記念すべき最初のメインアクトとして白羽の矢が立ったのは「Joel Martin」だ。彼もまたその名は華々しく語られないながらも、UK / EU シーンの最深部でその地位を築いてきた知る人ぞ知る存在。少年時代から続く彼のレコード収集癖は、いつしか膨大なミュージック・ライブラリーを形成するに至り、その多種多様な音楽趣向は彼のDJプレイを唯一無比の域に導いた。その実力は、Manuel Gottsching のプライベート・パーティーにゲストとして呼ばれたり、Gilles Peterson “Worldwide” Podcast に招かれるほど確かなものだ。
Radio Slave として知られる Matt Edwards とのユニット Quiet Village や、ニューディスコ / バレアリック系トップレーベル International Feel から傑作を出している Maxxi & Zeus でも、その才能は遺憾なく発揮されている。知名度の高い Matt の影に隠れてしまいがちな Joel だが、彼の存在なくして Quiet Village や Maxxi & Zeus の世界的評価はなかったに違いない。なぜなら彼らの作品の主体となるサンプリング・アイデアは、Joel の膨大なレコード・コレクションや知識、センスにしっかりと支えられているからだ。