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MAURO PICOTTO

'90年代後半に全世界で湧き上がったユーロ・トランス・ブームのさなか、数々のビッグ・アンセムを世に送り出し、時代の寵児となったイタリア出身のDJ/プロデューサー。最近ではトランスから脱却し、テクノ・サウンドへの傾倒を深めており、Primate などから作品をリリースするなど、意外な方向へとキャリアを伸ばしつつあるベテラン・アーティストである。

DJとしてのキャリアは長く、'80年代半ば頃からプロとして活動していた Mauro Picotto。'89年にはイタリアのテレビ局主宰のDJコンペで1位を獲得するなど、早くから地元イタリアでは群を抜いた存在として注目される。一方で制作活動も'90年頃にスタートさせるのだが、やはりそのキャリアが本格的にブレイクスするのは'90年代後半。'98年に放った"Lizard"を始めとして、"Iguana"、そして"Komodo"といった爬虫類系トランス・アンセムが全世界で驚くべきヒットを記録し、一気にトランス界のトップ・スターの座へと躍り出ることになる。ちなみに彼のニックネームは The Lizard Man = とかげ男。よほど爬虫類好きなのだろうか。

21世紀に入ってもその勢いは衰えず、"Like This Like That"や"Back To Call"などのヒット・トラックを連発。'00年にリリースしたデビュー・アルバム"The Double Album"に続いて、'02年にはセカンド・アルバム"The Others"を大ヒットさせるなど、トランス系プロデューサーとして不動の地位を手に入れることになる。

一方で、イタリアのトップ・レーベル BXR の A&R としても活躍し、Mario Piu などの後継者を発掘するなど、ビジネスの面でも力量を発揮してきた Mauro は、'03年には新たなプロジェクト"Meganite"を旗揚げ。イビサの Priviledge を始めとして、世界各地でこの名を冠したイベントを開催し、新たなブランディング戦略を展開しつつある。特に、'04年にドイツ・テクノ界のトップ・スター Chris Liebing らと共にスタートさせたイビサでの"Meganite"は、連日3千人を超える大観衆を集め、そのおかげで Chris が'04年度の DJ Magazine Top 100 において、過去最高記録である65ポイント・アップを果たすなど、大きな話題を集めたことで知られている。

最近ではテクノ・サウンドへの傾倒を深め、'03年には新レーベル Alchemy を設立し、それまでの Mauro Picotto 像を覆すような、ハード・テクノ系の作品をリリースし始める。特に、'04年にリリースした"Meganite EP"は、Carl Cox、Adam Beyer、Ken Ishii といったトップ・テクノ・アーティストがこぞってプレイ。最早"Mauro = ユーロ・トランス"といった方程式をすっかり過去のものにしてしまうほどの評価を獲得する。