かつてハードな作風で広く名前を知られた存在であるAdam Xによる、よりミニマルでエクスペリメンタルな側面に焦点をあてたプロジェクト。2009年、突如として現れた"Traversable Wormhole"と名付けられた一連のリリース群。それはアナログのみの流通で、無骨にもホワイトレーベルにスタンプを押しただけのシンプルなデザインであったが、必要最低限に抑えられた音数と、それを補ってあまりある強烈な密度を伴ったサウンド、そしてテクノとダブステップの間を自由に行き来するリズム構成も相まって、多くの支持者を生み出した。当初はその正体について様々なうわさが飛び交っていたが、20年以上のキャリアを誇るプロデューサーAdam Xということが判明し、周囲を驚かせた。今年に入り、再びリリースを活発化させたTraversable Wormholeはこの秋、過去の作品をコンパイルしたアルバムをリリース。一貫したクオリティを保ちながら、新たな地平を切り開く彼の活動に注目が集まっている。