瀧澤賢太郎(以下_瀧澤):確か、共通の知人のイベントだったよね?人から紹介してもらったのが最初だったっけ。
栗原暁 (以下_栗原):そうだったよね。あ、思い出した。それで、より仲良くなったのが、一緒に出演したLIVEの打ち上げだ。
久保田真悟(以下_久保田):そうだ!あの時、めちゃめちゃ酔っぱらってたよね。面白かったよね。
瀧澤:そうだ、伝説の乾杯でジョッキが割れた日ですよ。(笑) それで、一緒にDJとか会う機会が増えて、仲良くなったって感じですよね。
栗原:僕らもDJ出演やライブイベントが増えて、瀧澤君と会う機会が増えたんですよね。
栗原:瀧澤君は、古き良きハウスと今のハウスをちゃんと知ってる人だなって思う。ハウスミュージックの根っこをちゃんと感じるというか、ハウス魂を感じるというか。正に"BIG ROOM"ですよ(笑)
久保田:そうだね、(栗原)暁が言ってた事とほとんど一緒になっちゃうけど、瀧澤君は、昔からのハウスをきちんと聞いてる人だと思う。その辺は、僕とは全然違う。僕が知らない部分を、沢山知ってる人だと思う。ちゃんと腰がすわってる感じ。
瀧澤:僕になくて、「Jazzin'park」にあるものって言ったら、色彩豊かな楽曲性ですね。"ハウス"とか、っていうんじゃなくて、もっと本質的なこと。ある意味、Jazzin'parkには、ジャンルはどうでも良いというか。彼らの曲は、ぱっと聞いたら一瞬で「Jazzin'park」の曲と解るし、なおかつ自分たちで歌っている。そこが絶対的な、僕との立ち位置の違いだと思うんです。
僕は、ハウストラックを作るけど、Jazzin'parkは、ハウスだけに捕われない楽曲を作っている。良い曲を純粋に作り続けていると思うんです。1つ前のアルバムの、バラードとか凄い好き。あのざらついた感じとか。色彩豊かで、オタナティヴな楽曲を発信している人達だなと思いますね。
瀧澤:ロケーションと音楽って、切っても切れないものだと思うんですよね。この風景で、こういう音楽を聴きたいっていうのは、しょっちゅう感じることですからね。昨日も新幹線から見えた田んぼを見つめながら、ジャングル聞いてたらアガった、とか(笑)
栗原&久保田:(笑)
瀧澤:絵を見てぱっと音が鳴るっていうのは、日常的にあることだから、今回の"BEACH"の選曲にはやりがいを感じました。そういえば、(久保田)真悟さんは。良く海に行きますよね。海に行ってサーフィンやってギター弾いてって....ジャックジョンソンみたいじゃないですか!(笑)
久保田:そんなことないよ。(笑) まあ、でも海に行く時には、車でよく音楽を聴きますよね。やっぱり、都会に行く時と、海に行く時だと聴いてる音楽は違いますよね。なんだろうなあ、昔良く海で聴いていたような曲は、そういう"記憶"があるから、海に行く時には"海に行くイメージ"が自分の中にあって、無性にまた聴きたくなるしね。
栗原:恐らく人によって"海の音楽"のイメージって、人それぞれだと思うんですよ。それがレゲエの人もいるし、ロックの人もいるし、ハウスの人もいるし。いろんな時間帯に、いろんな海の景色があると思う。だから、今回のコンピは、どのジャンルっていうより、午前中に海に行くところからはじまって、暑い日中があってだんだん夕暮れに向かって行く、そんな海のゆったりとした"流れ"の感じをコンパイルした感じですね。いろんな時間帯のそれぞれの音、っていう感じですね。
瀧澤:僕は、そのJazzin'parkの"Day"の流れを受けて、"Night"っていうテーマだったんで、夜のBEACH PARTY"っていう、PARTYっていう時間に特化して選曲したって感じですね。なので、BEACH PARTY=ハウスという形で、あえてハウスに的を絞りました。
今回ビーチとハウスっていうと、アメリカの西海岸っぽさ。僕にとっては、Naked Music的なイメージだったので、ちょっと浮遊感のあるハウシーなトラックで、なおかつ自分でもDJプレイしたい曲っていうところで選曲しました。
後は、やっぱりエロ!(笑)ナンパっすね(笑)夏で、ビーチで、パーティで、って言ったら、男女間の熱い恋じゃないですか。一夜の恋だっていいじゃん。みたいな(笑)
栗原:そうだよね(笑)
栗原:さっき言ったことと重複するんですが、今回はあまり実際のDJプレイとかは、気にしていないです。海に行く時の車の中なり、海に居る時なりっていうシチュエーションの方を重視したので、ダンスフロアにむけてっていう感じでは無いですね。ただ、夕暮れになるにつれて"PARTY"に行きたくなるような曲は意識して収録しました。暑い夏の"Paradise Beach"から瀧澤君の"BEACH PARTY"に行くみたいな。
瀧澤:今回、僕はJazzin'parkからバトンを受け取るような気持ちで選曲しましたね。
栗原:僕らも、そういうつもりでバトン渡しましたね。「夜、なう」みたいな(笑)
瀧澤:「夜、なう」みたいな(笑)。僕は、今回に関してDJと選曲は、ほぼ一緒ですね。例えばもし僕が、Jazzin'parkがやった"Paradise Beach"っていうテーマをもらったら、Jazzin'parkが今回選曲したことと同じことを考えると思うんですよ。今回は、たまたま"BEACH PARTY"っていうテーマだったので、普段のDJの気分を反映させられたっていう感じです。
栗原:やっぱり自分たちが書いたメロディーをそのままを歌ってもらうだけじゃなくて、自分たちとは全然ちがった感覚で、ヴォーカルのテイクとかコーラスを戻してくるから、それは凄く刺激になるというか。単純に自分が思いもよらないヴォーカルが戻ってくるのが楽しいっていうこともあって海外のヴォーカリストに頼みました。本当に根本的な発想が違うしね。
久保田:ヴォーカルを録音する際のディレクションも恐らく全然違うし。日本人とは全然発想が違う。もちろん日本人が歌う良さもありますけどね。より日本人が聞きやすい歌になる、とか。今回は、ソウルフルにしたかったっていうのもあって、海外ヴォーカリストの方が相性が良いなと思って。
瀧澤:僕は、アルバム"BIG ROOM"をリリースしてみて、海外ヴォーカリストの説得力というか、本場のハウスディーヴァに歌ってもらう"圧倒的な意味の違い"みたいなものを感じたんですよね。今回は、コンピレイションでしたけど、Francfranc presentsのCDということで、より幅広い人に聴いてもらえる1枚なだけに、僕の考える"リアルなハウス"が、いろんな人に伝わるといいなと思って海外ヴォーカリストにお願いしました。
アルバムでは、"Keep Love Together"っていうカヴァー曲を制作もしたんですけど、そのときは、元曲が海外のものだったので、日本人にしか出来ないハウスをやろうって思ったんですけどね。本場の人にしか出来ないハウスもあれば、日本人にしか出来ないハウスもあるってそう思ってます。
栗原:日本人が歌うハウスの良さっていうのもあるよね、確実に。
栗原:なんでしたっけ(笑)
瀧澤:なんでしたっけ(笑)
栗原:諸先輩方が、ずっと作ってきてくださったシーンの"流れ"って確実にあって、その流れをちゃんと受け止めて僕らの世代でも新しい流れを作れたらって思ったのはありますね。
瀧澤:自分のスタンスで話すと、僕は若い頃から日本のレジェンドと呼ばれる人達からずっとお世話になってきたんです。ハウスだったら、NORIさんや、福富幸宏さん、高宮永徹さん、あと、ジャズだったら沖野修也さん&好洋さんといったKyoto Jazz Massiveさんとか。いろんな人にお世話になって、いざCDを出してDJする立場に立った時、自分に出来ることってなんだろうって思ったら、僕の大好きなハウスの良さを自分の立ち位置から、より新しくて若いお客さんに伝えて行きたいって思ったんですよね。
栗原&久保田:そうだよね。
栗原:僕たちの世代でやらなきゃいけないことがあるって思うよね。
瀧澤:無駄なものが減ってきた気はします。無駄って言い切っちゃうと、また語弊はあるんですけど(笑)。少しづつですがフロアも購買層も音楽として良いものだけしか反応しなくなってる気がする。DJやってても思うんですけど、ちょっとこれお客さんにウケるからプレイしようみたいな、よこしまな気持ちでDJすると本当にずっこける。それよりは、自分の好きな曲を信じ抜いて"これならイケる!"って曲をプレイするほうが、伝わるものがあるっていう気がします。そういう意味で、ブームが一段落してお客さんの耳が肥えてきた気はしますね。
栗原:僕が思うのは、クラブ自体のハコの性質が変わってきた気がします。ハウスブームみたいなものがあったおかげで、ラウンジ的なところから、いわゆるクラブまで"普通の人が行けるクラブ"は、すごく増えましたよね。それはすごく良かった気がしています。
瀧澤:そうだよね、間口が広くなったことはすごく良かったことだと僕も思いますね。今まで、クラブとか知らなかった人にも、伝わった部分ってすごくあるしね。ただ、間口が広がった分の難しさもありますよね。雑多な部分も増えたというか。だからこそ沢山広がったお客さんに対して、丁寧に僕らが良いと思う音楽をきちんと伝えていかないとって思う部分もあります。消費される音楽だけ垂れ流していたら、シーンは5年で終わるなって本当に思うんです。
栗原:なるほどね。僕は、DJプレイに関しては、敢えてその場の雰囲気にあわせていくタイプかもしれない。初めてクラブに遊びに来てくれているお客さん達を、まずちゃんと楽しませることが個人的には一番大切というか。もちろん、自分が良いと思っているプレイしたい曲をプレイしますけどね。ただ、シーンの間口が広い分、自分の選曲も間口を広げる必要があるなってすごく思います。だからこそ、音もDJもそうだけど、僕は、昔からクラブシーンやハウスのルーツを知ってて、日本のハウスの流れを脈々と受け継いでいる瀧澤君と一緒にやりたいって思うんですよ。ある意味、僕らJazzin'parkと瀧澤君って、タイプが全然違う同士だからこそ、一緒にプレイして、自分達に無い部分でお互いが響き合える気がするんです。
瀧澤:SとMの関係ですかね(笑)。だからこそというか最近、旧譜もプレイするようにしてます。昔から、旧譜はプレイしていますけど、なんだろう....。BIG ROOM TOURが終わってから、それはそれで、なんか綺麗にまとまっちゃったんですよ。"BIG ROOMセット"みたいな。でも、そこでツアーが終わった瞬間にDJプレイとしては、ものすごく物足りなくなってしまって。もっと幅広い音楽をプレイしたいなって。単純にもっと上手くてカッコイイDJになりたいなって思って。フランソワKや、Toshiyuki Gotoさんや、EMMAさんや、長谷川賢司さんみたいに、これぞハウスDJだ!みたいな人になりたいって。
栗原:なりたいDJ、っていう意味では、僕はその場の雰囲気をきちんと理解してプレイできる人を見ると、素人の人だろうがなんだろうが、この人は凄いなって思うんです。なんというか、プレイ時間の意味をきちんと理解出来ている人は、DJだなって思うんです。
瀧澤:確かに!オープントゥーラストのセットとかプレイすると、"その場の雰囲気を理解する"っていう意味が身にしみたりしますね。普段のDJにいかに無駄が多いかとか気づいたり。EQって、本当に必要な時にしかいらないなとか。大きな波を一晩で作り切らないとダメだし、いかに自分のプレイが客観的にみられるかって凄く大切ですよね。
栗原:僕も、オープントゥーラストとかプレイしてみたいですよね。最近のパーティーは、DJの持ち時間少ないもんね。
瀧澤:(栗原)暁君、絶対やった方がいいよ!(久保田)真悟さんはDJどうですか?
久保田:みんなの話を聴いたり、見たりしていると、DJはやってみたいな.....とは思いますよね。
栗原:だって、フロアが盛り上がっている時に絶対、真悟君ブース入ってくるもんね(笑)。
久保田:僕も、自分が好きな曲を沢山の人に聴いて欲しい、っていう願望はすごく強くあるよ。でもね、そんな浅はかな考えで、DJってやっちゃダメだなとも思うことがある。DJの技術がどうとかじゃなくて、性格的にDJに向いている人、向いていない人っていると思うな。僕はDJに向いていない気がする(笑)。一晩の流れで聴かすというより、LIVEみたいに1曲1曲を丁寧に聴かせる方が向いているかもなあ。
瀧澤:シーンの差っていうのは、間違いなくありますよね。差っていうと語弊があるけど、それぞれの"違い"ですよね。それは、東京対その他の都市っていうより、東京も札幌も、名古屋も、大阪も神戸も、福岡も....その土地土地の独自の良さや、特徴があると思う。
栗原:その土地土地で好まれる音や曲も全然違うしね。
瀧澤:あとはお客さんの楽しみ方とかも違うよね。
栗原:自分の感覚からフロアを見てて、たまにお客さん今日は楽しんでないのかなあって、不安に思う事もあるんです。それで、お客さんに聴いてみると意外に楽しんでたりとか。
瀧澤:あるよね。 極端に言ったら、今東京が一番元気無い気もする。東京以外のお客さんの方が、より音やパーティーを楽しもうとする気がするし、耳も素直だよね。最近僕は、ASOBISYSTEMのパーティーみたいな、ハウスとは音のアプローチが違うパーティーでもプレイさせてもらってるんですけど、ここのお客さんは、音に対して貪欲な感じがします。音のアプローチとしてはエレクトロだけど、単純にカッコいい音なら、ハウスでもなんでもちゃんと反応が返ってくる。カッコいいものを素直に求めてる気がする。むしろ今、ジャンルに特化したオーソドックスな箱の方が難しいかもしれませんね。
久保田:でもやっぱり、都会の女の子はお洒落だし感度もいいよ(笑)。僕は、静岡に住んでるからクラブが限られていて、ジャンルに特化したクラブって全然無いから、このクラブに行けばこの音楽が流れているっていうことが無い。もちろんオールジャンルだからこそいい部分もあるけど、だからこそ難しい部分ってのもある気がする。
栗原:なるほどなあ。
瀧澤:それは、確かにあるなあ。
栗原:せっかく、瀧澤君とJazzin'parkとで一緒にまわるので、人でまわるのとは違う良さがあると思うし、楽しみたいなって思います!
瀧澤:この組み合わせでしか、出来ない良さってあるよね! あとは、彼女募集中です。全員(笑)
栗原:是非会場に来て声かけてください(笑)
瀧澤:一緒に"JOY"しましょう(笑)
栗原:大丈夫です(笑)
久保田:(笑)
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