れることなく果敢に挑戦していく姿を常に見せつけてきた。
DJの中では稀だが、彼は最新の曲とマイナーな古典的な曲を完全に独自のスタイルで融合してしまうのだ。Nikola独特のスタイルと選曲者としての才能は、Richie HawtinやM.A.N.D.Y.、さらには、Roger SanchezやJane's Addictionといった名だたる世界のトップDJアーティストと最前線でプレイすることを可能にした。かなりマニアックなレコードコレクターとして知られるNikolaは、それらによって培った音楽対する幅広い知識を駆使し、ハウスのより深い部分からテクノのより濃い部分までを取り入れたプレイを可能にしているのだ。
国際的に賞讃されるレーベル[Dirtybird]の首謀者、サンフランシスコ出身のClaude Von StrokeはNikolaをサンフランシスコの中で最も優れたテクノのDJの一人として称え、彼のおかげで市内全ての主要場所や国際的にも知られている数々の会場でギグをやることができた。その中にはThe Endupと既に閉鎖されたが、伝説のクラブ、The Topも含まれている。Nikolaはミニマル・テクノの団体、Kontrolの重役を果たす一人でもある。2005年に設立されて以来、Kontrol はほぼ独力でサンフランシスコにおいてテクノシーンを復活させ、今ではテクノパーティの中ではアメリカ本土で最もリスペクトされているパーティのひとつとまでになった。今までJosh WinkやDan Bell(DBX)などといった伝説的なアーティストや、現在爆発的な人気を誇るModeselektorやMatthew Dear等をゲストに迎えた。
彼の多忙をきわめたDJやプロモーションの日々に加え、Nikolaは今でも時間があれば制作に時間を費やしている。代表作として[Robsoul]や [Junior Boy's Own]、[Large Records]、[Nightshift]などのレーベルのトラックを担当してきた。それら以外にもNikolaの数々の作品はいずれも高く評価され、彼自身だけではなく、彼のプロダクションS.W.A.Tは着実にその名を広げてきた。彼の長期間にわたるツアーを通して、Nikolaの実力はもはや世界中の群衆の前で披露されるようになる。デトロイトで行われたMovement festival 2009では観客を圧倒し、Resident Advisorは彼のことをアメリカ中のアンダーグラウンドDJのトップであると宣言した。トラックからトラックへ、都市から都市へ、Nikolaは世界中のトップエリートDJの中で確固たる地位を築くべく、猛スピードで前進している。Nikola Baytalaの存在は世界中のエレクトロニック音楽界は確実に浸透しているが、サンフランシスコではもう何年も前から皆がその才能に気づいているのだった。