INTERVIEWS

ALEX BAU

1992年、18歳の時に友達のパーティでプレイしないか、って誘われたんだ。それは周りの友達の中でも1番レコードを持ってるから、というだけの理由だったんだけど(笑)レコードはそれ以前から沢山買ってたから。 その後はクラブでも頻繁に回すようになったよ。 当初はポップ、インデペンデント、ハードコアからテクノまでかけてたけど、93年からは完全にテクノだけにした。それ以降、クラブでレギュラーを持つようになったんだ。 最初は家の近所のクラブ「blue velvet」で、そして94年からは「libella」でレジデントをつとめたよ。「libella」は、80年代にdj Hellがここでdjキャリアをスタートさせたというエピソードもあって、ドイツ南東部では多くのクラブ・ピープルからリスペクトされている、長い歴史を持つ伝統的なクラブなんだ。 すごい影響を受けたのは、80、90年代のSynth Pop and Wave Sound、いわゆるNew Wave。
Tears for Fears、Camouflage、Joy Division、そしてやっぱりDepeche Mode! メンバーのMartin Goreは過去最高のソングライターだと思ってる。今でも彼らの音楽を車や家で聴いてるよ。
それとFront 242やNitzer Ebbと言った、EBM(Electric Body Music) にも、ものすごく大きな影響を受けた。実際、こういったサウンドがいわゆる『Techno』のファースト・ステップだったと思う。テクノについて言えば、90年代のフランクフルトから生まれた『eye q』や『harthouse』といったレーベルの音がいつも大好きだし、僕にはものすごく重要なんだ。 いまはホームタウンであるミュンヘンのSILO 1というクラブで、年に10回ぐらいレジデントとして回してる。その時はいつも雰囲気が良くてね。古い工業ビルなんだけど、本当にテクノが好きな人が集まるんだ。僕の大好きなクラブだよ。 SILO 1をチェック!(笑) うーん、90年代初頭のような良い時代は終わって、いまは毎週のようにいたるところでビッグ・パーティが開かれている。でも昨年頃からは、エレクトロニック・ミュージックが再び若い世代の人たちを惹きつけている。いたるところでレギュラーのクラブイベントが始まったんだ。だけど、不幸なことに、いつもハイ・クオリティなわけではないし、それぞれ差別化をはかっていない。メインストリームの音ばかりで、時にはどんな音を自分たちが聞いてるか、自覚さえしてない。クラブで、実際はテクノがプレイされてるのに、彼らは「エレクトロ」と呼ぶし… 「これはテクノだね」って聞いてみると、「違う違う、これはエレクトロ。テクノはあまり好きじゃないんだ。だってハードだろ…?」といった感じ。おかしいけど、本当の事なんだ。 それは答えるのが難しい!素晴らしいdjは沢山いるからね。Underworldのliveはステージ、雰囲気、そして完璧な音楽と、いつも最高だよ。Djは特定の人はいないけど、有名無名を問わず自分のスタイルを持ち、音に姿勢が顕われている人が好き。 時によって変わるけど、色んなスタイルのテクノが好きだよ。だからちょっとしか名前を出せないのは残念だけど、たとえば The AdventやTony Rohrのような、何年にも渡って素晴らしい音を世に送り出しているプロデューサーとか。もちろん、若手の良いプロデューサーも沢山いるけどね。自分のトレードマークとなるような、独自のスタイルを持ったプロデューサーには敬意を払いたいと思っている。 今年一番のお気に入りは Dee Green aka FDK の"City Lights"。これまで彼の名前を聞いたことはなかったんだけど、今後もこんな感じの曲をもっと出して欲しい。あとRadio Slaveはいつも良いトラックをリリースするね。Percもハード目な感じが好き。Adventは最近、とても新しいスタイルの印象的なトラックを出してる。 ただ、さっきも言ったけど、世の中には沢山の良い曲が、沢山の良いプロデューサーによって作られてるよ… 10年前の1998年に、Sven Dedekと一緒に始めたんだ。02年まで一緒に制作してた。
最初はSvenのアナログ・スタジオでやってたんだ。彼はほとんど全ての機材を揃えてて。シンセ、エフェクトマシンに、もちろんroland 303, 808, 909。でも2000年頃からデジタル・プロダクション、つまりLogicに変更したんだ。Logicは今でも僕のお気に入りのシステム。 Svenからスタジオで沢山の事を学ばせてもらった。でも、楽曲制作は常に挑戦だし、自分で勉強するものだと思う。と言っても、基本は完全にSvenから勉強した。彼はスタジオのマスターだよ! アイデアと忍耐。時にはすぐ出来る時もある。2,3時間以内とか。でも時にすごい時間を費やすこともある。ハッキリとしたルールなんてないし、本当に曲を作りたいと思わないと出来ないし、「よし、ライブを増やすために曲を作るぞ」なんて事じゃダメ。それは間違ってる。僕はいつも、自分の曲がどんな曲になるか、クリアなビジョンを持っていて、それを現実の音にする作業を毎日やってるんだ。でも、最終地点に到達するにはまだまだ先は長いけど(笑) いくつかのレーベルでリリースしたあと、自分たちが思い描く"クラシック・テクノ"を作ることが出来るプラットフォームが欲しかったんだ。それが、2000年にSven Dedekと始めた最初のレーベル『Tneman』。しばらくして自分が他のレーベルからもリリースするようになり、音の方向性もすこしずつ変化していったので、Svenが『Tneman』を運営する事に。その後、Chris Liebingのレーベル『CLR』や『ZENIT』から相当数のリリースをかさね、自身のレーベル『Credo』を立ち上げたんだ。 『Credo』は僕自身のアーティスト・レーベルだから、所属は自分だけ。来年にはremixをやるサブ・レーベルを立ち上げようと思ってる。『Toneman』には、Chris Liebing、Pascal Feos、Advent、dj Rush、Matt French、Multitude、ほか沢山のアーティストが所属してた。僕には、常にアーティストたちと繋がりを持つことが大事なんだ。同じ価値観を持ち、音楽に対して同じ理解が出来る人達と一緒に仕事をしたい。そして幸運な事に、そういう人たちといつもめぐりあってきてる。 『dmom』から2曲ちょうどリリースされるのと、09年初めには『credo』から2枚の12インチを出す予定。1枚は"Method Track"、もう1枚は"Red label"で赤いカラー・バイナルになる予定だよ。あとTechnasiaのレーベル『sino』からも09年初めに12インチをリリースする予定。09年は次のアルバムも制作開始したい、と思ってるんだ。 日本に行くのは大好きだよ。前回はすごい良かったし、沢山のクレイジー・テクノヘッズと再会したい。自分に正直に、そして何が好きで何が好きでないか、自分の声に耳を傾けて。自分が何を好きになるべきか、なんて他の人に言わせてはいけない! 君が従うべき唯一の声は…
http://www.alexbau.de (笑)