ゼッフェリン・セイントはロンドンを拠点とするDJ / プロデューサー、そして現在のAfro / Soulful Houseにおいて最重要レーベル〈Tribe Records〉の共同創立者。UKにおいて最初のハウス・レーベルと評される〈Jack Tracks〉から87年にリリースされたBoyz In Shock Featuring Carol Leeming “Give Me Back Your Love”のプロデュースが彼の最初のリリース作品で、このとき若干17歳だった。また、ロンドンにおけるハウス専門店のパイオニア〈Black Market Records〉に19歳から8年間働き、Frankie Knuckles, Tony Humphries, David MoralesなどのトップDJの選盤や対話に触れることで、DJ / プロデューサーとしての感覚を高い水準で蓄えてゆく。その後、アフリカや中東といった地域での音楽的刺激やアーティストとの新しい交流や、それまでのソウルフル・ハウスを牽引したレジェンドDJとのコネクション、そしてロンドンだけではなくパリ、トロント、マイアミ、アムステルダムなどで培った基盤を活かし、09年に〈Tribe Records〉を始動。彼自身がプロデュースしたレーベル第一弾 Nathan Adams “Circles” がヒットとなり、一躍世界中のソウルフル・ハウス・リスナーの支持を獲得する。その後の多くのヒット作品や、Timmy Regisfordのアルバムなど信頼性の高いアーティストの採用、クオリティの安定したリリース作品などにより〈Tribe Records〉の地位が確立されていくが、同時に彼自身の作品に対する評価も高まってゆく。15年5月にリリースされた『Canima EP』収録曲のうち3曲がアフロ・ハウス年間Top100にチャートイン。The Sounds Of BlacknessのAnn Nesbyをフューチャーした“Optimistics”は2015年ソウルフル・ハウスを代表する作品となった。現在新たにテックトラック専門のサブ・レーベル〈Tribe Trax〉も立ち上げヒットを重ねているが、本家のレーベルはソウルフルであることに妥協せず、最新のシーンを見据えたレーベル運営 / 楽曲制作の手腕は新旧のハウス・リスナーから確固たる支持を得ており、DJもパワフルかつオーガニックなサウンドで聴くものの期待を裏切らない。ロンドンのハウス・シーンを長年見据えてきたZepherin Saintは、現在世界のハウス・シーンに欠かせない存在と言っても過言ではない。