ATAK NIGHTは最先端のエレクトロニック・ミュージックとサイエンスの融合を推進する音楽レーベルATAKによるショウケースであると同時に最高の再生環境によって現在のサウンド・アートのカッティングエッジをフィジカルな体感にまで昇華して発表する、エッセンシャルでなコンサートイベントでありハイテンションなクラブイベントでもある。過去にも3度行われており、昨年東京、山口、京都で行われたATAK NIGHT3はDVD化として発表され大きな話題を呼んでいる。ATAKを主宰する渋谷慶一郎は池上高志(東京大学教授)との共同プロジェクトである第三項音楽において複雑系研究、人工生命の最新の成果と電子音楽の融合による音楽作品、及びサウンド・インスタレーション作品を多数発表し世界的な評価を受けており、その最初の結節点となった24チャンネルによる三次元立体音響作品filmachine(2006年)はアルス・エレクトロニカで honorary mentionを受賞するなど目覚ましい活躍を続けており、同作品は2008年に世界最大のメディアアートフェスティバルであるトランスメディアーレ(ベルリン)でも発表され、同時期に行われたコンサートも含めて大きな話題を呼んだ。今回のATAK NIGHT4はこれまでのツアーが日本国内に限定されていたのに対して、ヨーロッパ数カ国とアジア、日本において連続して開催されることが決定しており、これは今年ベルリンやカナダで行われた渋谷慶一郎のコンサートが大きな反響を呼んだことに起因している。また、今回のジャパンツアーは現在のエレクトロニック・ミュージックシーンのカッティングエッジを見渡す限りこれ以上ないメンバーとなっており、特にフルクサス創設メンバーであるNY在住73歳の現役最年長電子音楽か・刀根康尚のライブツアー参加は特筆すべき"事件"と言えるだろう。ツアーは基本的にフロアに8チャンネルのスピーカーが設置されるマルチチャンネルツアーであり、従来の再生、聴取環境を超えた新しい知覚体験、音による体感が実現されることは間違いない。
チケットぴあ(0570-02-9999/0570-02-9966、Pコード:314-833)ローソンチケット(0570-084-005、Lコード:58577)にて1/17より発売※前売発売場所:ぴあカウンター、ファミリーマート、サークルKサンクス、ローソン
公式HP:http://atak.jp/
●渋谷慶一郎 keiichiro shibuya
<http://www.atak.jp/>
音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学作曲科卒業。
2002年にATAK設立。音楽レーベルとして国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワークテクノロジー、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開。2004年にリリースした自身初のソロアルバム「ATAK000 keiichiro shibuya」は音色とリズムにフォーカスした徹底的に緻密な構成と豊穣なサウンドにより「電子音楽の歴史のすべてを統べる完璧な作品」と評され評価を決定的なものとした。現在までに作曲家・高橋悠治や複雑系研究/東京大学准教授・池上高志らと分野を横断する共同作業を継続的に展開しており、池上高志とは2005年末に東京オペラシティ内のICC(インターコミュニケーションセンター)で共同制作したサウンド・インスタレーション作品の発表と非線形物理学の応用による変化と運動の音楽理論「第三項音楽」の研究発表/コンサートを行ったのを皮切りに旺盛な活動を開始。音楽/科学を横断する本格的なコラボレーションとして大きな注目を集めている。2006年には三次元立体音響とLEDを駆使したサウンド・インスタレーション作品"filmachine"を山口情報芸術センター(YCAM)で発表。2007年にはそのCDバージョンとして音像の縦移動を含む世界初のヘッドフォン専用・三次元立体音響CD "ATAK010 filmachine phonics"を発表。これらによって2007年度アルスエレクトロニカ・デジタルミュージック部門でHonorary mention受賞。2008年には毎年ベルリンで開催されている世界最大のテクノロジーアートのフェスティバルであるトランスメディアーレで filmachineの発表、及びコンサートを行う。また、国際交通安全学会の依頼により歩行者横断用信号の音楽の作曲も手がけ、銀座交差点で実道実験を行い大きな話題となった。2006年には東京大学、 2007年には東京芸術大学の非常勤講師を勤める。
●Pan Sonic
<http://www.phinnweb.org/panasonic/>
独自の音響作品を発表し続ける傍ら、世界各地の美術館でサウンドインスタレーションを発表、坂本龍一やビョークらともコラボレーションを行う、フィンランド出身のデュオ。1993年にフィンランド出身のミカ・ヴァイニオとイルポ・ヴァイサネンによって結成。PAN SONIC(当初はPANASONIC)は90年代初頭に端を発したテクノ以降の電子音響/エレクトロニックミュージックの新しい扉を開いた先駆者であり、その虚飾を徹底的に削ぎ落としたスタイルがその後のシーンに与えた影響は計り知れない。現在までに6枚のアルバムを英MUTEレーベルからリリースしている他、それぞれがソロ名義でTOUCH、mego、raster-notonから発表しており、坂本龍一、ビョーク、カールステン・ニコライ、スーサイドのアラン・ヴェガ、メルツバウらとのコラボレーションや数多くのリミックスワークでも知られている。特にビョークはミカ・ヴァイニオの大ファンであることを公言しており、アルバム「post」のリミックス「テレグラム」への参加が実現している。また、2004年に発表された4枚組の最新アルバム「Kesto」は2005年のアルスエレクトロニカ・デジタルミュージック部門で名誉賞を受賞。また、サウンドインスタレーションとしては Frequencies [Hz](フランクフルト・シルン美術ホール)、Migrateurs prject(パリ市立近代美術館)、sonic boom(ロンドンヘイワードギャラリー)、ミネアポリスウォーカー・アート・センター、シカゴ近代美術館、パリ・カルティエ財団美術館等、数多くの美術館で作品を発表している。
●刀根康尚
<http://variations.jp/main/02artist/YasunaoTone/index.html>
1935年東京生まれ。
1958年頃から即興演奏を始め、1960年に小杉武久、水野修孝、塩見允枝子らとともに即興演奏集団〈グループ・音楽〉を結成、以降、音楽と美術の境界を超える活動を行う。ハイレッドセンターや暗黒舞踏派などとコラボレーションを行う他、美術、音楽雑誌等に多くの文章を発表。また、一柳慧を通じてジョージ・マチューナスを知り、フルクサスに合流する。日本の前衛芸術および前衛音楽に大きな影響を残し、72年渡米。以降ニューヨークを拠点に活動し、ジョン・ケージやデイヴィッド・テュードアらとともに、フルクサス、マース・カニングハム舞踊団などのイヴェントにしばしば参加する。85年からはプリペアされたCDを用いたパフォーマンスを開始。90年代に入り作品がCDでリリースされるようになると、サウンド・アートやテクノ以降の電子音楽の文脈からも注目を集め、驚嘆をもって迎えられた。2001年に横浜トリエンナーレに出展、2002年には国際的なメディアアートの祭典「アルス・エレクトロニカ」においてデジタル・ミュージック部門の金賞を受賞している。代表的な作品に、万葉集四千五百首あまりを構成する漢字を全てデジタル化された画像で表現し、それを音声データとして出力させ「Wounded Man'yo」のシリーズなどがある。音声メディアとテクノロジーを対象化する理論的な考察に支えられ、恣意的な操作を排除する方法によって音楽の外部へと超越する刀根康尚の芸術は、自己充足した作品への批判であると同時に即興への批判でもあり、音楽そのものの破壊的再生となっている。
●evala [ATAK sound program]
<http://evala.org/> <http://port-label.jp/>
サウンドアーティスト。2004年にportを設立。先鋭的な電子音楽作品をリリースするほか、数々のサウンドデザインやサウンドプロダクトの開発などを多く手掛ける。2006年に発表した自身初のソロアルバム「initial」(port/2006)は、フィールドレコーディングされた音素材の徹底的に人工的なプロセスによる加工/編集によって作り出された強靭かつ繊細なサウンドが "日本の最前線を担う音響作"と評され大きな話題を呼んだ。またATAKにおいて、DVD「ATAK011 LIVE DVD ATAK NIGHT 3」(ATAK/2007)でのライブパフォーマンスが高い評価を得るほか、「filmachine in Berlin」(transmediale/2008)、「filmachine」(YCAM/2006)での立体音響プログラミングや、コンサートにおけるビジュアル・プログラミングなども担う。また2009年には待望のセカンドアルバムの発表が予定されている。
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