INTERVIEWS

MASANORI MORITA × HIDEO KOBAYASHI

MASANORI MORITA(以下MM):都内唯一のレギュラーパーティーだった『MUSeUM』が、YELLOWの閉店に伴い終幕し、そこからYELLOWの復活待ちみたいな期間がありつつも、1年以上経ってしまって。そろそろ新しいパーティを立ち上げないとなぁ、と考えていたタイミングで幸いにも我がレーベルApt. Internationalにヒデオさんが加わったんです。そこから“日本が世界に発信し展開できるイベント”を立ち上げようというアイデアが広がって。ヒデオさんと目指しているラインや思惑も一致したんで、じゃあ『SEASONS』というイベントをスタートさせよう、って話に至ったんです。

HIDEO KOBAYASHI(以下HK):私もYELLOWでのレギュラーパーティー『SPiN』が終了して1年経っていて。レギュラーが無い期間も充電期間として悪くなかったし、その間にアルバムの制作やツアーも回ることもできたんだけど、森田君をはじめNEW WORLD RECORDSとの絆も深まり、一緒にパーティーを作っていくことが自然な流れとして浮上してきた。だから何の迷いもなく“やりましょう!”と。 MM:実は共演は二度ぐらいしかなかったりするんですよね?それも今年、ヒデオさんの1stアルバム『ZERO』のリリースパーティー(東京と福岡)で。正直、DJの共通点ってあまりないかもしれませんね。

HK:あえて挙げるなら、森田君のファンが私のプレイを聴いても楽しめて、その逆もあるという事じゃないかな。二人のプレイの共通点を探すのは難しいけど、同じ空間に存在できる不思議さが面白いんじゃないかと思います。異種格闘技戦というかね。

MM:たしかに。共通点の無さが逆に良かったりしますからね。同じようなプレイをするDJと一緒にやっても面白くないですからね。あの『ZERO』を作り上げたアーティストがどういうプレイをするか、実際に現場で体感してほしいですね。 HK:いられる場所”がたくさんあると思いました。ウロウロできる(笑)。これ、実は大切だと思うんです。立地も新鮮だし、店内も日本っぽくない。アイデア次第でいろいろな空気感を醸し出せるポテンシャルもあるんじゃないかな。これからのホーム・グラウンドとして最高だと思っています。

MM:社長であるタロウちゃんを筆頭に、いつも良くしてくれるスタッフが沢山いますしね。WAREHOUSEでこのパーティーを開催できることをとても嬉しく思ってます。 HK:今年に入ってからTRAKTORに切り替えて、そこに将来性と創造性をすごく感じています。あとはまず自分が楽しむこと、お客さんの目を見ること、踊らせること、そしてオリジナリティの飽くなき探求、かな。

MM:僕はワイルドさ!ですかね(笑) MM:Jimpsterの”Sleeper (Just the Kind of Girl)”です。音の空間が素晴らしい。

HK:私はRocha & LewingerのLost In Amazonia(King Roc Remix)ですね。Greyhoundあたりのファンも楽しめるディープさと音色のセンスが好きです。あとはMartin EyererとBenno BlomeのPianoroll(Audiofly Twinkle Edit)。ラフなトラックですがRhodesの歪み方が最高で。ありそうでなかった感じというか。 MM:手前味噌ながら、先日開催した『WORLD MUSeUM 09』かな。年に一度の自分達へのご褒美なので。なかなかあんなに予算をかけて、LIVEをやらせてもらえないですからね。今年のageHaの動員記録だったみたいで。思う存分楽しみましたね。

HK:DJとしては今年Satoshi Fumiと行ったウクライナの野外パーティーですね。客として観たなかでは去年ベルリンのPanorama Barで体験した『Secret sundaze』が一番でしたね。 MM:今の日本のクラブシーンは過渡期の真っ直中だと思っています。日本独自のものながらも、ハウスブームみたいなものができて、クラブミュージックの存在が以前よりもアンダーグラウンドではなくなってきた反面、本来拘わらなければいけないダンスミュージックとはかけ離れたものも蔓延してしまっている日本が本当に残念で。もちろんセールスも大切ですが、それ以上に大切な事を忘れている。いや、そこにはあえて触れていないんでしょう。そんな状況の中、今回の試みがどういう結末を得るかわかりませんが、自分達やApt. Internationalのアーティストが今の日本のシーンを変えなければいけないと常に感じています。

HK:たしかにこの過渡期は大切ですね。市民権を得たこの音楽を食い物にして潰してはいけない。この過渡期にこそ本物の音楽を浸透させていきたいという使命感に駆られていることは、森田君との共通な見解ですね。そのためのこのパーティーですから。また、カチカチに凝り固まったこの業界の肩をほぐすという意味でも、作品やブログ、インタビューを通していろいろな提案をしていきたいと思っています。 MM:とりあえず8月28日に1回目を迎えますが、次回12月の開催で良い流れを作り、来年からは海外でも開催したいですね。

HK:野外バージョンや船上バージョンも是非やりましょう!よろしくお願いします。

MM:お手柔らかに宜しくお願いします(笑)