INTERVIEWS

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そういってもらってうれしいよ。このアルバムは、意図的に何かポップなものを作ろうと思ってやったわけではなくて、ただ...自分たちが今まで受けてきた音楽的影響をこの作品から感じ取ってもらえるようなものにしたかったんだ。すごくアメリカンなアルバムを作りたかった。俺たちってラップやR&Bをすごく聴いて育ってきたわけだけど、それは北米に住んでいれば避けて通れないことなんだ。アメリカにおいてはそういう音楽がポップ・ミュージックだからね。で、おそらく他の国でもそういう状況だっていえると思うんだけど。だから今回のアルバムはそういった俺たちが受けてきた音楽的影響を反映したものにしたかったんだ。そういう意味でより作りやすかったといえるね。最終的には満足できる作品ができたと思うよ。 今回は、単なるダンス・トラックっていうよりも“曲”を作るってことを意識したね。ちゃんとした“曲”っていうものを作ることに重きを置いた。前のアルバムと比べて今回の曲はみんなかなり短くなってるんだ。それに今回はいろんなヴォーカリストを入れてレコーディングした。で、前作ではヴォーカル・パートではヴォコーダーを使ったりしたんだけど、今回はサンプリングとかでやるんじゃなくて本当にちゃんとヴォーカリストの人たちを入れてレコーディングして、本当の“曲”を作るってことをやったんだ。彼らといっしょに仕事をして、いっしょに曲を作り出すっていう方が今回はいいだろうってことでやったのさ。 う~ん、前の『The Looks』を作ってから長い時間が経って、俺たち自身にいろんな変化があったってことかな。いろんな意味でね。だから...そういう風に変わったっていうのは、自然な進化だと思うよ。 うんそうだね、今回のアルバムのポイントのひとつとして、いろんなことを試してみるっていうこともあったんだ。いろんな違った要素をひとつに合わせてみて、どういう風になるかを見てみるっていうことをやってみた。出来上がったものに対して自分たちがどう感じるかっていうことも含めてね。だからやってる最中はいったいどういう結果になるか自分たちでも予想できなかったよ。作ってる最中はもしかしたら失敗に終わるかもなぁって思ったりもしてたし。そういうアイデアはうまくいかないかもって思ったりね。でも結局、最終的にはうまくいったみたいだね(笑)。 うん、今回いっしょにレコーディングをやれてすごく楽しかったよ。スタジオでは毎回(いっしょにやったアーティストが)「マスタークラフト!マスタークラフト!」って掛け声で盛り上げてくれたりね。彼らは俺のヒーローだったからすごくうれしかったよ。クールだったね。コラボレーションできてうれしかったし、すごくやりがいがあったよ。 そうだなぁ...N.O.R.E.といっしょに「バウンス」をレコーディングしたときの話なんだけどさ、あの曲はフロリダでレコーディングしたんだ。で、そのレコーディングをしたスタジオっていうのが、もう“超ゲットー”なスタジオだったんだよ(笑)。例えば、俺たちがスタジオでヴォーカル録りをしていると、スタジオの同じ建物内の別の部屋でポーカー・ゲームが繰り広げられてて、すごい人数の人たちが参加してるんだ。で、みんな実際にお金をかけてて、そこら中に銃が置いてあったりしてさ(笑)。そういう環境の中、俺たちは別の部屋でレコーディングしてたってわけさ。かなりおもしろい状況だったよ。 今回アルバムに入ってる曲の中にはアグレッシブなサウンドのものが結構あって...激しいサウンドの曲は、それを延々と長いものにするっていうのはあまり賢明なことではないって俺は思うんだよね。例えば、デス・メタルの曲で8分とかの長さのものを、延々と聴きたいとはあまり思わないだろ?まぁ中にはそういう趣味の人もいるかもしれないけど、俺はあまりそうは思わないんだ。退屈になっちゃうからね。あまり長くなると曲のインパクトがなくなっちゃうからね。 うん、ある程度は関係あると思うよ。みんなどんどん我慢することをしなくなってきてるからね。今って、聞いてる人の関心を捉えるために(アーティスト側が)与えられるのは、ほんの少しの瞬間だけっていう状況になってると思うんだ。人の関心がすぐ他に行っちゃうからね。だからそういう意味で、あまり聞き手に負担にならないようにっていう意識は自分たちにもあるかもね。あまり長いものを作って聞き手をうんざりさせないように、みたいな。それと、あとはやっぱりありきたりのダンス・アレンジで延々曲が続く、みたいなものを作りたくなかったっていうのもあるよね。さっさと盛り上がりの部分に行くような曲を入れたかったんだ。 もし、何か曲のアイデアが自分の中にすでにある場合は、それを曲の形にしていくのは今の俺にとってすごく簡単なことなんだ。年を重ねていくと、楽器をプレイするにあたっての肉体的な制限というものがどんどん少なくなってくる。だから何かアイデアがある場合は、どんどん(年数が経つにつれ)簡単になってくるんだ。そういうことだと思うよ。曲の形にすることがより簡単になるってことだね。だからこれも自然な成長のひとつだといえると思う。俺たちのやってることは、すべてすごく自然にやってることだしね。そういう意味で、自然な流れだっていえると思うよ。 うーん...俺たちはDJをすごくいっぱいやってきてて、そういうDJをやってる時ってつねにできる限りその場をエキサイティングなものにしようと思って俺たちはやってるんだ。だからそういうDJをやってるときのエネルギーのレベルがそのまま作品に表れてるってことじゃないかな。今の俺とAL-PがどういうことをDJとしてやってて、何が好きなのかっていうことがある意味反映されたのがこの作品だと思うよ。 まず、ありがとう!っていいたいね(笑)。実際、僕らがやっていることが今いってくれたようなことだといいよね。俺たちはただ単に自分たちが楽しいと思ったことをやってるだけだからさ。だから、その過程の中でそういったことが実現できてるとしたらすごくうれしいことだよね。 今までに作られたシンセサイザーの中で一番大きなシンセサイザーっていうのがフィラデルフィアにあるっていう話を知って...もう現存はしないんだけど、大きさとしては部屋ひと部屋を埋めるくらいの大きさだったらしい。そのシンセサイザーがFist of Godっていう名前だったんだ。で、それがすごい面白い名前だって思ったんだよね。だって、Fist of Godってある種エレガントな名前なんだけど、でもその一方で今まで作られた中で最大の大きさのもので...巨大なこぶしって!って思ってさ。巨大で目には見えないこぶしだからね。で、まず自分たちの曲に「Fist of God」っていう名前をつけて、そのあとこのアルバムをどういうタイトルにしようかって考えてたときに、その曲の名前をアルバム・タイトルにしようって思ったんだ。なぜなら全体的に俺たちがこのアルバムでやろうとしていたことをすごく表している言葉だったからね。ある種、このアルバム自体がすごくインパクトの大きい攻撃だっていう意味でね。 うーん、ここ3年間で進化してきたのと同じようにまたこれからも進化していくんだと思うよ。すごく自然な形でね。音楽が進化していくのと同じように音楽シーンもまた自然に進化していくと思う。聞き手が何を欲していて、何を考えているのかということを反映しながら、また進化し続けていくんだと思う。おそらく今あるエレクトロ・ミュージックのシーンっていうのは二手にわかれて、ひとつはすごくアグレッシブな方向に進んでいって、もうひとつの方はよりトラディショナルなテクノとかダンス・ミュージックみたいな方向に行くんじゃないかと思う。俺たちがこれからどういう方向に進んでいくかっていうのはもちろんすでにプランはあるけど、まだ秘密だね。誰も俺たちより先に俺たちがやろうとしてることをできないようにね(笑)。 俺たちがこのアルバムを作ったのは...このアルバムを作り始めたとき、誰も他にエレクトロ・ラップ/R&Bのアルバムを作ってなかったんだ。俺たちと同じようなやり方でそういう作品を作った人は今までいなかったと思う。俺たちがやっていることっていうのは...音楽がどこに向かっていこうとしているのかをつねに考えて、それに応じて音楽を作ることなんだ。俺たちはつねに自分たちが進んでいく方向というものを見据えて、そこに向かって進んでいるんだ。だから聞き手のみんなも俺たちの進んでいく方向についてきてくれて、いっしょに楽しんでくれたらうれしいと思ってる。俺たちはつねに未来を見据えて音楽を作っているんだ。つねに2年先を見据えて音楽を作っているのさ。