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イノヤマランド

イノヤマランド

 1977年夏、山下康と井上誠は巻上公一のプロデュースする前衛劇の音楽制作のために出会い、メロトロンとシンセサイザー主体の作品を制作する。この音楽ユニットは山下康によってヒカシューと名付けられた。ヒカシューは同年秋からエレクトロニクスと民族楽器の混在する即興演奏グループとして活動を始めた後、1978年秋からは巻上公一(B,Vo)、海琳正道(G)らが参入、リズムボックスを使ったテクノポップ、エレクトロ・パンクバンドとして1979年にメジャーデビューした。
 1982年以降、ヒカシューの活動と並行して井上と山下は2人のシンセサイザー・ユニット、イノヤマランドを結成する。
 1983年にYMOの細野晴臣プロデュースによりALFA/YEN RECORDSより1stアルバム『DANZINDAN-POJIDON』をリリース。その後、各地の博覧会、博物館、国際競技場、テーマパーク、大規模商業施設などの環境音楽の制作を行いながら、1997年にCrescentより2ndアルバム『INOYAMALAND』、1998年にはExT Recordingsの前身にあたるテクノレーベルTRANSONIC RECORDSより3rdアルバム『Music for Myxomycetes(変形菌のための音楽)』をリリース。10数年振りとなるライブも行った。
 
 近年では1stをはじめとする各アルバムが海外のDJ、コレクターの間で高値で取引され、多数の海外レーベルよりライセンスのオファーが相次ぎ、ポートランドのアンビエントデュオVisible CloaksのSpencer Doranをはじめ、カナダのシンガーソングライターMaylee ToddはVOGUE JAPANのインタビューでフェイバリットにイノヤマランドを挙げるなど世界的な再評価が高まり、2018年に本格的に活動を再開。グループ結成のきっかけとなった1977年の前衛劇のオリジナル・サウンドトラック『COLLECTING NET』、3rdアルバム『Music for Myxomycetes 』、1stアルバム『DANZINDAN-POJIDON [New Master Edition]』、2ndアルバム『INOYAMALAND [Remaster Edition]』を連続再リリース。中でも世界的に再評価されている1stアルバムは、マスターを最新技術で再トラックダウン、マスタリング、ジャケットもオリジナルの別カットのポジを使用し、新たな仕様にした事などが評価され、インターネットストリーミング番組のDOMMUNE、当時のプロデューサーだった細野晴臣のラジオ番組Daisy Holiday!にゲスト出演するなど話題となり、ヒットを記録した。この年には国内唯一のアンビエント・フェスのヘッドライナーも務めている。

 2019年には『DANZINDAN-POJIDON』をスイスのWRWTFWWから、コンピレーションアルバム『Commissions:1977-2000』をアメリカのEmpire of Signsからリリース。 同年、アメリカのLight in The Atticが制作した80年代の日本の環境音楽・アンビエントを選曲したコンピレーションアルバム『環境音楽 Kankyō Ongaku』にYMO、細野晴臣、芦川聡、吉村弘、久石譲、インテリア、日向敏文等と並んで選曲され、同アルバムはグラミー賞のヒストリカル部門にノミネートされ、更に世界的な脚光を浴びる。アルバム・リリースと並行し、Red Bull Music Festival Tokyoにも出演するなどライブ活動も精力的に行った。

 2020年、オーストラリアのLongform Editionsよりシングル『Fuku-Ura』をリリース。2020年9月16日には22年振りとなる完全新作による4thアルバム「SWIVA」を発表。