元ELE-KINGの編集部・2 MUCH CREWの初期メンバーという異色の経歴を持つ大森と、元[ROMZ]の店員だったラスベガスという、奇妙な組み合わせの2人が作ったユニット、それが「Harley & Quin」だ。この"激"アンダーグラウンド地域周辺で活動(というか遊んでいた)していた2人が、このようなキャッチーなアルバムを発表するとは、誰が想像しただろうか。
且つ、キャッチーでありながら、2人が持つ膨大なヴァイナル・コレクションに裏打ちされたあらゆるジャンルを飛びまわる懐の深さ。TECHNO〜THECH HOUSE〜DETROIT〜GERMAN ROCKにまでも片足を突っ込みそうな勢いのその幅の広さは、その後加入したコックファーザー・オクダ(G)と日本刀(Ba)の楽器隊の参加による部分も小さくないであろう。07年にSWCより発売されたコンピレーション「White Album」にて"fatal tissues"という、アルバム中最高にキャッチーな楽曲を提供し、一躍その名を知らしめたこの4人組は、その体をゆっくりと持ち上げ、シーンへと浮上し始めた07年に精力的にライブを繰り返し、試行錯誤を重ね、そして今年、遂にそのシーンへ革命的なアルバムを投下する。
アルバム収録曲は何と18曲。そのポップさ加減でアルバムを代表するM2"テクノリベラシオン"、イギリス人ヴォーカリストBelle Humbleを起用したM4"サバラ青春の光"は今後のシーンにおいても新機軸になり得る1曲。奥田のギターと日本刀のベースが新鮮なM6"P.C.M."、デトロイトテクノへのオマージュを感じさせるM8"ムカ市"、楽曲を通して感じさせる壮大な広がりが美しいM11"Fireworks_pt1"、昨今のムーヴメントである「エレクトロ・ハウス」というワードを思い浮かべるM13"FAX MACHINE"、新たにギターとベースが加えられたM15"fatail tissues"などなど。大げさに言うと、ジャンルも国境も飛び越え、ポップスもアンダーグラウンドも飲み込んだ今年最大の衝撃作と言っても過言ではないはず。
計約70分の素晴らしい、ミュージック・トリップへと誘う渾身の1枚が遂にリリース!
[Biography]
Harley & Quin
05年末、大森とラスベガスにより結成。両者ともに<打ち込み専 >。ハード・ミニマルの復権というヘソ曲がりな動機でスタートするも、すぐさま現在へのスタイルへと移行。20世紀の泡沫テクノ/ハウスの残滓を、現在のダンス・フロアにキャッチ&リリースさせるその手腕は、ユーモアとも嫌みとも判別がつきにくい、とってもスリリングなダンス・サウンドを聴かせる。06年、ギター/コックファーザー・オクダとベース/日本刀が加入。引きずるようなライヴ感を得て、都内クラブなどを中心に活動中。07年、V.A.『White Album』(SWC)に参加。なぜだか、マイルドな楽曲を披露して、少し人気者になった。(Text by TAXIM)
http://www.myspace.com/deathoftheharleyandquin
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