2013年10月、ソロ活動でヨーロッパツアー中の馬頭は、スペインのサラゴサで旧友岡野に偶然出逢う。岡野は翌日から始まる Acid Mother's Temple のスペインツアーに合流するための中継地としてそこにいた。馬頭と Acid Mother's Temple のスペインツアーのプロモーターが同じだったためとはいえ、偶然再会することになった。岡野は出発までの1時間、馬頭とホテルで話し込んだ。なにせ 1996 年の Ghost のアメリカツアー以来 17 年ぶりの再会。馬頭はこの頃、長く活動停止していた Ghost を解散させることを考えていた。しかし、新しく音楽活動を再開させる手だてがなく、ソロ活動を続けながら苦慮していた。音楽を止めるべきかどうか。
馬頭は岡野と新しい活動を必ずやろうと約束して別れる。2014 年春、Ghost の解散宣言をした直後に新しいグループ、The Silence の構想を心に得て、まず Ghost の荻野にプロデュースとアレンジメントを申し込んだ。人選を荻野に任せてベースに Jan Stigter、バリトン・サックス、フルートに吉田隆一、そして荻野がオルガン、ピアノ、その他を担当。馬頭がギター&ヴォーカル、ドラムは馬頭が岡野を推薦して5人で The Silenceの結成となった。バンド名の由来は「ヨガの沈黙の行」に依る。
1st album の録音のセッションは東京で 2014 年7月に行われた。合計9曲(2曲のカバーを含む)は全てアナログ録音で行われ、一切のデジタル処理を通さずに acetate disc(LP レコードのマザーディスク)をカッティング。最大限の注意をもって彼らのキャリアーが始まった 80 年代前半当時の作業に立ち戻って慎重に録音作業は進められた。機材は OTARI MTR-100 や Studer A800 の 24 track MTR を駆使して、マスターテープも 2ch のオープンリールテープ。これらは懐古趣味ではなく、安直に進むデジタル録音作業への反発と、デジタルフォーマットでの音質の醜さに嫌気がさしたためでもあった。サウンドエンジニアの近藤と GOK SOUND のスタッフが全面的に協力した。