INTERVIEWS

CAPTAIN FUNK

前2作『HEAVY METAL』『HEAVY MELLOW』を制作した時点で、レーベルの将来像としては『HEAVY MELLOW』寄りのものを中心に据えていこうと考えていました。実際国内外含めたリスナーの皆さんの反応として"Hey Boy, Hey Girl" や"Call On Me"の様な楽曲を気に入ってくれることが多かったし、自分としても第二期Captain Funkの軸になる楽曲だと感じました。ですので、今回もメロディのはっきりした曲、ディスコファンク色の強い曲をフィーチャーしていきたいという思いはありましたね。

あと、本格的な制作を今年の2、3月辺りから始めたのですが、リリース時期が夏になりそうだと思ったので、今回は思い切り夏向けなテーマに振り切ってアルバムを作るのも面白いかもと思いました。 そうです。時間帯とか場所を想像しながらアルバムを作ったことはありますが、季節を意識したのは初めてですね。 今回のアルバムに限らず、自分が作る作品、特にモデル・エレクトロニックからリリースする音に関しては、ダンスミュージックの中でも「耐久性のある音」を作ることを念頭に置いています。

耐久性があるないは、各リスナー、各クリエイターにとってもちろん様々だと思います。ただそれぞれの人が持っている音に対する先天的な感覚とか、長きに渡って形成された骨格みたいなものは変わらないはずなので、そこを自分なりに素直に表現する事が自分にとって耐久性のあるプロダクションなんだろうなと考えています。「責任の取れる音」と言ってもいいかも知れませんね。

"SUNSHINE"ではその辺りに加えて、今のダンスミュージックとしても耐えられる音圧とかビート感、そして夏っぽい爽快で乾いた感じの音作りを心がけました。 普遍性といっても、ありきたりの手法を真似るとか既に流行っているものをダメ押しするというアプローチではなくて、もっと本質的な、「人間が本来持っている音への感じ方って何だろう」みたいな原点を忘れずに、音楽制作するように心がけてはいます。国や時代が多少変わっても耐えていける音楽というか。

ダンスミュージックであっても、どんなにアレンジを変えてもブリーピーなシンセリフを入れても誤魔化しようのない、メロディ、ハーモニー、リズムの骨格をきちんと押さえるというのが大事なのかなと思いますし、もっと実験的な作品を作る場合でも、「人が音に対して普遍的に感じる部分」を外さないように考えて作るようにしています。

そこを意図的に外すことでアヴァンギャルドな感じを出したり、エッジの立った音楽の様に見せることは出来るとは思いますが、それだと数年の間目新しく捉えられるだけで、耐久しない音楽になってしまうんですよね。 M2「WEEKEND」,M5「PIECE OF YOU」、M7「SUNSHINE」、M12「SUMMER NIGHTS」ですね。 彼とはmyspaceで出会って以来数年の付き合いです。まだ20代後半で若いのですが、音楽一家に育ち、ヴォーカルから各楽器まで普通にこなせるマルチプレイヤーです。

「WEEKEND」は転調が多くてキーも割と高いので、なかなか歌いこなせる人がいなかった曲です。実は僕が日本語で歌っているバージョンなんかもあるんですよ(笑)。2曲とも、Adnanの持つフィーリングがとても曲にマッチしていて、歌ってもらって本当に良かったと思っています。 そうです、Meri Neeserは前回「Hey Boy, Hey Girl」でバッチリだったのでお願いしました。今回はパリで遠隔レコーディングでしたが、これもスムーズに完成しました。

彼女の声質や歌い方にはブラックミュージック的なフエイクがないところが良いと思っています。ディーヴァ系の歌唱法を身につけている人だと、かなりイメージが変わってしまいますからね。 そうですね。実はこの曲は「HEAVY METAL」制作時にスケッチは作っていたんですが、今回"SUNSHINE"のコンセプトを考えている間に内容が固まってきた曲です。

ダンスにロックアレンジを持ち込むというのは、Captain Funkに限らず色々な人がやっているアプローチですが、こういったカリフォルニア的な乾いた感じでダンスミュージックを作っている人は案外少ないと思います。その辺りのスタンスは"Home Sweet Home"や"Songs of the Siren"から変わっていないですね。 こういった雰囲気の曲を作ってみようと思ったのは、今年の頭に立ち上げたPLAYMODELというプロジェクトの影響が大きいですね。PLAYMODELとして楽曲を作っていくうちに、Captain Funk名義だったらこういうアレンジにしようかなとか、相互にアイデアが生まれて行きました。PLAYMODELはもう少しジャズっぽいコード進行なども使った「玄人好み」な風情もありますが、Captain Funkに関してはもっとストレートな部分を残していたいと思っています。 これも先ほどの「耐久性」の話と繋がりますが、モデル・エレクトロニックでのリリースは、音だけでなくアートワークも含めてプロダクト作り全体に一貫性を持たせて行く事で、皆さんに長く付き合って頂けるようなレーベルに育てていければと考えているんですね。

第一期のCF作品では毎回アートワークのコンセプトやトーンもがらりと変えていましたが、自分のレーベルではそういったクリエイティブ・コントロールも非常に大事な要素だと考えています。 今回"Hey Boy, Hey Girl"のリミックスでも登場したPLAYMODELの制作を行いつつ、ライセンスなど海外とのやり取りに時間を当てます。モデル・エレクトロニックとしては、次はPLAYMODELのリリースになるかも知れませんね。

PLAYMODEL
http://www.myspace.com/playmodel

あと、第一期 Captain Funk のリイシュー(再編集&再発)を行う予定があるので、どういったひねりを加えて皆さんに過去音源をお届けできるか楽しみにしていて下さい。これらのリリース、準備作業が整った段階で、レーベル主導で何らかライブ&パーティーが出来ればいいなと思っています。この辺りの動向、最新情報はオフィシャルサイトにアップしていきますので、そちらもチェックしてみて下さい。

オフィシャルサイト
http://www.tatsuyaoe.com