JAZZTRONIKの名義で、独創的かつクロスオーヴァーな活躍を繰り広げてきた野崎良太。彼の存在はもはや、東京のダンスミュージックを語るうえで欠かすことのできないアイコンといえるだろう。その活動開始10年を記念したアルバム「JTK」が、いよいよ12月17日にリリースされる。小泉今日子やJUJUをフィーチュアした話題の作品は、ポピュラリティとカッティングエッジを絶妙に共存させてきたJAZZTRONIKの個性を遺憾なく発揮する内容となっている。記念すべきリリースパーティには、アルバムに参加した歌姫・有坂美香と為岡そのみが駆けつけ、魅惑のライブセットを敢行。もちろんJAZZTRONIK自身も万感の思いを込めたプレイを披露してくれるだろう。比類なき足跡の集大成となる一夜を、見逃してはならない。
[Infomation]
Jazztronik 10th Anniversary ! Ultimate JTK's Flava is Here !!ハウス、クロスオーヴァー、エレクトロ界の旗手、野崎良太 a.k.a.ジャズトロニック。活動開始10年、そしてその未来を提示する珠玉の楽曲群! ジャズトロニックの持つ、その秀でた点は「ポピュラリティとカッティング・エッジの共存」である、と思う。数多のアーティストのプロデュースはもとより、自身名義の日本語によるクラブ・ミュージックの具現化は誰もなしえていないものである。かつ多くのプロデューサー達がジャズトロの楽曲群を自身の作品に投影している事実<楽曲を一聴で「ああ、ジャズトロのコピーだ な」と思う楽曲が巷間に溢れている事実>がその端的な例。アンダーグラウンドとリンクを忘れずに、媚びずにメジャー・フィールドの可能性に挑戦しつづけるその姿はクラブ・ミュージックを愛する側からするとまさにリスペクタブル、だ。 さて。そんなジャズトロの、自身名義活動10周年記念アルバムとなるのが自身の名義を冠した、本作「JTK」である。 粒の揃った楽曲群。所謂短略的なフィーチャリングものでないことは"一聴瞭然"!昨年リリースされた「Grand Blue」はどちらかといえば、歌にポピュラリティを見出 した作品であったのに対し、今回はインストゥルメンタルにもそれを希求している点が特筆事項。クラッシックから現代音楽にいたる全ての音楽に精通した鍵盤弾き、であるその凛としたアイデンティティがそこかしこに感じられ、聴き手を快楽の高みへといざなう。前述の「ポピュラリティとカッティング・エッジの共存」が歌物とインスト、インストと 歌物の序列の中で、またアレンジメントの狭間で成立するその妙。これはやはりJTK=野崎良太にのみ神が与え賜うた奇跡であると思わざるを得ない。 既に配信等で話題になっているドラマのメイン・テーマとして書き下ろされたインスト・ナンバー「Real Clothes」、「Peche Mignon」<ペシェ・ミニオン>、深夜のドラマのエンディング・テーマにもピックされている気鋭のシンガー、エミ・マイヤーとのセッション「Reminiscing」、ここ数年のライ ヴのメイン・シンガー、為岡そのみをフィーチャーしたエレクトロ・ハ ウス「Oneness」<アルバム・リード・トラック>をはじめ、従来のファンも納得し、更には新たなるファンを獲得すること間違いなしポテンシャルの高い楽曲を軒を連ねる。また今、まさに「時の人」といっても過言ではない小泉今日子(!)をフィーチャーしたエレクトロ・ポップ「Click Clock」、これまた話題のシンガー、 JUJUとのコラボ「ユメノツヅキ」<この2曲についてはエレクトロ界きっての理論派・安田寿之がプログラミングとして参加!>、盟友 武田真治のSaxが散りばめられ、クロス・オーヴァー界きっての歌姫・有坂美香が圧倒的なヴォーカルを魅せ付けるファンキッシュな「L.E.A.P.」など聴き所は尽きない。更に「Black Dragon」、「Hayabusa」、「JTK」といったインストゥル メンタルに魅せる鍵盤弾きとしての「野崎の男気」が聴く者を間違いなく魅了するであろう。 Jazztronik、というアイコンが"クラブ 系"と一種の偏見を持って語られる日がなくなる日がこのアルバムを持って"近い"と筆者はここに断言させていただく。こういう音楽に触 れられる奇跡に出会える幸福を私は今、体感している。 ミュー ジック・コラムニスト 桐生勝行
2008.12
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