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DJ B=BALL

クラブシーンにおける「DJ」というカルチャーが誕生以降、長い年月を経てどれだけ拡散し、今やその定義すら曖昧になろうとも、その本質的な構図だけは決して変わらない。つまり、この文化とは99%以上の現状に甘んじるDJ=Followerたちと、1%未満の明確なヴィジョンを持った、シーンの未来を切り開くDJたち=新たなLeader、二つの人種のみによって構成されている。そして、DJ B=BALLとは紛れもなく後者。DJを通じて大阪から日本、そして世界へと、多くの人の心を揺るがすことのできる希有な存在だ。2000年代初頭より大阪を拠点に、なんら特別に恵まれた人脈も持たない「いちHIPHOP DJ」として始まった彼のキャリアに近道はなく、名もなきOpen Up DJから10数年、DJcityJAPANのサポートによる全国ツアー「GIVE ME WINGS JAPAN TOUR」(2015年)を敢行するまでに至った現在まで、その過程は決して平坦ではなかったが、常に世界のクラブシーンの新たな刺激、潮流に着目し、日本人DJとしてのアイデンティティに拘り、己のセンスのみを拠り所に様々なジャンルを縦断、吸収。時にバトルDJにも匹敵するほどの技術を磨き、プロデューサー「DBB」名義での制作活動もこなすなど、気の遠くなるようなトライ&エラーを繰り返しながら、一歩ずつ着実に進んできた彼の道のりは、変化を恐れなかった表現者だけが手にすることのできる、気高いクリエイティヴィティに充ちている。2013、2014年と、二度の挫折を味わいながらも再起し、三度目にして掴んだ世界最大規模のDJコンペティション日本予選、"Red Bull Thre3Style 2015 Japan Final"での栄冠。病的なまでの音楽への探究心を原動力として、常に昨日よりも進化したDJingを模索し続けるDJ B=BALL。2015年現在、最も新しい日本王者、その称号は、伊達ではない。 
Text / Takeshi Urata