EVENTS

the ritual industrial order Vol.1

「the ritual industrial order vol.1 密儀と牛」

▪️イベントコンセプト

本イベント「the ritual industrial order 」は「日本におけるペイガン的儀式宗教音楽とインダストリアル・ミュージックの融合」をテーマに掲げ、記念すべき第一回となる今回は「密議と牛」という副題とフライヤーデザインからも分かるように、古代イラン地域における古代神ミトラス神を信仰するミトラ教のシンボル「牡牛を屠るミトラス像」が象徴する儀の本質と、2025年6月より現在も続くイラン・イスラエル戦争をはじめとした、それぞれが信仰する一神教への篤信を起源として勃発する戦争の所以を、歴史的・宗教的・地政学的な背景を踏まえ、さらにリチュアル・インダストリアルミュージックの持つ霊的神通力を回路として読み取り、善悪二元論に対するオルタナティブとして、ここ日本における一神教ではない多神教=ペイガン的儀式宗教音楽とインダストリアル・ミュージックを出演者が融合させて体現した折に顕現する現象を見届けるイベントである。

西アジア発祥の太陽神ミトラ=古代イラン地域における古代神ミトラス神を崇拝するミトラ教のシンボルである「牡牛を屠るミトラス像」は、ミトラス神が牡牛の背中に乗りかかって左膝をつき、右足で牡牛の後ろ脚を押さえつけ、左手で牡牛の鼻面をつかみ、右手は牡牛に剣を突き立てる、いわゆる聖牛供儀の場面を表しており、この図像は、豊穣や生命力の象徴である牡牛を屠る=解放することにより新たな繁栄と再生のサイクルを獲得し、最終的には人類を救済するという信仰を描写している。このミトラ教と大乗仏教における未来仏である弥勒菩薩に対する信仰とは、共にミトラと弥勒という名前の類似と、救済を求めるという性質から関連性を指摘する論が存在する。このような救済を希求するメシアニズムはユダヤ教をはじめとした世界各国の伝統宗教に存在するが、そのメシアニズムの最も醜悪な信仰例を終末論的な文脈で今まさに目の当たりにしているのが前述したイラン・イスラエル戦争およびイスラエルによるパレスチナ・ガザ侵攻が行われている今現在ではないだろうか。どういうことかというと、イスラエルにおける極右=宗教シオニスト党は2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃を、聖書の言うところの「ゴグとマゴグの戦い」と据え、イスラエルを根絶しようとする敵との戦いが勃発することでメシアが到来すると解釈しているのである。また宗教シオニスト党と同様の思想を持っているのがアメリカのキリスト教福音派であり、彼らはイスラエルのガザ侵攻を「神の計画を実行する契機になるもの」と見なし、アメリカの著名な牧師ジョン・ヘイギーは、「イスラエルが大規模な戦争に関与しているときは喜べ。救済が近づいた証しだ」とまで語り、終末を恐れるどころか待ち望んでいる始末である。
このような一神教的な文脈でのメシアニズムを「the ritual industrial order 」では良しとせず、そもそも救済という概念自体を一神教としての神=GODに求めることはない。本イベントではあくまでもペイガニズムそしてアニミズムとしての、其処彼処に在る身土不二的なカミを敬い、他者がそれぞれ持っているカミやスピリチュアリティを侵すことをしない。また他者の神聖に土足で踏み込むことで訪れるような類の救済を求めないと言う意味で、1970年代〜1980年代に花開いたノーフューチャーなパンク・ニューウェーブから派生したミュータントであるインダストリアル文化が提示した厭世観を軸にデフォルメされた世界観を踏襲し、世界はそもそも苦しみに満ちているという現実を普遍の現象として受け入れることを出発点とした上で、それぞれが内包するカミと共に在る潜在意識をペイガン的儀式宗教音楽とインダストリアル・ミュージックでもって霊的に揺り動かし、活性化させることを本イベントでは主眼に置く。

そういったコンセプトのもと、1980年から一貫して「工場の音を再現する」というコンセプトを堅持して硬質なビートを鳴らし続けてきたスペインの伝説的機械偏執狂ことEsplendor Geométricoの創始者Arturo Lanzは、コンセプトが先行して音楽性がおざなりになりがちなインダストリル・ミュージック界隈の中で、孤高とも言える高い音楽的純度を保ち、後進のインダストリアル・ハード・テクノアーティストへ多大な影響を与えてきたことは言うまでもなく、その反復する具体音は一般的な意味での音楽という範疇を逸脱し、現代における最もリアルな宗教音楽として、桜台poolに参集した聴衆を解脱へと誘う。さらに、音楽ライターの持田保が主宰する極東インダストリアル・ダンスミュージックコレクティブ「恐山Vibration」のパフォーマンスでは東北異教主義という全く新しい選択肢を掲げたペイガンダンスミュージックにより聴取者を霊場へと導き、現代美術家で高野山真言宗僧侶の羅入と、同じく現代美術家の石川雷太が主宰する密教系芸術集団「混沌の首」が執り行う儀式では、激しいインダストリアル・ノイズを媒介として真摯に祈り、根源へと向かう行者たちの霊力によって万物の境界線が曖昧になっていく様相が顕現するであろう。そして、地下音楽の探究者SilenceとBothis、そして突出した才能でアンダーグラウンドからアバブグラウンドを行き来する若き才能heykazmaの3人のDJが、文化的地殻変動ともいうべき、奇跡のラインナップが揃う本イベントに漆黒の花を手向ける。(文=山田 遼)

▪️日時

2025年8月9日(土)

▪️時間

開場 17:30

開演 18:00

▪️会場

pool

▪️会場住所

〒176-0002 東京都練馬区桜台1丁目7−7 シルバービル B2F

▪️入場料

ADV
¥3000yen

DOOR
¥3500yen

※ADV・DOOR共に入場時別途+¥500yen(1D)

▪️前売り券販売サイト

https://the-ritual-industria-order-vol1.peatix.com/

▪️出演者

⚫︎Live

混沌の首

恐山Vibration

Arturo Lanz(Esplendor Geométrico)

⚫︎DJ

Bothis(T.A.Z)

heykazma(yuu.ten)

Silence a.k.a.宇田川岳夫

▪️タイムテーブル

18:00〜18:50混沌の首

18:50〜19:20 DJ Bothis(T.A.Z)

19:20〜20:00恐山Vibration

20:00〜20:40 DJ heykazma(yuu.ten)

20:40〜21:30 Arturo Lanz(Esplendor Geométrico)

21:30〜22:00 DJ Silence a.k.a.宇田川岳夫